第二話
いつからこんなになってしまったんだろう?一体何の為に?相手の金などいらない。相手の性格など興味はない。真実なんか退屈な遺産だ。星の数ほど無数にあるくせに、やたらと自分は一つだけだと主張する。
欲しいのは大きく輝いたウソと、小さく染まった事実。だが、今夜も臆病だった。ただ眺めるだけで、ただじっと話すだけで臆していたんだ。
一体何をやっているだ?
明け方まで車を走らせ、相手を送って帰るだけ。フロントガラスから忍びこむ幸せぶった太陽が、まるで思い知ったか?と言わんばかりの輝きだ。冬だというのに雲一つ無い。なんて残酷な抜けるような青空なんだ。
バックミラー越しに自分の顔を眺めると、そいつは明らかに今までの自分とは違っていた。少なくとも相手といた時の自分は輝いていたに違いない。そうなんだよ、きっとそうなんだよ。
でも今の自分を覗き込んでるこいつは明らかに違っていた。明らかに嘲笑している。醜い顔を見せながら。
どうして心を奪われてしまったんだろう?いつからだったんだろう?そんな魅力的だったのか?そんな素敵な相手だったのか?いつかは名前も忘れる戯れさ。
でも明らかにバックミラー越しのそいつは目を合わさない時も示しているんだ。そうだ、お前の相手はお前が思うよりも純粋無垢だよと。
あぁ、あの笑顔か。確かに可愛かった。壊してはいけないと思ったよ。望みどおりにはな。
続く




