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ある日指輪を届けたら溺愛が始まりました〜貧乏令嬢が街で指輪を見つけたら、運命の人に出会った話〜  作者: 漆原 凜


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1/3

働く

「エリザベス様お気をつけて、いってらっしゃいませ。」


まだ日が昇る前に侍女に見送られ、馬車に乗りいってきますと家を出る。毎朝早起きをして王都のパン屋へと働きに行く。


私の家は伯爵家だけど2年前の災害で沢山被害が出て、税収が落ち込み没落寸前まできている。家族会議で領地を王家へ返すという話も出ていたが、あと数年で弟が学院を卒業というのもありやれるだけやろうと決まった。


家計のために働いているが働くのは楽しいし婚約者もいないから、私はこのまま平民になっても良いかもしれない…貴族でいても先はないから。嫁ぐにもお金はいるし、出会うためにもドレスだ社交だとお金がかかる。何をするにもお金お金…宝石でも落ちてないかな。


そんな事を思った日、職場に向かい歩いていると綺麗な宝石が落ちている。キラキラと光っている指輪。キョロキョロと周りを見るが誰も居ない。このまま私が…いや、そんな事できない。ハンカチで包み近くを見回りをしていた騎士様に渡す。名前を聞かれたが断り職場へと急いだ。


「おはようございます」


「リズちゃんギリギリなんて珍しいねー」


落とし物を届けてたら遅くなっちゃって…と慌てて用意をし開店準備にとりかかる。急いだおかげで時間に間に合って良かった。雇い主の方はとても良いご夫婦で右も左もわからなかった私に優しく色々教えてくれた。本当ならクビになってもおかしく無いのに、何も出来なかったのに雇い続けてくれたのだ。


「お嬢ー!いつもの2つ!」

「今日はお嬢出勤なのねー」


いつもの常連さん達が来て私をお嬢と呼ぶ…何も出来ず戸惑っていた頃から成長を見守ってくれた優しい方達。感謝しか無い。


仕事も終わり疲れたなーって帰り道歩いていると、ん?全く同じ指輪がまた落ちている…。近くを朝の騎士様が歩いていたため声をかけ呼ぶ。指輪を見つめ2人で思案したが謎すぎてわからない。騎士様曰く騎士団に持っていき、昼頃には持ち主の元へ戻ったそう。まぁまた預かりますとなり、考えてもわからないのでお願いをした。


なんと次の日の帰りもある…えっ、恐い。そしてまた昨日の騎士様…私ループしてる?ってそんな訳ない。わけがわからなさすぎて笑ってしまう。


預かりますって優しく笑ってくれる騎士様は、目にかかるくらいのサラッした金髪にサファイアのように綺麗な瞳。目を細めて笑う姿にドキドキしてしまう。


「また何かあったらいつでも言ってください。アレンと申します。大体そこの騎士団にいますので。」


「ありがとうございます。私はリズです。そこのパン屋で働いています。また何かありましたら伺わせて頂きますね。」


では失礼しますとお別れをする。不思議な体験のおかげで騎士様に知り合いが出来たと思いながら帰る。


次の日アレン様がパン屋に来てくれた。また持ち主の元に戻ったのだけど、持ち主曰く不思議な指輪なのでふいに逃げてしまうと。


「…逃げる?」


「はい…持ち主が魔術師の方で、あの指輪は不思議な力があるらしいのです。まれに居なくなるそうで、今回もまたかって感じで。毎回同じ方が拾ってくれていると話をしました。その方が言うにはまた貴方の前に現れるかもしれないと。」


「はぁ…不思議ですね。ではまた見つけたら魔術師様にお届けしたら良いのですか?」


「あぁ…何かその方が言うには私を通して返却して欲しいと。なので連絡貰えれば取りに伺わせて頂きます!」


よくわからないが、わかりましたと返事をする。あと、これくださいとパンを買ってくれる。お会計をしてお見送りをする。


「リズちゃん知り合いかい?」


「この前落とし物を届けてから何度か会いまして、今日は用事で来てくれました。」


「えらい男前だねー!騎士様ならリズちゃん良いんじゃない?」


「いやー無理ですよ。絶対彼女いますよ。」


そうだよねーと女将さんと笑う。お嬢これちょうだいと声をかけられ慌てて接客に向かう。


お疲れ様でした!と店を出ると、落ちている。本当にまた指輪が落ちていて、不思議な事に誰の目にも入らない。こんなに綺麗なのに拾われる事なく存在している。何故私の前に現れるのかしら?まぁ帰り道なのでアレン様に届けに行こうと歩き出す。


