私とコウモリの仁義無き戦い
遅くなりました!すみません!
三話予定でしたがあと一話続きます←
六回目のコウモリの襲撃は予想外で衝撃的でした。
私が一人ぼっちの時にきたんですよ……! あの孤独な戦いを私は決してわすれません。
だって酷いんです……。両親が居なくて妹は友達の家から帰ってこないんです!! 友達といっても男ですよ!? ぜぇったいこれは彼氏だ!
あ、違います。決して妬みなんかじゃないですええ。姉として今のうちから男女交際をするのは如何なものかとただそうおもっているだけなんです!
か、勘違いしないでよね!
私はふふーん♪ と鼻歌を歌いながらお風呂から上がりました。こうでもしないとこの有り余る孤独を紛らわせなかったのです。
風呂を上がってしかも一人だということもありこのときの私は完全に油断していました。一生ものの不覚です。私の人生三大不覚に堂々のランクインをはたす不覚っぷりでした。
「うぃー。良い湯だったなぁっとぉぉぉおお!!!」
な、ななんと! コウモリがいいい居間に!
私の行動は素早かった。
それを視野に入れた瞬間滑るように移動し、開いている扉を閉めた。音さえも立てなかったのは流石プロだと言えよう。
つまるところ、私は一瞬の内にコウモリがこちらに来ない方策を考え出し、実行に移したのだ―――!
彼女のこの動きは後に武道の真髄を表す動きと判断力として高く評価され、ついには海外へ進出。そしてそこで熱烈な歓迎を受けるがそれに甘んじず、ストイックに武の道を究めた。紆余曲折を得て世界有数の大規模な企業の社長と恋愛結婚。子供を二人出産したあとは業界を惜しまれつつも卒業し、穏やかな余生を送った……。
なんて。
うへへへへへ。いや自分でもこの動きは素晴らしかったと思いますよ。あ、遠慮しないでもっと褒めて?
よし。現実逃避はここまでです。冷静に考えましょう。いくら暖かくなってきたとはいえ、このまま親がくるまで放置はつらいです。でも現状は優しくありませんでした。タオルとドライヤーは居間にあります。
お洋服は居間を通ってしか行けないお部屋にあります。………あれ? 詰んだ。
いやいやいやいや!
なにか方法はあるはずだ。
落ち着け。素数を数えて落ち着くんだ。そうそうこういうときは素数をってあれ。素数ってなんだっけ。
……ま、まあいいです! 冷静に冷静に。選択権は私にあるんですし。
1 「このまま待機」 →風邪を発症する可能性あり。
2 「戦う」
っふ。
私は覚悟を決めて閉めた扉を慎重に開きました。
目でコウモリの位置を確認。そして――――走り出す!!
選択肢? そんなの余裕で3「回避」ですよ!
黒豹のように私は戦地とかした居間を駆け抜けました。もちろん扉を閉めるのも忘れませんでしたよ。
ふう。なぁんだ。私やれば出来る子じゃないですか。コウモリなんて私に言わせればちょろいちょろい。素手でも勝てますよ。
今は箒もあるわけだしぃ? もう追い出してきちゃおうかな?
そうと決まればよし、我が家に伝わりし伝説の宝具「箒」を手に取りました。
ブン! と素振りをします。
しっかりと手に馴染みました。まるで私に振るわれるために生まれてきたような箒です。この箒さえあれば……
くくく。あははははははは!
待っていろコウモリめ! この私が貴様を切ってやろうぞ!
私は勢いよく扉を開きました。――ッズビュン!!
「きゃぁぁぁぁ!!」
いいいいいま! 目の前をコウモリがっ!違った。私の素振りとは比べ物にならない音がした。ッズビュン!! って!!
怖いぃぃ。コウモリと二人っきりとか無理ぃいい! お母さぁぁん! いもうとぉぉぉ! この際父でもいいから! たすけて。早く帰ってきてぇ!ごめんなさい。ごめんなさい謝るからああああ!!
お母さん、お母さんのネックレスをなくしたのは私です。
お洋服に似合いそうだからと無断で借りて返そうとしたら飾りが消えていたんです。
妹。あんたのゲームのセーブデータを消したのは私です。
ティッシュケースを投げたらぶつかって床に叩きつけられました。バグじゃないです。
お父さん。…………この前お父さんが「髪が増えて見える!」と書いたスプレーを使っているところをタイムラインにアップしました。あと全然増えて見えないよ。
私は一通り家族に謝るとなんとか落ち着きを取り戻し這いずって部屋まで戻りました。
逃げていませんよ。戦略的撤退なんだから!
※素数とは一と自分自身以外で割れない数のことである。一は含まれない。
※従姉妹(語り手)は馬鹿である。
※最後の謝罪の父の部分は作者(葉っぱ)の所業である。ラインにアップしました。けけけけ




