師匠との邂逅
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私とアリウムは、私の師匠を見つけるべく校内を歩き回ることにした――。
「と探し始めたはいいものの…どんな教師がいるのかも分からないんだよね……」
「一人ずつ見ていきましょう!」
校内を歩いてみると、結構いろいろな施設があることに気付く。売店や食堂、トレーニングルームに教師一人一人に与えられているスペース。他にも、入浴施設や入学式で使った体育館、途轍もなく広い図書室などもあった。
「それにしても、たくさんの師匠候補がいるんだね……」
校内を歩き回って気付いたことは、多くの教師がいて、その全ての教師が師匠候補であることだった。まぁだからといって、その全員の師匠が全く違うという訳ではなく、属性が同じ教師が教える教室はどこか似通ったものになっていると感じた。
それでも、いろいろな教室があり、武芸からそれぞれの属性魔法…果ては、魔法研究などの稽古とは言えないような教室まで存在した。
私が気になったのは、使い魔研究会という教室である。魔物を使い魔とすることが出来ると言うことを初めて知ったが、何より『共に歩む仲間のことを調べてみませんか』というキャッチフレーズには、ドキッとしてしまった。といっても、私自身まだ使い魔を召喚していないんだけどね…
そして、そんな数多くある教室の中にも奇抜な教室もあるわけで…私が、その教室のドアを見学するために開くとあまりの光景に驚きを通り越して。むしろ何も感じないという境地に達するほどの部屋も存在した。
私は、回復魔法を主に稽古をつけてもらえるという教室に足を進めた。そして、ドアを開くとそこには――。
変なぴちぴちの格好に黒い蝶の形をしたアイマスクを付け、手には何やら持ち手からひらひらとしたものが付いているハリセンのような物を持っていて、片足で男の人を踏みつけながらその手に持っている物で男の人を引っ叩いていた。
私は、その光景を見てすぐさま受け入れられず、扉を閉めた。そして、今の状況について脳内でしばし思考をまとめ、気のせいだった。きっと見間違えだと思うことにしもう一度開いた。するとそこでは、普通のナース服を着た綺麗な女性が男性に回復魔法をかけていた。
「いらっしゃい、見学の子かしら?うふふ」(何も見てないわよね?)というような全く笑っていない目をしていた。
「……」
私は、静かに扉を閉めたのだった。
◇◇◇
お腹がすき始めたころ、私とアリウムは、行く当ても無くぶらぶらと校内を歩き続けていた。
「それにしても、いい場所ないなぁ」
「ゆっくり考えて、一緒にいい師匠を見つけましょうね!そ、それでなんですけど…」
「んー?」
「おや、アリウム君じゃないか。こんにちは」
その時、一人の透き通る氷のような淡い水色の髪に空のように透き通るような柔らかい青の瞳を持ち、服は真っ白のどこか派手さを感じる男性が話しかけてきた。
「ハスノギ先生、ごきげんよう」
アリウムは、慣れた様子でスカートを少しだけ摘み上げ、挨拶をした。
すると、そのハスノギと呼ばれた男性はこちらの方を向き、そして目を大きく見開きジッと私を見つめ、私の肩を掴んできた。
「す、素晴らしい!!!私でも見通すことのできないマナ量を持つ人を私は、初めて見たよ!!どうだろう、お嬢さん?私とお茶でもどうかな?」
ハスノギは、目の前で大げさな手ぶりをし、どこから出したのか赤いバラを私に向け、キザったらしいウィンクをしてきた。私はこういう言葉に慣れていないせいか、それとも直感で感じ取ったのか、『この人と関わってはいけない』と感じ、すぐさま方向転換をし、アリウムに自分の制服を預け、身体強化魔法【ステア】を自身にかけ、本気で逃げることにしたのだった。
「マナさん!?あぁ……うぅ…売店に一緒に行こうって誘うつもりだったのに…はぁ」
一人取り残された、アリウムは、ハスノギ先生を心の中で少しだけ恨めしく思うのだった。
◇◇◇
この人いったい何者なんだろう…逃げる先々でなぜか私を待っていたというかのように現れては、赤いバラを差し出し、「君のすべてが見たいんだ!」と声を掛けてくる――。
正直言って怖いんですけど……。
「やぁ、お嬢さん…どうか君の、待ちたまえ!この私の輝きから目を背けたくなる気持ちは分かるが、逃げられるのは心外だよ」
「変態!近寄らないでください!」
「なっ!この私が、変態…?ふふふ、いいだろう…君がその気なら何が何でも君の全てを覗かせてもらおうじゃないか!」
そして、私とハスノギは校内を駆け回った。なぜかハスノギという男に先回りされる私は、外に逃げることにした。本校の横にある、あまり人通りのない道。私は、そこで一度後ろを振り返り追ってきていないことを確認する。
「はぁ…はぁ…一体あの人は、なんなの…」
「私のことが気になるのかい?」
顔をあげると、そこには本当は言いたくないが、というよりもどこか残念な感じもするが、爽やかイケメンと言っても差し支えのない男性が変なキザったらしいポーズで聞いてきた。
「ふふっ!いいだろう!私についてじっくりと…って待ちたまえ!!」
私は、話が終わるより先に今来た道を引き返そうと走り始めた。
「はぁ…仕方ないお嬢さんだ。壁よ――」
