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夏元とアミュズ中山

夏元康が自身の事務所で中山と電話をしていた。


「ナインエンターテイメントの李華雄!そんな大物がUTUMIの所に直接来たのか!!」


夏元が電話口で大声を上げる中山に顔をしかめてスマホを耳から離す。


「あぁそうらしい、あのアジア最大の芸能プロダクションのトップが直々にだ、俺も話を聞いた時はちょっと信じられなかったよ」


「しかし日本のアーティストだぞUTUMIは」


焦ったように中山が呟く。


「まあな、日本のアイドルは基本的に世界に向けて活動してないからな、そう言う意味では韓国の方が世界に向けて新人教育している、でもUTUMIは日本のアイドルの枠には収まらんだろ」


夏元のプロデュースするグループもアジア公演はやっているが、あくまでもメインの活動は日本国内だ、日本と韓国ではアイドルの方向性が違う。

日本は気軽に会いに行けるアイドルで、まだ実力が無いうちにデビューして、ファンと一緒に育てて行く、その親近感が重視された弊害で昔のようなカリスマ性は無くなってしまった。逆に韓国では完成した状態でデビューする。この辺はどちらが良いのか判断が難しい、お国柄もある。


「当たり前だ!UTUMIは世界レベルのアーティストだぞ!!」


「じゃあ、世界展開を目指すナインエンターテイメントが動いても不思議じゃないだろ、UTUMIといい加減ちゃんとした契約をした方がいいんじゃないか」


夏元としてはUTUMIの軽いノリは、場合によっては悪い方に転がる危険があると思っている。

中山のアミュズとUTUMIは正社員契約ではなくパート契約に近い、現状まだ他社がつけ込む余地があるのだ。


「そう言われても……UTUMIが現状で満足しちゃってるんだよな、頭痛いわぁ」


「まぁ、あいつはなぁ、危機感ゼロだからな、ま、頑張ってくださいよ」


夏元が呆れたように中山を諭す。

そうなのだ、UTUMIはすでに日本だけじゃなく今や世界から注目される存在のアーティストとなっていた、その正体はスターの自覚の薄い片田舎のグラフィックデザイナーだ。

あれだけ売れてるのに、未だバイト感覚で仕事をしている感なのだから。






その片田舎のグラフィックデザイナーは。


「ねぇ、お兄ぃ、私考えたんだけどお酒の会社、サントリーとか麒麟のCMに出演すればお酒とか貰えるんじゃない?毎月のお酒代浮くよ」


「あぁ、俺もこの前吉牛に行って思った、大盛りサービスくらい無料にして貰えるんじゃないかって。そう考えて見るとCMの仕事って美味しいかもな、今度中山さんに相談してみようか」


あれ?こいつ前に飲料メーカーのCM出てなかったっけ、あぁ、コーヒーだったのね。

あれ?ワインは?あぁ、1ダースは貰ったけど、HOTOMIにお礼であげたのね。


「あ、じゃあ私お菓子のCMが良いな、ポテチとか1箱くらい貰えるかもよ」


今ならナフサショックでモノクロパッケージかもしれない、店頭に並ぶ中で1メーカーだけならモノクロパッケージも目立つかもしれないが、商品の棚全部がモノクロになっちゃうと購買意欲は下がるかもしれないな。(カッパえびせんのモノクロパッケージ買ったが、やっぱえびせんは赤が良いなと思ってしまった)

まぁ、そう言う問題では無いのかもしれないが。


「え〜お菓子よりは酒でしょ、これからの季節ビールの方が良くない?サッポロ黒ラベル、金麦より値段高いし同じ1箱なら俺そっちが良いな」


お前それくらい自腹で買えるぐらい稼いでるやろと、この場に藤崎がいれば確実に突っ込んでいただろう。


えっ、売れっ子のCM契約ってそんなレベルの話じゃない。知らんがな。

(人気俳優クラスで3000〜4000万、トップクラスで1億くらい、大谷翔平レベルだと10億からなんて噂も、2026年上半期では1位川口春奈17社、2位今田美桜・大谷翔平16社、4位芦田愛菜15社らしい一体いくら稼いでるんですかね)



アミュズ中山や夏元、ついでに日本芸能界が真剣にUTUMIの芸能活動を考える中、当の本人の悩みは自分で作ってるチラシの書体にどれを使うかなのだから、危機感がないと言われても仕方ないと思われる。




その頃、韓国の事務所に戻ったナインエンターテイメントの李華雄と言えば。


「やはりギャランティー先に提示するべきか、いやあまり金銭にこだわるようには見えなかった、それともワールドツアーの提案、どうも日本人の思考回路は読むのが難しい、しかしあれほどのカリスマを我が社に迎えられれば全世界に…」


「李社長、ウチで人気の男性タレントを交渉に使うのはどうでしょう」


李華雄が悩んでいると、部下がそんな提案をして来る。


「う〜ん、私も実物に会ってみたが、ハニートラップは成功のイメージが出来ないが」


「でも彼女の年齢的に結婚を考えている段階では、女性は感情で動く場合もあります」


「やる価値はあるか、しかしUTUMIの男性の好みはどうなんだ、ショタ、年下、青年、中年色々あるだろ」


「すぐに調べてみます!」



駄目だと思うぞ。

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