騎士団に向かうとすぐアレン様に出会った。リズ嬢と微笑みかけてくれ、預かるねって手を差し出してくれる。指輪をそっと置き預ける。


「今から帰るの?」


「はい!仕事が終わりましたので。」


「良かったら、一緒にご飯食べに行かない?私ももう戻ったら終わりなんだ。少し待ってもらわないといけないけど、どうかな?」


「…いいのですか?行きたいです。」


「もちろんいいよ!ちょっと待ってて。すぐ戻って来るから!」


アレン様は走って騎士団に入っていき、少しすると騎士服から普段着に着替えて戻ってきた。シャツにズボンとシンプルなのにとても素敵だ。


お待たせ!行こう。と手を差し出される。ん?と首を傾げると、迷子になるとダメだからって手を繋がれる。いつも騎士団の皆と行く所でいい?て話しながらアレン様は歩き出す。私は戸惑いながらもついて行き、ココだよって慣れた感じで入っていく。お店の方に女の子連れなんて珍しいって言われながら、全く気にしていない様子で席に着く。


適当に頼んでいい?と言われおまかせする。初めて入るお店でキョロキョロと店内を見る。凄く賑やかで楽しそうなお店。


「こういう所初めて?」


「王都で食事に行かないので初めてです。ドキドキします!」


ハハッ誘って良かったって笑っている。綺麗な吸い込まれそうな青い瞳に綺麗な陶器のようなお肌、本当格好良すぎる。


「あの…食事に誘って頂けて嬉しいのですが…」


「え!迷惑だった?断りたかった感じ?」


「いえ、彼女さんとか婚約者様とか奥様とか色々大丈夫なのですか?」


いないよ!私何だと思ってる?!って慌てて否定している。この見た目でいないとかある?疑った目で見てしまう。


その時おまたせ!とお店の方が食事を持ってきてくれ、このコ全然女っ気ないから大丈夫!初めて女の子連れてきたくらいだよ!って笑っている。


「ね!彼女も婚約者も!もちろん奥様とかもいないから!安心して?」


「良かったです。アレン様素敵だから絶対1人じゃないと思ってました。」


だからまた誘っていい?って言ってくれる。ずっと家との往復だけだったから嬉しい。


「休みの日とかあるの?出かけたりする?」


「週2回お休み頂いてますけど、ずっと家にいますね。最近は休みにもう1つ仕事しようかと思ってます。」


「いやいやいや。待って。今度私と一緒に出かけよう?出かけるのは嫌い?」


「…」


嬉しいお誘いではあるけど、あまりお金がかかる事はしたくない…。んーどうしよう。


「断られる感じ?理由聞いてもいい?」


「…恥ずかしながら家計のために働いてまして、あまり余裕が無いといいますか。お誘いは嬉しいのですが、申し訳ございません。」


「それが理由なら私が全て出す。最初からそのつもりだし!意外と高給取りだから、いくらでも頼ってくれて大丈夫だよ。」


「申し訳ないですが…私何もお返し出来ませんし、お断りを…」


「じゃ!これ!ハンカチに刺繍して?」


言い終わる前にこれっと出される。あ、この前包んだままだった私のハンカチ。はい!って渡される。


「返すのに預かってたんだ。出かけるお礼にハンカチに刺繍を!だからお願いします!」


フフッと笑ってしまう。何故そこまで出かけたいのか。わかりましたって返事をする。


「本当に刺繍で良いのですか?心苦しいのですが。」


「じゃ、あと名前!様無しで呼んで?」


「アレンさんですか?」


呼び捨てでいいけど、まぁとりあえずそれでと納得してもらえる。では私も嬢無しでお願いしますって言うと、リズは本名?愛称?って。


「エリザベスが本名です。皆リズが多いですかね。どの呼び方でもいいですよ。」


「じゃエリィで。いい?」


いいですよって言うと満面の笑みで喜んでくれる。危ない、勘違いしそう。恐ろしい。


「ご馳走様でした。」


私も払うと言ったが、どうしてもと奢ってくれたのでお礼を言う。いいのだろうか。


「さて!遅くなったし送るよ。」


「いえ、大丈夫です!帰れますので。」


送り迎えをしてもらってるので、近くまで来てもらえる。辻馬車で通うと言っても聞いてもらえなくてそうなっている。説明すると、じゃそこまで送る。行こうってまた手を繋がれる。


「私迷子なりませんよ?」


あれは冗談。私がエリィと手を繋ぎたいだけだよって微笑まれる。夜で良かった。顔が真っ赤なのが隠れる。もうアレンさんが詐欺師でもいいか。騙されてたとしても思い出にしよう。


「エリィは貴族だよね?家名は何?」


「私ですか?レッグです。」


「レッグ伯爵家?2年前甚大な被害にあった。あれは大変だったね。だから働いているの?」


「あ…そうです。弟が学院を卒業するまで頑張ろうって家族で話をしまして。」


なるほどって頷いている。あ、あそこですって待っている馬車に向かう。そして馬車に乗せてくれるが手を離してくれない。


じゃまたねって手に口づけをし、見送ってくれる。私絶対騙されている。あんなに素敵な方が私になんて…頬に手を当てながら熱が冷めるのを待った。

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