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魔法はマナとともに  作者: 神無月かなめ
第一章~あなたに出会えてよかった~
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学園初日と新しい友達

 私は、入学式に渡された今は仄かに白く発光する宝石に紐を結び付け、首から下に提げる。


「よしっ!」


 今日から、私の学園生活が始まるんだ…。友達出来るかなぁ…。ううん、弱気になっちゃだめ。いつも通りに頑張ろう!きっと、いつも通りの私を受け入れてくれる人はいるはずだから…!


 私は、勢いよく部屋から飛び出した。


 ◇◇◇


 クラスの前でアイトと別れ、心を落ち着かせるため一度、ゆっくりと息を吸い、吐いた。そして、心を決め、教室の扉を開いた。すると、何人かの生徒がすでに席についており、互いに打ち解けあっている仲の良い友達のように楽しく話し合っていた。


 これは、そう…同じ都市出身で小さい頃から同じ場所で育ってきたかのような…そんな雰囲気を感じた。そして、もうすでにできてる輪に声を掛けて入るのは…話が合うかとかその人達のことをよく知らないからといった不安により、なかなか難しいのだ。


 私は、とりあえず誰も座っていない適当な席に腰を下ろした。


 このクラスで上手く過ごせるか…少しだけ不安に感じた。


 ちょっと待って…大丈夫、落ち着いて考えるの…昔から相手に対して緊張したことなんて、ないじゃん!私…!そう、勇気を出して…そうだ!共通点を話題に出せば自然と話が合うんじゃ…!私たちの共通点……そう!魔法だよ!!よし、イメージしてみよう……


『こんにちは、初めましてマナです!得意魔法は、炎です!よろしくね」


『え?炎!?私も私も!えぇ!私たち話し合うじゃーーん!!もうマブダチじゃね?てか、親友?最高のずっともね!!」


『はい!!ずっともー!いえーーーい』


 なんか、違う気がしてきた……おかしな方向に行ってるような…ちょっと、話し方を変えてみて…


『ねぇねぇ、何話してるの?』


『魔法使うときに何を考えてたら、いいかなーーって話してたよ』


『あっ!そうなんだぁ!私もそれ気になってたんだぁ!!』


『私たち話し合うじゃーーん!!もうマブダチじゃね?てか、親友?最高の――』


 ストーーーーップ!!やばい!もう、マブダチが頭から離れなくなっちゃった!!古い…古いよぉ…。


「あの、隣いいかしら?」


 そんな変な妄想に耽る私に一人の女性が声を掛けた。それでも私は声を掛けられたことに気付かず、まだ妄想に耽っていた。


「あの、マナさん?」


 そんな私を見かねて、その女性は、私の肩を優しく叩いた。


「う、うわぁぁぁあああま、マブダチ!!!!???」


「マブダチ…?」


「うえええぇぇぇぇぇ!!!???」


 私に声を掛けた女性の姿を見て、驚きのあまり情けない声をあげてしまった。その目の前にいた女性は、光り輝く金髪を持ち、目の色は全てを吸い込んでしまいそうなほどの深紅の色をしている。その人は、新入生代表挨拶をも務めたあの人であった。


「隣、いいですか?」


「はい!どうぞ、お、お座りください?」


「ふふっ、それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきますね」


 そう言って、ゆったりとした動作で座るだけでもその動作にはなぜか優雅さと華やかさが存在する彼女に私は、しばらく見惚れていた。


「マナさん、その……私、実技試験の時からマナさんと一度話してみたいと思っていたんです!」


「ポケーえ?」


「私、マナさんと一度お話ししたいと思っていたんです」


「うええぇぇぇぇぇぇ!!」


 本日二度目の情けない声を教室中に響かせた瞬間だった。


 叫んでしまうのも仕方ないことなのである。なぜなら、あの憧れていた人に『お話ししたいと思っていた』なんて言われたら誰だってそうなってしまうだろう…。


「わ、私も!実技試験の時から、一度でもいいから話してみたいって思ってたんです!」


「あの時、マナさんが使われた魔法には、多くのマナが注ぎ込まれているのを見て感じました!普通の人では、計り知れないほどのマナ量です!私、もっとマナさんのこと知りたいです!」


 グイっと顔を近付ける彼女に同性にもかかわらずドキドキとしてしまう。


「と、友達になってくれませんか…?」


 上目づかいの頼み方が可愛すぎるぅぅぅ破壊力が凄まじいよぉぉぉぉ!!


