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魔法はマナとともに  作者: 神無月かなめ
第一章~あなたに出会えてよかった~
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紫色のたたずむその姿は金色に輝く

 教師の案内の元、連れてこられたのは魔法学園とは思えない科学を取り入れた金属のような床に壁の材質で作られた広い部屋であった。そして、床には黄色の線が引かれており、数メートル間隔で仕切りが置かれていた。


 そして、他の教室で受けていた受験生もこの部屋に案内されているようだった。その中にアイトの姿はないので、全ての受験生という訳ではなく、同じ階で受けていた生徒だけなのかもしれない。


 すると一人の試験官が集められた受験生全員の前にゆっくりと歩み出た。


「それでは、今から実技試験を始めます」


 すると、試験管の後ろの数メートル離れた壁が開き、仕切りごとに三つの的が現れる。


「この黄色い線から目の前に見える三つの的に向かって魔法を撃ってもらいます」


 そして、教師たちは五つの列ができるように受験生を並べた。私はちょうど真ん中ぐらいの位置に配置された。


 ここなら、前の人の様子を見つつ、自分の出番の時、心に余裕を持ち落ち着いて臨めるので、とても良い場所だと思った。


 ラッキー!


「それでは、前に出て一人づつ魔法を撃ち始めてください」


 これで、一人目だったら緊張で思ったように魔法なんて使えなかった…一人目の子は大丈夫かなぁ。


 すると、一人目の子は、震えた手で杖を持っており、照準の合わないまま火球を作り的に向かって放った。マナも込め切っていないのか、ふわふわと火球は空中を漂い、あらぬ方向に飛んで、そして地面にぶつかりポッと飛散した。


 その一人目の子は、恐る恐るといった様子で試験官の方に目を向ける。すると、メガネを掛けた仕事モードといったような試験管は、勢いよく紙にバババッと何かを記していく。


 その様子を見た一人目の子は、顔を青褪めていた。


 えぇ…何これ…怖すぎるんですけど――。


 その後も同じ感じで、ふわふわとした魔法が的まで届くこともなくあらぬところにポンッと着弾する。そして、目を光らせている試験官に勢いよくバババッと何かを記されていた。たまに的まで魔法が届き、弱弱しいが当たる子もいた。その時も変わらずバババッと紙に記されていたが…。


 とうとう、私の出番が来てしまう――。


 私の時も相変わらず試験官は目を光らせている。


 覚悟を決めるんだ!私!


 私は、杖を的に向ける。静かに息を吸い、ゆっくりと吐く。そして、マナを注ぎ込む。杖の先に小さな火球が現れ、その火球はマナを注ぎ込むほどにより大きなものへと肥大化する。


 火球の熱で暖められた風が私を中心に発せられる。それほどまでにその姿を大きく、熱の込められた火球が杖の先で今か今かと放たれるのを待っていた。


 私はその火球を的に向けて放つ。放たれた風圧だけで体がもっていかれそうになるが、脚を広げ、膝を少しだけ曲げ、何とかその場で耐える。放たれた火球は、的に一直線に飛び、大きな音とともに三つすべての的を破壊した。ちなみに壁は、特殊な作りがされているのか傷一つ出来ていなかった。


 私は、試験官の方を向く。すると、目を光らせている試験官は他の人の時と変わらず、勢いよく紙に何かを記していた。


 だ、大丈夫だったのかな…。


 私は、引き攣った笑みでその光景を見た。


 その瞬間、とても甘いいいにおいと共に後ろに金色に光を反射する髪が通り過ぎる。私は、すぐに後ろを振り返った。私の背後を通り過ぎ、黄色い線の前に立つ彼女は赤い深紅の瞳を怪しく光らせ、何者をも寄せ付けないような高貴な印象を感じさせ、それでいて、見ただけで感じるカリスマ性とその美しい雰囲気に視線が釘付けにされる。


 その人は、右手で杖を持ち、左手を触れない程度に右手に添え、杖の先を空に向ける。といっても、今は室内なので、天井に向ける。するとその瞬間、空中に三つの中ほどの火球が現れる。そして、彼女は持っていた杖を左後方に引く。すると、その浮いていた三つの火球が炎の剣に姿を変えた。


「行け――」


 その言葉と共に大きく横薙ぎに振られた杖に従い、三つの炎の剣は意志を持ったかのようにそれぞれの的に向かい、三つの的を同時に破壊した。


 そして、彼女は用が済んだかというように悠然とその場を後にした。


 私は、すぐに試験官の方を向いた。さすがに今のを見たら、何か変化はあるだろうという気持ちで見たのだが、まさか――。


 めちゃくちゃ号泣してました。


 そして、泣きながら、バババッと記していました。


 ◇◇◇


 無事に一日目の試験は終わり、私は、校門前でアイトが来るのを待つことにした。


 それにしても、実技試験でのあの人はすごかった…。火球を一気に三つ作り出したこともすごいけど、それよりも火球を剣に変化させるマナ操作と放った後にしっかりと的に当てる魔法操作。なかなかできることではない。


 圧倒的な才能と努力により完成された魔法のような――。それほどまでに洗練されているように思えた。


 それに、あの人すごくきれいな人だったなぁ~かっこいいし、綺麗だし、何かいい匂いもしたし!あんなに凄い人もいるんだなぁ……ここには。


 私も――。


 静かに目を閉じた、暗い視界の中でチカチカと過去の記憶が思い起こされる。


『自由に生きて――』


 誰の声かは分からない。男の人の声。ただ、その声には、優しさが感じられた。私は、その人を知らないはずなのにどこか懐か――。


「マナ!待っててくれたんだね」


 私は、ゆっくりと瞼をあげ、その声の主に目を向ける。


「うん!アイトが先に終わってたら待っててくれそうだし。私もね」


「そ、そっか。ありがとう。それじゃあ、帰ろうか」


 私とアイトは、宿に帰るまでの間、今日の試験であったことや難しかったところ、手ごたえや今日の試験で出会ったすごい人についてたくさん話し合った。


 そして、試験は実力試験を控えた二日目を迎える――。


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