Section28
Claire
一通り私たちは朝の路上で泣いた後、通行人の痛い視線を受けながら近くの喫茶店に入って一旦落ち着くことになった。
ジルにはもう少しだけ時間を伸ばしてもらうように言って、喫茶店の中でルーシェと話すことにした。
私がジルにお願いして時間をとったのには、一旦落ち着く以外にもう一つ大事な事があったから。
それは、ルーシェに告げなければいけないこと。
……そして、私がマリエルとして告げなければならなかったこと。
何百年も経って、こうしてルーシェとティアナという関係で、仲違いをしているお二人にはどうしても告げなければならなかったことだった。
「……ルーシェ。ううん、シエラお嬢様」
私はマリエルの口調でルーシェを呼ぶ。
「クレア、私はシエラじゃないよ。今は、ルーシェだよ」
「いいえ、シエラお嬢様が話相手でなければいけないのです」
最初は戸惑っていたみたいだけど、程なくして納得してくれたようだった。
そんなルーシェを見て、私は話を続ける。
「率直に申し上げれば、シュヴァルツのアルジェント侵攻も、シエラお嬢様が襲われたのも全て陰謀なのです」
「……え?」
突然の事に自体を飲み込めてない様子。
まあ、当たり前だとは思う。
「それって、どういうことなの……」
「全てはある一人の男によって仕組まれていた事だったのです、お嬢様」
「……それってまさか――」
――そう、私は最初から気づいていた。
あの人が何を企んでいて、何をしようとしていたのか。
些細なことから知ってしまった。
ただ、気づいてしまっただけだった。
だから私は――
「――はい、アルフォンス伯です」
私がそう告げてルーシェは一言、『嘘でしょ』とだけ言ったけれど……
……その時のルーシェの驚きの表情は、何にも例えられないほどだった――




