第一章 それをやるまで!
僕は彼女にゲーム機の使い方を聞かれたところだ。
「教えてやってもいいけどさ。どこでやる?」
「ん〜そうだな。クラスでやったら浮くし、昼休みに屋上前の踊り場でどうだ?」
「うん。それでいいな。」
ふと気付いた。小畑はどんなものを買ったんだろうか?
「なぁ、お前何買ったんだ?」
「ただのレーシングゲームだよ。」
俺は言った。
どっちかってーとこのジャンルしかできない。けどこのジャンルなら俺は神の領域まで達している。ゲーセンでやったやつならやる度記録更新してるし、対戦なら負けたことはねぇ。あれで使えるシルビアわいい。馬力はあるし、性能も高いマニュアル式のシフト音もスッキリする。俺も将来はあんな車で峠攻めをしてみてぇ。
しかしハンドルもないこんなちっちゃいゲーム機でやるのはやっぱりどうもしっくりこない。
「へぇ。まぁお前がやりそうなのってそれっくらいぽそうだもんな。」
「まぁな。後でみしてやるよ。」
髪の毛をいじりながら投げやりに言ってみる。
こうゆう話題はたのしくねぇな。
結局バカとつまんない話をしたままSHRにはいった。
じゃあなんで俺がこんなものを持ってきたのかは先週の土曜日に遡ろう。
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土曜日午前11時30分。
ボサボサの髪の少女がベッドに座っていた。
「ん〜どっちにすっかな?」
悩む姿は女子そのものだが、男言葉だ。
彼女は同じくベッドに並べられている。2枚の洋服を見比べてている。
片方はジーンズと長袖シャツ、ラフな格好。もう片方は、いかにもオシャレな女子がきそうなカジュアルな服だ。
多分どちらを着ても、どちらとも上手く見栄えるだろうが、いや見栄えるからこそ彼女は悩んでるのかもしれない。
ん〜決まんねー。
俺は服をかれこれ4〜5分眺めてる。両方とも気に入ってる奴だから悩む。
目を思いっきり細くして、俺は今日の流れをシュミレーションした。あのバカと駅前で待ち合わせしてるんだよな。となると学校外でサシで会うことになるんだよな。これはじゃあ、デ、デートということになるのか!?……こんなでも俺はシャイなほうで。やっぱ恥ずかしい。
でも何でゲーム買一応俺は女だぞ?
その手の話題は普通しねぇだろ!
あいつの思考回路どうなってんだよ!
さっきまでの新鮮な感じは完璧に消滅してなんだか怒りがこみ上げてくる。
やっぱバックれっかな?
色々考えた結果、俺は今駅前にいる。結局今着てる服はカジュアルな感じの方にした。今駅前は時刻5分前、前を見るとイスがいた。後ろ向いててこちらに気付いてない。こう遠くから見るとあいつはけっこう背ぇ高いよな。175cmくらいあんのかな?俺は160ちょっとしかない。遺伝だからチビはしょうがない、コレが唯一女で得した点かな?
バカの後ろまで歩み寄った。
「オイっ!」
ビビらせようと思って声を低くして、言った。なんか俺オイッていうの癖になってねーかな?
「……よお………」
俺をみた奴はジロジロみてきた。ボケッとしてる。あっけらかんとしてる。生気のこもらない小さい返事が聞こえてけどまだ見ている。キモイし、恥ずかしいし、俺は叫んだ。
「な、何だよ!ジジロジロ見やがって!」
反応なし。
短気なら俺はまた切れた。
すぐにバカの腿に強烈なローキックをいれる。
「いってぇ!何すんだよ!」
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思い出したくね〜からやっぱ回想終わり。まっいいだろ?この後俺はラッキーなことあったんだけどまた機会があったらおしえてやるよ。
じゃあまたあとでといってバカが前をむく。俺は担任のどうでもいい今日の要項をきく、ふぁ〜あくびが止まらねー。頬ずえつく肘が痛くなったから、イスにもたれる。軽くのびをする。あくびがでる。あ〜つまんない。
2限目後の休み時間、僕は司ともう一人の友達、杉山と僕の買ったゲームをみていた。
「これ、でたばっかだよな!?」
ハシャぐ司がいう。
「あ〜そうだよ。」
「いいなぁ。」
いつもボケッとしてる杉山が言う。
僕達が見てるのは最初に言ったと思うけど、今までシリーズで発売してたゲームだ。3人とも好きで、今回はこの機器からでることになったから買ったわけだ。小畑と二人で同時に開ける約束をしてるので、今電源をつける訳にはいかない。
司が見るだけではいやなのか焦りながら喋る。
「なぁ、じらさず電源いれようぜ?」
「ダメ。」
「何でだよ!お前まだケースもあけてねぇじゃん!バカ!」
バカにバカと言われるとスゴい腹がたつ。
「うるさいな。自分で買え!」
「なんだ?見せびらかしにきたのかよ。タチ悪いな。イス。」
「ちげえょ」
「じゃあ開けろよ。」
「………」
司が強引にあけようと僕のソフトを取りに来る。
「何すんだよ!止めろ!マヌケ!」
「うるへぇ。」
僕が正真正銘のバカ顔を手で押し返す。そう言えば杉山は?僕が見た先の杉山はただボケッと僕達を見てた。
「杉山っ!手伝え!」
司はほぼマジだ。
「ダメだ!杉山!手伝うな!」
のんびりと杉山が言う。
「何で智也はそんな開けたくないの?」
もっともな疑問だ。それに便乗した司が食いつくように
「そうだ!何でだよ!」
うまい言い訳も思い付かない僕は
「それは……いいからダメなんだよ!」
そして僕は二人から必死に死守した。ほとんど司からだが…あのやろう。
何とか乗り切った僕は昼休み前最後の授業を受けている。確かに何必死に約束を守ろうとしてたんだろう?バカだなぁ僕は。やや不機嫌になりながら、昼休みが楽しみなのでたいして気にせず授業を受けている。別に小畑といるのが楽しみじゃなくて、ゲームができることが楽しみだ。
45分後
「望!お弁当食べよ!」
授業の後すぐに早紀が話かけてきた。
「あぁ〜わりぃ!俺今から用事あってさ。ごめん、早紀!みんなで食べてて?」
え〜何?とか言われたけど俺は両手を合わせてあやまり、適当な事を並べて上手くながした。
「…と言うわけでして…わりぃ!」
「分かったよ。頑張ってね。」
「おう!じゃまた後でね。」
早紀が去った後、嘘ついた時の罪悪感と誤魔化すのってこんな大変なんだなということをつくづく実感した。
バカが振り向き
「じゃあ…行くか?」
ぎこちなく訪ねてくる。俺は早口で
「あぁ」
と言いながら、弁当とそれを持って軽い腰を上げた。
ついたそこは本当に殺風景な場所だった。少し埃っぽい空間を見回しながら
「へぇ、こんな場所もあるんだな。」
「うん、僕も知ってたけど来るのは初めてかな。」
俺達の学校は屋上には行けないし、学校のいらなくなった机や椅子が鎮座した物置になっていて、ここに来る奴は滅多にいない。俺達は座れそうな場所に腰を下ろした。




