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№020 烏丸くんはロリコンではありません…よ? 【風評被害はなかなか消えない】


「……んー?」


「って、どうかしましたの?」


「ん。なんか、ちょいかたかった」


「そりゃああの見た目ですし……」


「そういうことじゃなくて、こう、かんしょくがへん?」


「よくわかりませんわ」



 落ち着いて事が終わってから、たった今討伐した獲物を検分し始めているらしいこだまに、その内容が感覚的に窮めついているために相槌を打つことしかできないこはく。

 そんな曖昧過剰戦力ふたりに、背負われていた幼女が口を挟んだ。



「とりあえず……、あっちの方に馬車があるみたいだし、はなし聞いてみる……?」


―イオちゃん、指さしてる方、岩肌しかないけど……?


「あの怪獣から隠れてやり過ごそうとしてたみたい。というか怪我人がいるのかも。ほのちゃんの【かいふくまほー】で交渉してみようよ」


「なーすうぃっちほのぼのちゃん、はじまるよー」


―へ、変な名前で呼ぶのやめて……?



 意外にも幼女の判断力と選択が簡単に受諾されていた。

 この集団(パーティ)の舵取りが見た目で取り決められていない、という証明のひとつにもなっている。

 何気に天然キャラのこだまや基本態度が高圧的なこはく、そして外見だけなら頭抜けているがこだまに揶揄われて恥ずかし気に留意を促す(ツッコむ)内気なモデル系美女、次縹(つぐはなだ) ほのぼの(仄々)の3人では役不足である、という証明にも成るかもしれない。本来的な意味合いではなく、誤訳的な意味合いで。


 それと、何気に対人捜索力とも呼べる精密性と正確度が異常なくらいに可笑しいのだが、それくらいで居ないとキャラの濃い彼女らと付き合えないのだろう。

 何より、今現在星の裏側とも呼べそうな遠距離にいる問題児との関係性が、彼女のやる気を促進させていた。



「ひょっとすればソラくんのところまで行く伝手になってくれるかもしれないし、現地のひとならこの先の国に入れるように取り計らってもらえるかもだし」


「計算高い幼女ですわね。やはり烏丸さんと付き合うと変な方向に成長するのでしょうか」


「も、もうっ、褒めてもなにもないよっ?」


「褒めてませんけど……!?」



 こはくの呆れた声に、恥ずかしそうに微笑(わら)う幼女、いや少女。

 烏丸ソラの現『彼女』である、空五倍子(うつぶし) イオリ(五百理)のロジカルな部分と年相応の感情的な少女らしさとの齟齬に、何故か戦慄を覚えるこはくであった。




  ◇    ◆    ◇    ◆    ◇




「えーと……? 要するに、キミのハーレムメンバーが行方不明だから、それを探すためにこの世界に居残ってる、って解釈でFA?」


「ハーレムのつもりはないですが、まあはい」



 チートハーレム野郎はみんなそう言うんだよ。


 ボクの代表した問いかけに、やや気まずそうに応える烏丸くん。

 しかしちょいと待って欲しい。

 召喚されたのはこの国の所為だし、巻き込まれたのは王様のガチャ運の無さの所為だ。

 個人的な理由で帰還を先延ばしにしているとはいえ、それでも烏丸くんが肩身の狭くなる理由がわからない。



「なぜにそこまで居心地悪そうなのかな。キミはもっと傍若無人ではなかった?」


「そんなキャラじゃねえって前にも言いましたよね?」


「ははは、なにをばかな」

「説得力ないわな」

「もうあきらめろ」

「ばーかばーか!」



 全員からの総ツッコミが入った。

 いや、1名なんか違うけど。



「とりあえずピンク先輩はまた後でケツバットします」

「ちょ」

「二次創作系オリ主や素人ジュブナイルの主人公じゃあるまいし現実でそんな傍若無人できるわけないでしょーが! この世界にはもっと怖い人がいっぱいいるんですからね!?」



