↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Entwined complexity  作者: emiru
現在編(第三章)
PR
87/109

Section36


Gilles

ルーシェたちを待ちながら、一人僕はクラクスの駅前に立っていた。

……お金がないとルーシェから言われたときは流石に少し呆れた。

でも、これは今回旅行に行ったメンバー全員の問題だ。

だから僕はルーシェがクレアと一緒に別行動をすると言った時、ルーシェに言った。

……ティアナと仲直りすることに関係するのか、と。

でも二人は嘘をつかないと信じているし、何やら二人で話し合っていたみたいだったし、それもあって僕は別行動をすることを許した。

どちらにしろ、あのまま帰ってもティアナはあんな感じだっただろうし、事情を知っているルーシェにお願いするのが一番だったと思う。

それに、確かにティアナが言うように、これはティアナとルーシェの喧嘩だった。

でも、やはり協力してあげたいというのが僕の願いだ。

だからこうしてルーシェたちを待っている。

……いろいろとティアナのことについて話したいこともあるしね。

と、そんなことを考えているうちに待ち合わせの時間になっていた。

電車がついてすぐにふと周りを見回したらルーシェと目があった。

「あ、ジル!」

「ルーシェ、クレア、えらい事してくれたね」

「う……ごめん」

まあ、実際こんなことは予定になかったし仕方ないといえば仕方ない。

それよりチケットだ。

「はい、これ。ティリンまでのチケット取っておいたからこれで乗れると思う」

そういいながらぼくは二人にチケットを渡す。

「ジル、ありがとね」

二人は僕にお礼を言いながら、続けて話をルーシェが切り出した。

「ええと、私たちまだご飯食べてないんだけど……ジルも一緒に食べるでしょ?」

「あ、そうだね。じゃあどこかお店探そうか」

確かクラクスの駅を出てすぐの所に美味しいお店があったはずだ。

僕はそれを伝えようとしたけど……その必要はなかった。

「……あ、ええとね、お昼あるんだ」

「え?」

「ちょっと、お土産というか……うーんなんだろう、お土産!」

なんだかよくわからなかった。

だけど、見れば美味しそうなサンドウィッチだった。

二人がどこに行って何をしていたのかは分からないけど、お土産があるのは嬉しいかもしれない。

「どこか食べられるとこないかな?」

「そうだね、どこか食べられる場所を探そうか」

「……なら、近くに確か公園があったと思う」

ちょうどいいタイミングでクレアが答えてくれた。

クレアは僕たちが歴史資料館に行っている間に確かティアナとどこかへ食べに行っていたみたいだし、ここら辺には詳しいのかもしれない。

僕はクレアとルーシェに付いていきながら、クレアが言う公園へと向かった。


「それじゃあこの辺で食べる?」

公園についてルーシェが言う。

「そうね、結構いい場所でしょ?」

「確かに広々としててゆったりできそうだね」

「……そんな時間は本当はないんだけどね」

ルーシェが言うのももっともだ。

ティアナと喧嘩してるのは変わらないし、少しでも早く仲直りしてほしい。

「とりあえず、腹が減っては仲直りもできないということで!」

「……ルーシェ前向きになったね」

なんだか、昨日とは大違いだ。

クレアとどこかに行っていた間、何があったんだろう。

「んーまあね。ちょっと色々あってティアナとちゃんと仲直りしようって思った」

「僕としても、みんなで仲良くやれたほうが楽しいと思うから……早く仲直りしてほしいと思う」

ティアナがあのままじゃ、僕も困る。

結局の所、ルーシェがティアナと仲直りすれば、ティアナもまた笑ってくれると思う。

「ごめんね、本当にみんなに迷惑かけちゃって」

ルーシェが僕らに改めて謝る。

「いや、僕は事情をあまりよく知らないから分からないけど、ティアナも悪い所があったと思うんだ」

「ううん、そんなことないと思う」

ルーシェはそんなことはないと言っているけど、実際どうなんだろうか。

確かに事情は知らないけど、ルーシェが全面的に悪いような感じもしない。

まあ、よく知らない僕が色々口を出すことではないのかもしれないけど。

……にしても。

「このサンドウィッチおいしいね」

「私もそれ今言おうと思ってた」

クレアも同じ意見だった。

「えーとね、これは私たちがこの前泊まったプレーヴェの民宿あったでしょ?あそこのおばあさんが作ってくれたんだ」

プレーヴェといえば、あの古戦場があったところのことだ。

民宿のおばあさんというと……ヘリテさんのことかな。

「それって、ヘリテさんだよね?この前話してて名前とか聞いたんだ」

「そうそう、ジルも知ってたんだ!」

確かにあの人なら料理とかも色々出来そうだし、おいしいサンドウィッチを作ったのも納得だ。

「にしても、なんでまたあそこに戻ったの?」

「……あ、ええと」

なんだか言いにくそうな事情だ。

「あ、言いにくいことならいいよ」

「言いにくいことではないんだけど、多分言っても分からないと思うんだよね」

言ってもわからないこと?

それはどういう意味なんだろうか。

僕は疑問に思ってそのままルーシェに聞いてみる。

「言っても分からないって?」

「事情を私たちしか知らないというか……うーん、全部終わったらちゃんと話すから。多分、今話してもこんがらがっちゃうだけだと思うんだよね」

「……確かにそうね」

ルーシェの言葉に続けながらクレアも同じ意見みたいだった。

「二人がそういうならそうだと思うよ、だけどちゃんと仲直りしたら色々と聞かせてほしいかな」

やっぱりどんなことがあってこうなっているのかはちゃんと知りたい。

だから、ルーシェたちには説明してもらおうと思う。

「うん、分かった。仲直りしたらちゃんとジルに話すよ」

「ありがとう、それじゃあ食事も済んだしティリンへ戻ろうか」

まあ、戻ると言っても何時間もかかるんだけど……

色々気になることはあるけれど、僕は喧嘩のことについて今は詮索しないことにした。

……この二人なら多分、ちゃんと仲直りしてくれると思う。

そう思えるような1週間だったはずだ。

だから僕はそんな二人と一緒にティリンへ戻ることにした――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。