82 パンチラ要員を獲得する
再び猿と戯れレベル上げ。
ウミとピエラは新しいスキルを購入していた。
俺も欲しいがスキルスロットに余裕無し。
猿がピエラを樹上に連れ去るアクシデントがあり、白昼堂々パンツを拝む。
有り難や。
そんな昼の日。
◆
連日のパンチラにもめげないピエラはエロい、いや、偉いなぁなんて思いながら過ごす夜の日。
◆
ウミと少女の風魔法で樹上より飛来する嫌がらせをはじき返す。
前方で邪魔をする猿は飛び上がり槍で叩き落とす。
そこを、鬱憤を晴らすかのようにピエラが杖で殴る。
止めて。
その杖、高かったんだから。
大事にして!
なんとか、遺跡まで問題無く来れる様になった。
◆
「さって、ここから本番だ」
「もう、猿は居ないよね!?」
「何が来ても返り討ちでぇす!」
「アリアシア、転移石、用意しておけ」
「はい」
目の前には、風雨にさらされ、崩壊しつつある遺跡群。
立ち並ぶ石柱と、崩れかけた石積みがその遺跡の大きさと往時の繁栄を物語る。
中心まで、恐らく一キロ程。
街道よりは、いくらか形の残る石畳を進んで行く。
しかし、その道中も決して楽な道のりでなく。
柱の陰から現れた大蛇を踏み付け、盛大に転ぶピエラ。
またしても蜘蛛の餌食となり逆さ吊りになるピエラ。
石畳が崩壊し、穴に落ちるピエラ。
その度に、パンツを晒す。
本当、呪われてるんじゃないかね。あの子。
流石に少し気の毒になる。
でもまぁ、一応他のメンバーは女子という事になっているので既に開き直ったようにも見える。
アイツ、あれか?
俗に言う、パンチラ要員?
「出し過ぎじゃ無いか?」
再び転んでパンツを晒すピエラを見ながらウミに感想を漏らす。
「本人が見せパンだって言ってるから良いんじゃ無い?
ホットパンツ履かせる?」
「それは、ダメ。絶対」
なんて言うか、パンツも、こうちょいちょい見せられると有り難みが薄れる。
いや、それでも見たい。
この葛藤は如何にすべきか!?
「でさ、君も君で毎回凝視しすぎ。アリアが怒るよ。そのうち」
「何であいつが。関係無いだろうが」
「ま、行動に気をつけなさい。お姉ちゃん」
そのネタ、忘れてくれないかな。
「ピエラ、丸見えだ。少しは恥らえ」
そうすりゃ、大分良い感じのシチュエーションだ。
「うるさいでぇす! こんな島、とっとと脱出するでぇす!!」
良い感じで気合いが入ってますね。
そろそろ遺跡の中心部だ。
◆
ここは、巨大な神殿だったのであろう。
しかし、今は屋根は無く僅かに残る祭壇の名残がそう思わせるのみである。
そして、その中央に鎮座する、黒い鱗に覆われた巨大なモンスター。
恐らくは、目当ての宝を守る存在。
「何あれ?」
「ヴリトラ……現実だと神様ね。化身って付いてるから本体では無いのかな」
「勝てるの?」
「知らないわよ」
「勝つんでぇす!!」
杖を振りかざすピエラ。キャラ、崩壊しかけて無いか?
「幸い離脱は可能だからヤバそうならすぐ逃げよう」
「そうね」
「行くですよ! ハルさん、ウミさん、ガンバ!!」
ピエラが両手をグーにして、俺達を励ます。
いや、決してふざけている訳では無い。
彼女のスキル、『応援』。
強化の効果がある。
が、どうしても、ふざけている様にしか見えない。
まあ、効果は確かなんだが。
「なんつーか、気合い入らんね」
「そんな事言ってられる敵じゃ無いと思うよ。じゃみんな撤退は早めに!」
「行くぞ。
貫く投槍」
迫る俺の槍を避ける素振りも見せず、あるいは、気付いていないのかもしれない。
しかし、全身を黒い鱗に覆われ、蝙蝠の如く翼を持ち、頭にいく本もの角と牙を生やしたモンスター、ヴリトラの化身は、その身で穂先を受け止める。
「取寄」
鱗を貫きヴリトラに刺さった槍を引き戻し、その巨体に対峙する。
鎌首をもたげおよそ七、八メートルの高さから見下ろす頭。
全長は優にその倍以上はある。
その高みから見下ろす小さな存在は、どの様に写っただろうか。
「抉れる大地」
ウミがその巨体の立つ地面を抉る。
「星降る如く」
崩れ落ちる大地と共に沈み込むヴリトラ。
そこへ球の雨を降らす。
「炎。全てを無に」
少女が炎を放つ。
「ほわぁぁぁ」
攻撃の手を持たないピエラがその光景に間抜けな声を上げる。
飛翔し、上から追撃。
「貫く投槍」
炎の中に槍を投げ込む。
直後、ヴリトラの巨大な咆哮。
それと共に少女の放った炎が掻き消される。
槍が再び鱗を貫く。
しかし、それは、ダメージらしいダメージを与えている様には到底思えず。
「取寄」
槍を引き戻す。
ヴリトラは、その翼をはためかせ穴から飛び出さんとする。
「必中・飛閃槍」
飛翔し、その皮膜に穴を穿つ。
急制動で反転。
その、翼の付け根目掛け槍を振り下ろす。
「冷気は矢の如く」
「光を切り裂く風」
ウミと少女の魔法がヴリトラを襲う。
「乱れ撃つ」
巨体の至近距離から銃弾を浴びせ掛ける。
鱗が弾け飛び、その奥の肉を晒す。
すかさず魔王特性マジックポーションで回復。
「乱れ撃つ」
同じ箇所に更に追撃。
「降り積もる石礫」
「風が呼ぶ闇の雷」
三者が同時に放った攻撃にヴリトラが小さな咆哮を上げる。
怒りが篭っている様に感じられたその咆哮は、ダメージの表れか?
