幼馴染は熱をだす
学校に着いて教室の中に入ると、そこには胡桃の姿がなかった。珍しく寝坊でもしてるのかと思ったが、授業が始まる時間になっても来ない。
全然来ないから、遅刻して途中で来るのかと思いきや来ることはなかった。時間は過ぎていき、結局お昼まで来る様子はない。
一人でお昼ご飯を食べるのは久しぶりだ。何だか最近はいつも隣にいたから、物足りないというか何とも言えない気分だな。コンビニで買ったおにぎりを食べながら、スマホを眺めて胡桃に何かあったのか連絡することにした。
「「今日は来ないの?」」
するとすぐに返事が返ってくる。
「「熱がでちゃって……」」
「「えっ大丈夫?」」
「「大丈夫だよ、そこまでひどい熱じゃないから」」
「「わかった、お大事にな」」
「「うん、ありがとう」」
本人は大丈夫って言ってるけど胡桃の家族は、確か今は出張か何かでいないよな。一人だと辛いだろうから、放課後に風邪にいいものを買ってお見舞いに行くか。
そして放課後。コンビニでスポーツドリンクやおかゆ、他にも色々と買って家に向かうことにした。幼馴染とはいえ、家にはあんまり行った事がないから緊張するな。そんな事を考えてるうちに、胡桃の家に着いた。
インターホンを鳴らすと、胡桃が扉を開けて出てくる。
「一也、わざわざ来てくれたの?」
「うん、心配でさ。少し家に上がってもいいか」
「いいよ」
家の中に入ると胡桃の部屋に案内された。
「片づけてないから汚いかもしれないけど入って」
「うん、お邪魔します」
胡桃の部屋は整頓されていて、女の子の部屋って感じだ。
部屋の中で俺は買ってきたものを胡桃に渡す。
「色々買ってきたから、食べれそうだったら食べて」
「うんありがとう! あっプリンがある、食べていい?」
「いいけど大丈夫なのか?」
「大丈夫! そんなにひどい風邪じゃないって言ったでしょ」
「まあそうだけど」
買ってきたプリンを食べながら、胡桃は話しだした。
「いきなり来たからびっくりしちゃったよ」
「ごめん、風邪なのに何も連絡しないで来ちゃって」
「ううん、嬉しかったからいいよ! それにプリンも食べれたし」
「ところで本当に大丈夫なのか?」
「うん、熱も下がってきたから大丈夫。そんなに心配してくれるなんて意外だね」
「俺を何だと思ってるんだよ、幼馴染だし心配するよ」
「幼馴染か……」
胡桃は何故だか寂しそうな表情になった。なんか変な事でも言っちゃったかな。話を切り替えようと違う話題を出そうとしたら、胡桃が突然顔を近づけてきた。
「ねえ、私のこと嫌い?」
「えっそれはどういう……」
「自分で考えて」
「嫌いじゃないよ」
「そっか、まあそれならいいや」
何がしたいんだよ。パジャマみたいな服装だから、近づいたら色々と見えちゃうから目のやり場に困った。
「何がっかりしてるんだよ」
「別に―、あっそうだ風邪だからさ私の願い事一つ叶えてよ! そしたら元気になるかもしれないからさ」
「うーん、俺にできる事ならいいよ」
「えっいいの! じゃあ……頭を撫でて」
「えっ!?」
「はーやーく!」
「わ、わかったよ……よしよし」
「ふふっありがとう」
胡桃は頭を撫でると顔を赤くして喜んだ。こういうのって彼氏とかがするもんだよな。でもこれで元気がでるならいっか。
この後も少しだけ話して帰る事にした。戸惑うこともあったけど、思ったよりも元気そうで良かったな。
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