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第124話 腹ペコ姫騎士の再起動と、聖域の決断

申し訳ありません!

120話がなく、122話が重複していました!

120話を入れ直しました。


「……いやいやいや! 沢山あるといっても、全体的には貴重なんだから、大事に食べてるよ! 小腹がすいた時とかにさ!」

 

 僕が必死に弁解すると、セレスティアは顔を真っ赤にして身を乗り出した。

 

「違う! そうじゃない! おやつに食べるなと言ってるんですのっ!」

 

 ハァハァと肩で息を切らしながら叫ぶセレスティア。


 ……僕は感心した。いいツッコミだ。キレがある。


 なんて馬鹿なことを考えていると、彼女は急に居住まいを正し、床に額をこすりつける勢いで深々と頭を下げた。

 

「……お願いします。聖木の実を、私に分けてくださいまし」

 

 その必死な様子に、僕は少し気恥ずかしくなって頭を掻く。

 

「うん、いいよ。……その小皿の分で足りる? もっと足そうか? そんなにお腹が空いているんなら、何か別の食べ物も作ろうか?」

 

 僕はあえて、至極真面目な顔で提案してみた。

 するとセレスティアは、今にも泣きそうな目で僕を睨みつける。

 

「ぢがいばずー!! 食べる為に欲しいんじゃないんです! 私を食いしん坊みたいに言わないでくださいまし!」

 

「あ、じゃあ食べ物はいらない?」

 

「いります! ください!!!」

 

 即答だった。いるのかよ。

 

「……はは、冗談だよ」

 

「分かってて言ってたんですか、貴方は!」

 

「食べ物はちゃんと作るよ。僕らもお腹が空いたしね」

 

「そこは冗談じゃなくて良かったです!」

 

 腹ペコかよ。なんだろう、打てば響くとはまさにこのことか。この子を弄るの、意外と楽しいかもしれない。

 そんな僕たちのやり取りを、リアが呆れたような溜息とともに断ち切った。

 

「……で、貴方はこれからどうするおつもり? 聖木の実を手に入れたのですから、すぐに里に向かうのかしら」

 

 リアの言葉に、セレスティアが「ハッ」とした表情を見せる。今の今まで、おやつ(聖木の実)の衝撃で本来の目的を忘れていたらしい。

 

「あ、そうですわね。急がないと……」

 

 彼女は一度、深く目を閉じて覚悟を決めると、再びリアに向き直った。

 

「……リア様。図々しいお願いとは百も承知です。私と一緒にエルフの郷まで来て、郷を救ってはいただけませんでしょうか」

 

 セレスティアはまた、深く頭を下げる。

 リアは僕を見た。目が合う。リアの頭の中では今、この「未知への介入」がもたらすリスクとリターンが、高速で演算されているのだろう。


 僕は、彼女の判断を信じている。だから、黙って「リアに任せるよ」と目で合図を送った。

 しばしの、重苦しい沈黙。

 

「……しょうがないですわね。一つ、条件がありますわ」

 

「はい、なんでしょうか」

 

「ゆう様を連れていくこと」

 

 リアの提示した条件に、セレスティアは困惑したように眉を寄せた。

 

「それは……しかし、一刻を争うのです。人間の足では、とてもエルフの行軍速度には……」

 

「大丈夫ですわ。ゆう様には魔法がありますもの。……それに、ゆう様のいない場所へ、わたくしが行く理由がございませんわ」

 

 さらりと、けれど揺るぎない宣言。

 セレスティアはリアの強い眼差しに圧され、観念したように頷いた。

 

「……リア様がそこまでおっしゃるなら。ですが、もしついて来られないようなら、置いていきますわよ?」

 

 僕はリアと頷き合う。

 

「それでいいよ。置いていかれないように頑張るから」

 

「では、出発は……明日の朝にしましょうか。セレスティアさんも、それでよろしくて?」

 

「はい。……聖木の実のおかげで、身体もすっかり良くなったみたいですわ。……何で食べた時に気づかなかったんだ、私……」

 

 セレスティアは、自分のあまりのポンコツっぷりに気づいたのか、微妙に肩を落として凹んでいた。

 

 窓の外では、雪解けの風が静かに吹き抜けていく。

 僕たちの、聖域の外へと向かう旅が、こうして決まったのだった。

 

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