ユートピアのかけら
巨大な帝国が崩壊し、無政府状態となった混乱の収容所跡地。
レオンとガルド率いる小部隊は、ついにその場所へ辿り着いていた。
「……レオン?」
煤け、痩せ細った捕虜たちの中で、泥だらけの毛布に包まっていた少女が、信じられないというように顔を上げた。
アリシアだった。過酷な労働と暴力の痕が痛々しく残るものの、その瞳にはまだ、かつての清流のような光が微かに残っていた。
レオンは無言のまま、肩にかけていた狙撃銃を雪の上に投げ捨てた。
軍を震え上がらせ、何百という命を奪ってきた『白い死神』の象徴。彼はそれを二度と拾うことなく、ボロボロの手で幼馴染を強く抱きしめ、初めて声を上げて泣いた。
数年後。
二つの巨大な脅威が相打ちで消え去った大陸では、王国をはじめとする小国たちが手を取り合い、武力ではなく対話による「自由と尊厳のための連盟」を築きつつあった。
それはまだ完璧な世界ではないかもしれない。だが、確かに個人の命が尊重される、ユートピアのささやかな欠片だった。
緑を取り戻し始めた故郷の森。
鳥のさえずりが響く中、レオンは静かに呼吸を整え、引き金を引いた。
ターン!
見事に仕留められた野兎のそばに歩み寄り、彼は静かに祈りを捧げる。
彼の手にあるのは、人を殺すための軍用銃ではない。父から受け継いだ、命を糧にするための古い猟銃だった。
「見事ね、レオン。おじさんそっくり」
川のほとりで魚を焼きながら、笑顔で手を振るアリシアの姿がある。
かつて復讐の炎に囚われた少年は、ようやく、愛と平和に満ちた猟師の青年へと戻ることができたのだ。終わりのない戦争が消え去った、この小さな、優しい世界で。
この小説は書くのがすごく難しくて、途中自分がなに書いてるのかわからなくなりました。
小説を書きたいのと、きちんと書き上げる事の違いと難しさを学びました。