直後、背後から振るわれた尾の一撃に呆気なく俺の体は地面に叩きつけられた。
「回復」
直後にピエラから飛んで来る回復魔法。
ナイスタイミング。
親指を、立てて礼の代わりにする。
一旦、距離を置く。
「必中・飛閃槍」
鱗を剥がしたその箇所へ全速で突撃。
英雄の槍。
ウミにより紅く染められたその槍の穂先が空気との摩擦で更に紅く光る。
多分、ウミが勝手に付けた機能。
見た目程の威力は伴って無い。
でも、それでも良い。
そのまま、俺自身を槍の一部と化し、ヴリトラの体に突き刺さる。
肉に阻まれ一瞬暗くなる視界。
そして、硬い鱗を内側から貫き再び視界が開ける。
そのまま上に。
怒りを伴う咆哮と共に頭上を舞う俺を睨みつける双眸。
「乱れ撃つ」
その顔に、弾丸を浴びせ掛ける。
「風が運ぶ雷竜」
「風が呼ぶ闇の雷」
再び二人の魔法。
風魔法の電流が、ヴリトラの黒い体皮を走り焦がす。
なぜ風魔法で、雷? と言う突っ込みは不粋である。ゲームの都合だ。
「乱れ撃つ」
更に追撃。
「貫く投槍」
「風が運ぶ雷竜」
間髪入れず攻撃を浴びせ掛ける。
『ハルさん、離れて』
ピエラから指示。
デカイのが来る。
上へ距離を取る。
「取寄」
手元に槍を戻した直後。
「炎。全てを無に」
少女の炎が再びヴリトラを飲み込む。
その炎の中、ヴリトラが三人の固まる方向を見定め、そして、その口を開く。
「離脱しろ!」
咄嗟にそう叫ぶ。
直後、ヴリトラがその口から赤い炎を吐き出す。
その先、盾を展開しそれを防ぐ少女の姿。
しかし、持ちそうに無いか?
「必中・飛閃槍」
上空から未だ少女の放った炎の残る中へ突撃しヴリトラの上顎を抑えに掛かる。
突撃の衝撃で炎が一瞬止まる。
『離脱します』
少女の声。
「行け」
ヴリトラの双眸が眼前の俺を捉える。
『離脱』
『離脱』
「離脱」
黒い炎の中に光る神の目を睨み返し、そして、逃走。
◆
「大丈夫か?」
飛んだ先、ペルシアンの町中で真っ先に目に飛び込んで来た少女に問い掛ける。
「はい。何ともなってません。ハルシュこそ……」
「治癒。大丈夫」
「勝てなかったね」
「でぇす……」
あと一歩、そう思うのは思い上がりか?
「さーて、飯でも食いに行くか」
連続のカレーだけど。
◆
簡素な湯船はあるが、メインはサウナであるらしいこの町の浴場。
風呂とは違う癒しを味わいながら、戦いを振り返る。
勝てた、だろうか?
恐らくは、あと一歩。
追い詰めてはいたはずだ。
最後の一撃。
あの三人が消し炭にされるのも構わず、そして、その後その口を俺に向けていたならば、そこに全ての弾を撃ち込んで……。
いや、少女が炭になった時点で俺の命も無い。
次は、勝てるか?
相手の出方は分かった。
五分五分と言ったところだろうか。
しかし、後三人が再度挑む事に首を縦に振るだろうか。
てかさ、宝探しが神退治にすり替わってるんだけど何でだろう。
◆
「次は、勝つよ!」
ウミはやる気だ。
「試したい事もある。
雷が有効なのも分かった!」
へー。
よく観察している。
「でぇす!!」
うん。
君はそれで伝わると思わない方が良いぞ?
二人は大丈夫。
ま、死んでも別に平気だからな。
こいつらは。
問題は、だ。
魔王の弟子に目をやる。
「私も大丈夫です」
「盾はもっと狭く展開して良い。あの二人より自分を守る事を優先しろ」
「そんな……」
「私は逃げるから大丈夫でぇす!!」
「私も気にしなくて良いよ。アリア」
「そう言う訳だ」
「……はい」
「再戦は、明後日だな」
夜の日は避けよう。
「私は色々仕込むから! 二人とも手伝って!」
「でぇす!!」
「はい!」
うん。
急造だけど良いチームじゃ無いか?
パンツも拝めるし。




