Section15
Erna
あのあと……食堂ではシエラちゃんに話しかけられたりしていたけど、私はいつものように答えられなかった。
なんていうか、距離がある感じになっちゃう。
一ヶ月くらい会ってなかったから当たり前なのかもしれないけれど……以前はこんなことはなかった気がする。
(――そして私と言えばまたこのベンチで一人で反省会……)
……もう自分が嫌になってくる。
なんで私はいつも思ったことが言えずにしり込みしちゃうんだろう……
結局私はいつもそうやって――
「――えーるな」
「う、うわぁっ!」
「またこんなところで休憩してるの?」
「シエラちゃん、驚かさないでよー」
なんだか今日はよく驚かされる日だなぁ。
考え込んでるときにいきなり声をかけられるとすごくびっくりする。
「エルナ、なんか今日は元気ないよね」
「……そんなことないよ」
「なにかあるなら私に言ってくれてもいいんだよ?」
――シエラちゃんは優しい。
自分から距離を遠ざけてる私にわざわざ追いかけてきてくれる。
……たぶん、シエラちゃんにはちゃんと伝えたほうがいいよね。
「――シエラちゃんがエルスリール家の当主に、なってから全然話せなくて……」
変なところで区切りを入れてしまう。
本当だったらシエラちゃんに会えて嬉しいはずなのに、何故か上手く話せない。
私がそんなことを言うとシエラちゃんは言った。
「そうだよね、お父様が亡くなってからはアルフォンスも忙しそうだし、シュヴァルツにも動きがあるみたいでみんな忙しくなっちゃったのかな……」
「……もう今までみたいにはこうやって話したりとかできないの……?」
「――うーん、できなくはないと思うけど……ちょっと日が開いちゃったりとかするかもしれないよね」
やっぱりそうだよね。
みんな忙しいんだし、私のわがままでシエラちゃんやアルフォンスの予定を妨げてはいけない。
それに今も、この前も、シュヴァルツの動きがあるってことでいろいろ話してたし。
――まだまだ色々と話したいこととか聞きたいことはあった、けど……
ピアノのコンサートのこととか、ブロンシェルに行きたいこととか、私はその時にはシエラちゃんに到底言うことは出来ずに、その日はお別れしてしまった。




