Section17
Lucerna
コンサートが始まってその心地良い音に耳を済ませると、一定のリズムで音が聞こえてきた。
……グランドピアノの音はやっぱりいいもので、なんとなく懐かしさを感じる。
さっきはティアナにコンサートが苦手って言ったけど……悪いこと言っちゃったかな。
こういうコンサートを鑑賞したことはないけど、心が落ち着くのと同時にドキドキすると言うか、なんともいえない気分になる。
……横目でティアナを見てると少し目を閉じながら聞き入っている感じだった。
なんか少しかわいい。
と、そんなこと考えてる場合じゃなかった。
演奏はとても丁寧で、聞いててすごく落ち着くような曲だった。
曲がとても哀愁というか昔聞いたことあったような曲なのか、妙な懐かしさがある。
……正直コンサートと言うものが苦手と言うよりは、舞台で演奏したりすることとかが苦手のような気がした。
小さい頃はピアノのコンサートに出たことがあるけれど、どうも緊張なのか演奏するのが怖いのか、あまりコンサートが好きじゃなかった。
でもやっぱり、こうして鑑賞するのは好きだし、聞いてて心地良いし、私の考えすぎなのかもしれない。
――と、そんなことを私は考えながらコンサートを鑑賞していた。
……コンサートが終わると既に時間は5時を回っていた。
空はまだぜんぜん明るいけど、そろそろおなかが減ってきた……
ご飯は確かホテルで食べるんだっけ?
「ジル、ご飯何時くらいなの?」
「ええと確か……」
「……6時25分、ホテルでご飯を食べる。と書いてあるな」
ラルフさんさすが!
なんか、さっきのラブホテルの件を上手く挽回した感がすごい!
「ラルフありがとう、ラブホテルのことは忘れるよ」
「……ルシェルナ」
――あ。
言ってから気が付いた……
ごめんねラルフ!
「食べ放題が良いなー!」
「ティアナ、食べ放題だから大きな声出さないで……」
ジルがティアナを諭してるけど、確かに私たち目立つよね……
なんていったって5人で旅行しながら騒いでるんだし。
特にティアナが目立つ、ティアナが!
目立っててもかわいいからいいんだけど……
と、それは置いといて。
やっぱりブロンシェルの街並みはいいなぁ。
……あ、シュヴァルツだっけ。
でもブロンシェル当事の街並みがこう残ってるのはいいと思う。
綺麗だし統一感があるし、見ていて良い気分になる。
まあもっとも、今建てられてる建造物のほとんどはアネクシオン戦争以降のものらしいけどね。
それくらい戦争は悲惨だったらしい。
でも、結果的にここまで復興して美しい街並みを取り戻せたからいいのかな?
戦争は良くないけど、シュヴァルツが統一してその後ずっと平和だから、もしかしたらそれが最善策だったのかもしれない。
で、そんなことは今の私には関係なくて……お腹すいた!
ご飯を食べたくなった私はさっさとみんなでホテルに向かうことにした――