濃姫救出
「怪我している者や降伏してきたものは絶対に殺すな!」
戦は終結した。
土岐頼純の最期の望みは叶えてやらねばならぬと思った。
彼らが自立して生活できるようになるまで面倒を見てやらねばならない。
何故そう思うかというとただ見逃してそこら辺に放置するなら、殺してやった方まだ幸せかもしれない……
それは大袈裟かもしれないが勝った方には面倒を見る義務があると思っている。
「土岐頼芸は京極を頼って逃げたようだな」
と広忠殿は不満気な顔を見せた。
頼純と違って頼芸という男は自分のことしか考えれぬ不届き者だと思った。
死にたくないのは分かるがあんな奴が兵を持つ資格はない!
「十兵衛様、濃姫様が地下牢で見つかったそうですよ」
と左馬助が喜びながら報告した。
「そうか、それは良かった……」
人質の存在であった濃姫殿が無事で本当に良かった。
失敗していたら自分の首があったかどうか……
濃姫殿は自分のいとこだし、本当に無事でよかった。(因みに自分の叔母にあたる人だ)
「濃姫殿、本当に無事でよかったです!」
「十兵衛ね……あなたは何故私を助けたの?」
えっ?これは予想外の反応だ……
「道三殿に頼まれたというのもありますが、純粋にいとこであるあなたを助けたかったのです!」
「そんな嘘は言わないで!」
え〜何この反応!思いっきり拒絶されてる……
これは精神的に辛い……
「いや、これは嘘ではなくてですね……」
どう返したらいいのか分からない。
「十兵衛、でかしたぞ!お前は本当に信頼できる奴だ」
「道三様ではないですか!お褒め預かり光栄です」
今は褒めてくれたことよりも、只々この空気の流れを止めてくれたことが嬉しい!
「褒賞はまた後日にするとして後の処理はこちらでやるからお主らは自分の城に帰って英気を養ってくれ」
言われてみれば自分はひどく疲れていた。
肉体的にもしんどいがこれは精神的にやられている。
当たり前ではあるが……
「道三様、少々気になることがありまして……何故か濃姫殿に拒絶されてるのですがどうしてですかね?」
この話をすること自体がとても辛い……
すると凄く笑われてしまった。
もしかして昔に何かやってしまっていたのか?
「濃はな、重度の人間不信なのじゃよ。基本儂の言うことしか聞かん」
と言ってまた笑った。
「は、はは……」
そうか……嫌われているわけではなくて良かった。
けど、けれどである、夫であった頼純の事を考えるととても気の毒に思えた。




