初部屋入り
「ホントにいいの?」
「うん」
私は顔が赤くなるのを止めたい。
でも。
「わかった・・・」
止まんないよ~!!
「小夏?」
心配そうに私の顔を覗く雹牙。
み、見ないでっ・・・!!
「んぢゃ、行くか」
照れくさそうに私の右手を取る雹牙。
その動作ひとつひとつが、私の心拍数を上昇させる。
「ん・・・」
少し歩いて、辿り着いたのは小綺麗なアパート。
「入りなよ」
私が入りやすいように、ドアを大きく開いてくれる雹牙。
「お・・・お邪魔します!」
緊張するなぁ・・・。
黒を基調とした、整理整頓された部屋。
「何か飲む?」
「うん」
「って言っても、ポカリしかないんだけど・・・。
大丈夫?」
「うん!」
ホントにサッカー一筋なんだ。
雹牙が準備している間に、雹牙の賞状等を見させてもらう。
まず最初にあったのは。
<県選抜得点王 伊藤雹牙>
中学3年生の頃の雹牙。
全然変わらない。
<地区優勝>
<県大会優勝>
<ジュニアオリンピック>
数々の雹牙の実績。
どれもすばらしいものばかり。
「中学の卒アル見る?」
「うんっ」
学校での雹牙見てみたい。
「雹牙、何組?」
「3組!」
1組、2組・・・あった。
今と変わらない、真っ黒な肌と爽やかな笑顔。
「うふふ」
どんどんページを捲っていくと、普段の写真がでてきた。
ピースしてる雹牙。
サッカーボールと戯れる雹牙。
友達と変顔してる雹牙。
そして。
あるページで、私の手が止まった。
そこには・・・。
「イケメンだろ?」
いつの間にか隣に居た雹牙。
「コイツ、すっげー仏教面だろ~」
楽しそうに語る雹牙の隣で、私の思考回路は止まっていた。
「彼方っつーんだけどさ!」
彼方・・・。
写真の中で、彼と再会してしまった。




