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Entwined complexity  作者: emiru
現在編(第三章)
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82/109

Section31


Lucerna

……いよいよ、戻ってきてしまった。

ここプレーヴェの町は、200年前よりもずっと前からワインを造り続けていることで有名らしい。

クレアは書類を渡したといっていたけど、どこにあるのか私はまだ聞いていない。

……クレアは見当ついてるのかな?

でも、ワインなんかの場合は200年ものとかないこともないわけで。

ちゃんと保管されてると信じたい。

「クレア、その書類って今どこにあるの?」

居ても立ってもいられなくなって、聞いてみる。

「あー、ちゃんと保管していてくれればここね」

「……え?どこ?」

あたりをきょろきょろ見回す私。

なんだか思い当たるような場所はないような気がするんだけど……

……というか、ここは一昨日私たちが泊まった場所だよね。

「ここよ……」

クレアが指差す先にあったのは、私が今見ていた場所、つまり一昨日止まった民宿だった。

「ここって、一昨日泊まった場所だよね?」

「そうね。ルーシェ、私がここで泣いたときの事覚えてる?」

あ、そういえば。

確かにここにきた時にクレアは急に泣き出しちゃって、みんなで心配しながらあたふたしたんだった。

「覚えてるけど、それが何か関係あるの……?」

「――要するにね、つまるところここ私の長年住んでいた家だったのよね」

「え!?」

ええと、ええと、解釈すると私たちはマリエルが住んでいた家に泊まりに着てたって事?

……それってすごい偶然だよね。

というか、ものすごく驚いた、本当に。

確かに私はディジスの町で殺されてしまってから後のマリエルやエルナの事は記憶にない。

だけど、マリエルがあの後ブロンシェルまで来て辺鄙で小さな田舎町に住んでいたことは驚きだった。

マリエルならもっと大きな街……それこそクォンツィアとかで何かしら働けそうな気はしたんだけど。

「ルーシェ、驚くのはほどほどに家の中に入らない?こんな目の前でもたもたしててもしょうがないし」

「あ、そうだよね。ごめん」

そう言いながら私たちは民宿の中に2日ぶりに入った。

まだお昼過ぎだったので、宿から出てきたおばあさんは少し不思議そうな顔をしながら私たちに言った。

「おやまぁ、どうしたんだい?またここに戻ってきて」

どうやら私たちの顔は覚えていてくれたみたいだった。

クレアが泣き出しちゃったのが印象に残ったのかもしれない。

「ええと、私はこの前泊まらせていただいたクレアです、おばあさんのお名前をお伺いしていいですか?」

……?

何で名前なんか聞いているんだろう。

と、そんなことを私は考えていたけど、その答えはすぐにおばあさんの口から出てきた。

「私の名前は、ヘリテ。ヘリテ・リュミエール」

――リュミエール。

そっか……そういうことだったんだ。

マりエルからそこの話は詳しく聞いていなかったけど、いまのヘリテおばあさんの名前で全て分かった気がする。

……たぶん、マリエルは私が殺された後に私が貸してもらおうとしていたリュミエール家の別荘に行ったんだ。

そして、それがここだった。

その後マリエルはアルジェントから同じく逃げてきたアネットとたぶんここで会って書類を渡したんだと思う。

そこまでが、今の名前から私が立てた仮説だった。

「ヘリテさん、信じがたい話なんですけど……聞いてくださいませんか?」

私がそんなことを考えている間にもクレアは話を進めていた。

本来は私が話すべきかもしれないけど、ここの事情をよく知っているのはクレアだったし、任せることにする。

驚くのも程々にしながら私はクレアとヘリテおばあさんの話を聞き始めた――


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