 前にもあったような遣り取りでキャパオーバーしたのか、実績あるような魂の咆哮がコダマした。

 あと桃園さんだけ違う枠取りで、例えればメッチャイケてる感じのバラエティ的なノリで相手されていたけど仕方ないね。



「なんだか変に説得力持っとるなぁ……?」


「それだけ人生経験あるっていうだけですよ。物理法則働いてても追い付かないのがファンタジーです、よく現実舐めんなって耳にしますけど、ガチモノの考証入ったファンタジーと対面してから言ってみろってんだ」


「まあ、やさぐれんとき……?」



 ダークサイドに堕ち欠けている後輩に、心なしか慰めるように諭そうとするカイチョー。


 しかし烏丸くんの話してる中身って『異世界に召喚されてから』じゃなくって『元の世界』に比重が傾いてるんだよなぁ。

 いつからあの世界(現実)はファンタジーになったのやら。



「話を戻しますけど、『あの日』いっしょに居たのは同中出身の4人、つまり巻き込まれ確定なのが4人です」


「……『同年代の女の子』っていう部分はどうしたって不安材料にしかならないな。 烏丸がやってくれた『コレ』みたいに、サバイバルを乗り越えられそうなモノが施してあれば別かもしれないが」



 沿う言って、カナちゃんが右手を開いた。


 忘れそうになるけど、魔導刻印と纏めてカテゴライズするしか呼び名が無いシステム(ガチャ)・ストレージ・ステータスの3つが立体映像みたいにくるくる回る。

 ……そんなエフェクトあったっけ……?



「前にも言った通り、多宝天壌出身なのでそれなりに能力はあります。ただ、基本的に俺たちは国の管理下に置かれてるので、その能力を扱うことに一定の許可申請が要るんです」


「は? それ緊急事態とかで見逃して貰えへんのか?」


「それだけ危険ってことですよ」



 あ、あれれー? 烏丸くんの『心配してる』方向性が、なんだか明後日だぞー?

 本人たちよりも、それが放置された『周囲』を心配しているような……。



「ちゅーかキミ、この世界来てからふつーに色々やってないか? そんなんでよく許可云々言えるな」


「バレなきゃいいんです。というか、俺は基本的に管理下にも置かれてますけど別口にも権利持ってますから、よっぽど悪いことしなければ見逃して貰えますし」


「キミにこそキチンと首輪つっけーや……!」



 この国の誰しもが浮かべるであろう慟哭を、代替してカイチョーは口にする。

 いや、本人も思ってることだろうけども。


 そっかぁ、烏丸くんの中ではこれまでの『やらかし』って『悪いこと』に入らないんだぁ……。


 次々明らかになる衝撃の事実に、内心で無駄に冷や汗を流し続けるボクを放置して。

 基本的にカイチョーが受け取る形で、烏丸くんの言い訳は続く。



「なので、そういう事態に陥った時に、あいつらがどっちに転ぶのかがちょっと想像つかないんです」


「信頼とかはないんか」


「『信じる』ってことは『わからないもの』を『こうだと決めつける』ことですよ? 俺はあいつらのことは『知って』ますけど、流石に緊急の事態にどうなるのかまでは『知りません』し」


「いや、そうでなくて……、ああもう、なんでこうもセメントなキャラなのか……」



 希望的観測を持たないことは大事だけど、此処まで突き詰められてカイチョーも困惑せざるを得ない。ってところだろうか。

 烏丸くんの人間性って、要するに理屈で突き抜けてるんだよね。

 感情を持ってない、というわけではないのだろうけど、公私を分ける思考をあまりしていないような。


 ……あれ、なんかよくよく考えるとちょっとヤバいレベルの人間相手にしてる気がしてきたんだけど……。



「話を戻しますね? 俺の【領域】だと探知範囲は精々500キロが限界なんです」


「あれ? 前に数メートルが限界って……」


「それ嘘です。とにかくこの国だけでも、全土を捜索するには全然足りません」



 さらっと暴露される虚言。

 いや、気にしてなかった事項だから良いけどね?