「はいっ!私でよければ、これからよろしく――」


 なんとか、目をぎりぎりのところで逸らさずに言えた私の言葉に目をキラキラとさせて嬉しそうに頬を緩ませていた。


 な、何とも可愛らしい…浄化するぅぅぅ


「マブダチというやつですね!」


 可愛すぎる…!最初は、もっとツンツンとしているお嬢様って思ってたけど、実はゆるふわお嬢様だったなんて…!今までの不安が全て吹き飛ぶくらいの癒し……


「私の名前は、アリウム・フスティーシアと言います。これから、よろしくお願いします!」


「私の名前は…ってもう知ってるか。よろしくね、アリウムさん」


 その時、バンッと勢いよく教室の扉が開き、一人の女性が入ってくる。


「皆さんごきげんよう……うふっ」


 この教室に入室した女性は、あの実力試験で戦った…私のことを最初から弄んでた性悪の教師であった。周りを見ると、もうすでに多くの生徒が着席していた。男と女が半々といった感じで普通の学校とあまり変わらないだろうか。


 すると、その女性の教師はこちらを見てニコッと微笑んできた。私は、なぜかゾッと悪寒が走り、これからの学校生活がたちまち不安な物に感じるのだった。


 ◇◇◇


「それでは、まずは、自己紹介からしていきましょうか」


 すると、その女性は、黒板に文字を書き始める。


「私の名前は、デュランタ。水魔法を主に活用しています。水魔法で気になる事があれば、いつでも質問しに来てくださいね」


 デュランタが、ふわっと微笑むだけでこの室内にいる男子の視線がデュランタに釘づけにされたような気がした。それだけ、デュランタの微笑みは異性を惹きつけるほどに妖艶な物であるのだ。


「次は、皆さんに寮生活を希望するかの調査を行います。今から用紙を配りますので記入してくださいね」


 そう言って、デュランタは小さく杖を振った。その瞬間、目の前に小さな泡が出現しふわっと割れ、一枚の用紙が机の上にふわりと現れた。


 そして、その用紙の上にもう一枚小さく綺麗に折りたたまれた紙が置かれていた。隣に座る、アリウムの目の前に置かれた用紙にはそのような小さな紙は見当たらなかった。私は、その折りたたまれた小さな紙を恐る恐る開いてみる。するとそこには――。


『マナちゃん、これからよろしくね♡』


 ぴえぇぇぇぇぇ


 と、とりあえず……この紙は、ポケットにいれといて……寮生活を希望するにチェックを入れないとね!アリウムさんは、寮生活を希望するのかなぁ。


 そして、チラッと目線を送った私に気付いたのか、アリウムさんは申し訳なさそうにはにかんだ。


「私は、寮生活を希望しないんです……今、住んでいる場所がこの学園に近いので…」


「そっかぁ……」


 うーーん、アリウムさんがいたらちょっと安心できたんだけどなぁ…仲良く出来るかなぁ……少し不安だなぁ……。


 他にも、細かく記載する欄があったがこれといって要求する事も無かったので、記載せずに提出することにした。


「それでは、次に皆さんお楽しみのこの学園の制服を配りますね」


 すると、先ほどと同じように水の泡が出現し、その泡が割れ、机の上に綺麗に折りたたまれた白色の服が落とされる。


「今配った制服は、特別性であり、その着用者に合った形に変化するようマナが込められています」


 ということは、生徒によって服の形が違うってこと…?


「明日から、その制服を身につけて登校してきてね、それじゃあ、特に初日はこれ以上する事も無いので、これで解散にします。あ、それと……知っているとは思いますが、師匠になってもらうには師匠になってほしい教師に直接、申し出る必要があります。この機会にどのような教師がいるのか見学してみるのもいいと思いますよ」


 師匠は、自分で見つけるか…知ってはいたけど、どういう教師がいるのかも分からないし…いざ、探そうにもなかなか難しいんだよね…


 すると、デュランタは退室する前にチラチラッと私の方を見て、最後にウィンクしてきた。


 ぴえぇぇぇぇぇ


「あ、アリウムさんは、もう師匠候補を見つけてるの?」


 あんなにすごい魔法技術を持ち、優れた才能を持つアリウムさんなのだ。その師匠といったらとってもすごい人なのだろうと想像できる。


「い、一応見つけてはいます…すこし、というか結構?おかしな人ですが…」


 アリウムさんにおかしな人と呼ばれるってどんな人なんだろう……


 まぁ、とにかく私も師匠候補を見つけないとね!


「アリウムさん、この後時間ある?私も師匠候補を見つけたくて、見学してこようと思うんだけど」


「はい!同行しますね」


 アリウムは、誘われたのが嬉しかったのか、目をキラキラさせ、優しくふっと微笑み『同行する』と言ってくれた。


 一人だと不安だったから、助かったぁ。どんな教師がいるのか…それに、お母さんの師匠だった人も気になる…いい師匠が見つかるといいな……。


 そして、私とアリウムさんは、師匠を見つけるべく校内を歩き回ることにしたのだった――。

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