相羽城攻め
「景興様、斎藤勢がすぐそこまで迫っております」
相手の兵力は一万を超えているそうだな。
五百の我らにはどうすることもできん……
我々の目的はあくまでも勝つことである。
「勝てないと分かっているのにお前たちを巻き込んでしまってすまない……」
頭を下げて自分は言った。
こんな事をして許されないのは分かっている。
だが部下達の顔には決心ができているようには見えた。
「顔を上げて下さい、殿」
「我々は最後まで殿のお供をさせていただきまする」
勝てないと分かっている。
それなのに士気は落ちなかった。
こんな状況にも関わらず降参しようと言うものが誰もいないのだ。
「皆、我々の最後の意地見せてやろうぞ」
「城を取り囲め!」
道三様が言葉を発した。
平城というのは数が多ければ攻める方が圧倒的に有利になる。
「鉄砲隊、用意!」
今撃とうとしているのは威嚇用なので弾は入っていない。
ドォーンと号砲が鳴り響いた。
「降伏する気はないか?頼芸はこちらにおるぞ!」
よく聞き取れる声で道三様は言った。
すると景興達は城から出てきた。
降伏してくれるのか。無駄な争いがなくなってよかった。
「儂らは降伏する気は毛頭ない。頼芸は逆賊に降った裏切り者ぞ。皆の者、美濃の武士としての意地を見せてやろうぞ!」
相手から歓声が湧き上がった。
これだけの兵力の差を見せつけられても、あのような士気を保てるものなのか……
これには頭が下がる。
決着は小一時間でついた。
差があったにも関わらず苦戦した。
同じ美濃の武士として尊敬できる人達であった。
しっかりと弔ってやらないとな……
「少し休んでから揖斐城へ向かうぞ」
まだ続くと思うと気が滅入るな……