「いや、それでも充分可笑しいと思うけどな? 東京から大阪を覆える捜索領域ってなんや……?」


「お蔭で年に数回ですけど、警察から逃亡犯の潜伏先を問われます。よっぽどの緊急事態にでも陥らない限りは『向こう』も関わってきませんけどね」


「ああ……、好き好んでキミのようなタイプに借りを作りたくは無いわな」


「心外な」



 妥当だよ。

 前にもあったような遣り取りで、内心ツッコミを入れるのはさておき。

 一刻も早くに身内を見つけたいのなら、烏丸くんならもっと手段を選べるのでは、と考える。

 考えて、気づいた。



「あ。この国に借りを作りたくなかった、っていうこと?」


「おお。それですね」



 素で驚いたような顔で、口を挟んでしまったボクに肯定する烏丸くん。

 ああー……、と納得の顔で疲れたような声を出すカイチョーに、えぇ……? とややわかって無さそうなカナちゃん。

 そしてちょっと黙っているパッションピンクは、話についてこれていないのか、目に分かるように固まった笑顔で疑問符を浮かべていた。



「まあ、改めて説明しますと『この国を信用できなかった』が最大の理由ですね。あいつらは俺の『弱点』にもなり得ますから、それを先立って確保されるように動かれでもしたらそれこそクソみたいな事態にしか陥りませんし」



 そういう『わからないひと』にも説明することを流さない辺り、本当に烏丸くんは反省しているらしい。

 なるほど、彼が『自分の負け』と『詰めの甘さ』を纏めて『責任』と訳したのも納得だ。

 こういう『足並みを揃える』ことを、烏丸くんは詰め切れていなかった。


 物事の根幹は日常にこそある。

 其処で彼は全員の信頼を得ることはできず、結局土壇場でちゃぶ台を返すような遣り方でしか場を収めることができなかった。

 それをスマートではない、と彼なりの反省を抱えているのかもしれない。



 というか、其処で足並みを揃えるべきなのはボクらなのだけど、それを暗にもこっちの責任にしないってどういう思考してるんだ。

 いや、後輩に全部任せっきりにしちゃった負い目しか出てこないけど、自分がそれを全部負おうとする必要までは無くない?


 そして彼の説明の端々から感じる、事態解決の手段と選択肢の薄暗さよ。

 どう解釈入れても、『弱点を突かれたら負ける』よりも『それをしてきた奴らをタダで済ませるつもりはない』って言ってるようにしか聞こえない。


 これは要するに、



「……ツンデレか!」


「ツンデレじゃねーし……!?」



 わぁーおーぅ、と思わず喜ばしいニヤニヤ笑いが止まらない。

 そうしたボクらの遣り取りで、気づいたカイチョー、カナちゃん、ピンクがはっとしたように微笑みが伝染する。



「なるほどなぁー、烏丸くんは烏丸くんなりに、行方不明の子たちを想っているんだね!」


「は、恥ずかしいセリフ禁止ぃ!?」


「あっはっは、ネタで誤魔化さなくても」



 やったぁ、ようやく楽しい話が出て来たよ!

 一瞬彼の人間性ですっごい薄暗いところに引き摺り込まれた気がしたけども、根っこのところで大事にしたいものがあったから問題はナッシング!


 というかだからこそ彼なりの選択肢が狭められていた、っていう理由にあたるのだろうけどね。

 それなりにキャパオーバーしてたから、やりたいこととやるべきことをけっこう綯い交ぜにしちゃって、でも頼るところもないから自分がやるしかない、と。


 まあ、ボクらだって初対面のひとを相手にして、すぐに味方とは判断し切れないし。

 彼が自分の大事な事情を明かさないように、むしろ情報過多なくらいに混ぜっ返していた理由がようやくわかったよ。



 そしてそういう事情をなんとはなしにみんなも把握したのか、

 ニヤニヤと愉悦が止まりません。(笑)



「と、とりあえず! だから俺なりの理由ですが、あいつらを探すためにこの国を見て回りますので、帰還はそれからです。それでいいですよね?」


「「「「そーでーすねー」」」」


「懐かしいなオイ!?」



 いま、みんなのこころがひとつに……!



