最終話 冷血皇帝の本音と寵愛の真実
数ヶ月後。すべての混乱が収まった後宮は、穏やかな空気に包まれていた。
鈴花の位は、皇后へと昇りつめていた。
鈴花は、乾清殿で、玉座に座る蒼龍の隣に立っていた。彼はもう、以前のような冷たい表情をしていない。政務をこなす彼の瞳は、鋭くも温かい光を宿している。
「鈴花、この奏状を見てみよ。遠方の飢餓地域の復興策だ。あの冷酷な処分を下した周の一族が、今、北の要塞で飢えと寒さを乗り越え、この復興策を提案してきた」
蒼龍は、彼らが提出した詳細な報告書を鈴花に見せた。
「彼らは、失敗の代償を知った。そして、その経験が、今、国を救うための最良の策を生んだのだ。あの時の私の冷酷さは、決して『無駄な処分』ではなかった」
鈴花は、頷きながら彼の頬に優しく触れた。
「陛下は、冷酷なのではありません。正義の人です。その正義が、感情という熱を持ったから、誰もが納得する策が生まれたのです」
蒼龍は、鈴花の手を取り、玉座の隣に設えられた小さな椅子に彼女を座らせた。
「私の正義を温めたのは、貴様の愛だ。鈴花。貴様が隣にいるからこそ、この玉座は、もう氷ではない。温かい光を放つことができる」
その夜。二人は、煌びやかな寝宮で、静かに寄り添い合っていた。
蒼龍は、鈴花の髪を撫でながら、初めて、幼少期の孤独や、玉座を守るための苦悩を語り始めた。彼は、もう感情を隠そうとはしなかった。
「鈴花。余は、国を守った。そして、その国と同じくらい、貴様を愛している。余の夜を司る娘よ、永遠に余の隣にいてくれ」
鈴花は、蒼龍の胸に顔を埋め、深く頷いた。
冷血と恐れられた皇帝は、一人の下級妃の知性と愛によって、その孤独な戦いを終えた。玉座は温もりを取り戻し、鈴花は、愛する皇帝と共に、この広大な国を治める、真の皇后となったのだった。
【完】




