第二十八話
事が終わると、手足が痺れて全く動かなかった。
時間を知らせる電話が鳴ると、必死で手を伸ばした。
「お時間です。10分ほどで出てください」
「…はい」
受け答えするだけで精一杯だった。
せめてシャワー浴びないと……
臭いの充満する部屋かたよろよろと立ち上がるとすぐにふらついて
床に尻餅をついてしまった。
足に力が入らない。
まるで鉛みたいに重い。
なんとかシャワーを浴びると着替えて外に出る。
外はもう真っ暗で21時を回っている。
電車が無くなる前には、家に着きたかった。
なんとか電車に乗り込むと最寄り駅まで辿りついたのだった。
「あ〜、もう無理………情けないなぁ〜」
電話をかけると耳に当てる。
『もしもし…どうした?』
「ん〜〜〜、なんでもない……勉強してた?」
『あぁ。さっき風呂から出てもう寝ようかと思ってたところだが…』
「そっかぁ〜………」
『何があった?』
「何にもないよ?どうして?」
『声が…震えてるぞ?』
「そっかぁ〜、あれ……おかしいなぁ〜普通に話せてるはずなのに…」
『今、どこにいるんだ?外か?…あいつはどうした?』
心配してくれる親友の声が今はすっごく暖かく感じた。
「ちょっとふらふらするだけだから…大丈夫だよ〜」
『大丈夫じゃねーだろ?どこにいるんだ?迎えに行こうか?』
「いいよ、ちゃんと帰れるし……」
ガシャンッ……ツーツー。
いきなり何かにぶつかったのか落ちた音が聞こえてきて、電話が切
れてしまった。
すぐに掛け直したが、通じなかった。
信号機が変わりそうで駆け足で歩こうとして、足がもつれるように
転んでしまったのだった。
スマホを拾おうとして立ちあがろうにも足に力が入らなかった。
立てないっ!!
横を慌てて通っていく人たいても助けてくれる人はいない。
そのうち信号が変わってしまった。
発信する車からは暗いせいかライトが当たるまで歩行者には気ずづ
けなかった。
ドンッという大きな音がしてやっと歩行者を跳ねた事に気づけたの
だった。
駅前の通りは多く、すぐに目撃者から通報され警察が到着した。
救急車は少し遅れてくると気を失ったままの月島を運んでいく。
そしてそばに落ちていたスマホを拾うと一緒に運ばれて行ったの
だった。
身分証から家に連絡がいき、そして友人の水戸にも話が行ったの
だった。
それを知ったのは月曜日の朝の事だった。