「まあ、愉悦はさておき」

「愉悦っつったかコラ」

「怒らない怒らない。探し人ならやっぱ人海戦術にせーへんか? キミのハーレムメンバーの為人(ひととなり)を私らも知っておくべきちゃうかな?」



 草を生やしつつ、カイチョーが思惑が透けて見えるくらいの笑顔でそう提案する。

 そうして烏丸くん本人から惚気を誘い出そうっていう魂胆なんですね。わかるわ。



「いいえー? 残念ですけど、この国はやっぱり信用できないままですからねー。こちらから情報は出しませんよー?」


「まあまあ、うちらはもうソウルフレンドやん?」

「「先輩にどーんとまかせなさーい」」

「恥ずかしがらなくってもいいんだぞ?」


「急に距離縮めて来たなオイ」



 ……あ、桃園さんと科白被った。

 まあいいや。



「というか、ほんと真面目な話、こっちから探せなくても向こうのひとりが捜索能力に俺以上に優れてるのが居まして。1週間一定の場所に居たので、何かのタイムラグがあったとしても向こうももう探し出してると思います」


「……ん? 500キロ以上の捜索範囲持っとるってこと? なんやそれ怖いな」


「探知系に特化してるわけではなく、探知にも応用が利く感じですね。俺個人なら何処に居ても見つけてもらえます」


「ほぅ?」



 真面目な話は何処に逝ったのかな。

 カイチョー並びに、ボクらの顔に愉悦が浮かぶ。


 アイコンタクトで、このまま話させよう、と決定。

 何気にこの子、情報流出に関しちゃけっこうザルだし。



「元々迷子札っつーか、プライバシーの視点からも考えて、あっち側から居場所を特定できる術式を簡易型で造っていたんです。皆さんに施したモノの試作型ですけど。それもやっぱりあんまり性能高いと情報規制の問題で法的に引っかかるので、マーキングした対象を追跡できる方式で」


「ほむ。真面目な話になっとるけども、それでキミが犠牲になるんはなんか間違っとらんかな?」


「犠牲も何も、こっちだって『そういうモノ』を取り扱っても問題なさそうな奴を選んでますよ。何より彼女ですし、居場所を把握されるくらい気にしませんって」



 そう笑い飛ばして応える烏丸くんに、思わず驚愕が先に出る。



「恋人関係ってひとりだけなの!?」


「……あんたはなにいってるんだ」


「いや普通は1on1が当たり前なのは知ってるけれどもハーレムなんだから全員が恋人とかクソゲスな言葉使うかと思っていたから逆に驚愕だよ!?」


「ほんとになにいってんだあんた!?」



 思わずワンブレスで言い切ったら烏丸くんからの先輩呼びが消失したけども気にはしない。

 だってそれよりも面白そうな話が出て来たからね!

 なんで他人の恋愛話ってこんなに面白いんだろうね!


 そんなこんなで話に花が咲き、旅の準備が遅れることを今のボクたちは思いもしなかった。




~次縹ほのぼの

 なーすうぃっちほのぼのちゃん

 前髪で目元を隠しているけど身体の出来栄えは主張が激しい内気っ子

 ステータスは174、92、58、88。もでるたいけい



~空五倍子イオリ

 ロジカル幼女いおりん

 そらの彼女であり要するに現恋人。そらが施した逆GPSのお蔭で索敵能力がパネェ

 ステータスは132、62、54、68。ょぅι゛ょ



~烏丸、魂の咆哮

 なんか実感すごぉい…!



~クズとか外道とか色々言われておりますが

 烏丸は優先順位を持っているだけです

 優遇しない方にはホントセメントな対応になるだけで、悪いことを進んでやろうって子じゃないんですよ…?



~そんなわけで

 20話かけてようやく皆さんの心がひとつに…!

 ラブアンドピースって偉大よね!



~そしてお相手

 いや、ほんとうにそういう趣味ってわけじゃないんです。ほんとに(迫真




これにてようやくひと段落

前提が整いましたのでやっと本編を始められそうです


…ええ、これでプロローグなんですよ…


次回は執筆がまだ途中なので、週末か日曜に投稿することになりそうです

間に合わなくて待ってられないって方は直メでせっついてやってください。土下座で対応します

それではまた次回の投稿で

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