その言葉の瞬間、私の目の前に氷の壁が地面から出現し、あまりの急な出来事に私は、バランスを崩して尻もちをついてしまう。
「さぁ、じっくりと見させてもらおうか」
「よいしょぉおおおお」
その瞬間、私とハスノギの間に割り込むように空から剣を地面に叩きつけ、砂ぼこりが辺りを包む中、一振りでその砂ぼこりを払い一人の女性が現れた。
やわらかい黄赤の短く乱雑に切られた髪に母の着ている服に似た服を身につけており、腰には剣帯が取り付けられていた。そして、どこか母の落ち着くような…優しい雰囲気を感じた。
「そこを退いてもらえないかな?君に用はないんだが」
「はっ!あたしは、女子生徒を追いかけまわす変態に用があるんだよ」
すると、ハスノギは手にマナを集中させ、マナは塊となりハスノギの手が淡い水色の光を溢れさせ、発光する。
「私は、そこのお嬢さんに用があるんだ。もし、邪魔するというのなら…力づくでもそこを通らせてもらうよ」
「あんたには出来ないよ。私の方が強いからね」
謎の女性は挑発をするかのようにニヤニヤと笑みを作り、ハスノギを煽るような態度をとった。
「ははは、珍しく面白い冗談を言うじゃないか!この私が、剣を振り回すだけの脳筋に負けるとでも?」
「はっはっはっ!それはあんたの方だろ?このナルシスト」
「何か言ったかい?落ちこぼれ」
「あぁ?なんだと?大げさ野郎」
ハスノギと謎の女性は額が当たってしまいそうなほど近づきメンチを切りあっていた。そして、お互いに離れ、落ち着いたかと思ったら、お互いに戦闘態勢をとるのだった。
「ここで決着をつけようじゃないか」
「上等だぁ!」
「ストーーーーーーップ!!」
その瞬間、白い靄が辺りを包み空からゆっくりと一人の女性が舞い降りてくる。
この白い靄には見覚えがあった。デュランタ先生の身体を重くする魔法だ。
白い靄の中、うっすらと片膝をつくハスノギと先ほどと変わらず立ったままの姿勢を保ち続ける女性の姿が映った。
「はぁ…いつもいつも、喧嘩を仲裁する私の身にもなってほしいわ…それと、私の生徒を困らせるのやめてくれます?」
「お前のとこの生徒かよ!」
白い靄が晴れ、辺りがはっきりと見渡せるぐらいになり、その謎の女性は、デュランタ先生の言葉に驚いたように反応した。
「それにしても、マナさんはここで何を?」
そして、私は、師匠候補を探すために校内を歩き回っていたところをそこにいるハスノギ先生に会い、急に追い掛け回されたことを告げた。
「やっぱ、変態だったのか…」
「誤解ですが!?こほん…それよりも、師匠候補を探していたのか…君には魔法使いの才能がある。そこでなんだが、魔法に卓越している私のところに弟子入りしてみるのはどうかな?」
服に付着している氷を手で払いながら、そのようなことを提案してきた。
「絶対、嫌です」
「即答なうえに、絶対!?」
断られると思っていなかったのか、情けない声をあげ驚きを露にする
「ふふっ、愚かね…もう、マナちゃんの心は私が、がっちりと掴んでるんだから」
「掴まれてません」
「でも、私のところに弟子入りするのでしょう?」
「しないです」
その私の言葉に想像していなかったのか、デュランタ先生は顔面蒼白となった。何故想像できなかったのか…。
「でも、教室では私のメモをポケットに大事そうに入れてたし……私が教室から退室するときにあんなに熱いまなざしを送ってくれたじゃない!」
「え?普通に違いますけど」
「ふえぇぇぇ」
デュランタ先生は、魂が抜けたかのようにその言葉に呆然としていた。
そして、私は、私たちのやり取りを黙って眺めている謎の女性に近寄る。
「私を弟子にしてください!」
「は?」
その私の言葉を想像していなかったのか、心の底から出た『は?』というような感じであった。
「私を弟子にしてください!」
私は、もう一度改めて、『あなたの弟子になりたい』と名乗り出た。
「待て待て待て!あんたは、魔法に適性があるんだろ?あたしは、魔法には疎いからな…魔法が学びたいなら、言いたくはないが、そこにいる奴らの方がいいと思うぞ?」
「私は、魔法を習うよりもあなたに剣が学びたいんです!」
困った様子で頭を掻く女性に逃がすまいと強く自分の気持ちを伝える。
「あぁもうわかった…だが、あんたはまだ適性検査を受けてないだろ?もし、適性検査で剣士の適性があったなら…弟子になる試練を与えてやる。それでいいか?」
「はい!!ありがとうございます!」
「あのなぁ…希望を壊すようで悪いが、魔法使いの適性がある奴に剣士の適正もある奴なんて今までに一人しか見たことがないんだよ。あまり希望を持つのはやめときな」
それでも、可能性が残っているなら、それに賭ける以外の選択肢はない。それにもしかしたら…この人は、私のお母さんの師匠かもしれない。
「必ず弟子入りを認めてもらいます!」
「ふんっ!精々がんばれよ」
「なぜ、私じゃなくてその女なのだ…」
「私の弟子になってくれると思っていたのに…」
そして、残りの二人の教師は今もまだぶつぶつと魂が抜けたように何かを呟いていた。
◇◇◇
「全然、マナさん戻ってこないのですが…お腹すきました…ぐぅぅ」
そして、今もなおマナの帰りを待つアリウムはお腹の音を鳴らし、健気にその少女の帰りを待ち続けるのだった。一緒に売店に行きたいという一心で――。それからマナが帰ってきたのは、午後の三時を回ったころだった。




