アナの武器
9月になり申したが、まだまだ暑い><
なんか台風が毎週のようにやってきますな><
さてさて、ラムちゃんが鍋の中にドボンしてしまったので、まずはお片付け。それからウサギの丸洗い。さらにアナさんがうまそうと評していた豚骨もどきスープを作りましょう。
片付けといっても簡単なことです。ラムちゃんがはいった鍋を我が○のまま飲み込みます…… これは明日、コウのタローに食わせよう。
そして次に簡易ハウスの外に”物品作成”で広さ2m四方深さ1mの浴槽を作ります……
静、静はおらんかえ?
我、水妖の静ちゃんを呼びますと、ず……ず……ず……と這い寄ってきた。迫力ありますなぁ、この辺の主にふさわしい感がします。静ちゃんや、この浴槽に半分くらい水を注いでおくんなまし。
静ちゃんは言われたとおりに水を…… 魔法で出します。我みたいに口からじゃないのね。体の一部が膨らんで、そっから水がジョバーーーとでてきました。静の水魔法はそんな感じなのね。あ、お胸の膨らみとかからではありませんよ、念のため。浴槽に水を入れましたら火魔法…… この際ラプロスを呼び出しましょう。
お出でませ、ラプロス。我の口の中から呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!
””お母様、その小鳥は一体……? ””
これは我の火魔法から生み出された火炎鳥のラプロスじゃ。この子は静の弟?妹? 性別はわからんが姉妹になるな。ラプロスよ、この浴槽の水を温めてくれるか?
小鳥形態のラプロスは♪~♪~囀りながら浴槽の中にダイブして、すぐに出てきた。そして、静の周りを旋回して♭♫♫♯♫♫鳴いている。静はそれをただじっと見つめていた。水魔法と火魔法だから相性が悪いかとも思ったが、我が作り出した魔法なので、そんなことはないようですな。
”こちらの大蛇様も、お母様の家族なのでしょうか? ”
ラムちゃんが聞いてきます。まあそうですな、家族と言ってもいいでしょう。後喋れないけど森(迷い惑わし)の外にある森(黒色土)には喋れないけどイノシシが三匹いますな。おっと、喋れるけどゴブリンは家族じゃないぞ。あと、神樹さまも家族とは違うな…… そんな、恐れ多い。神樹さまは神様です。なぜって我が我になるように助けしてくれたのだから。
そんなことより、汁まみれになったラムちゃんを適温になった浴槽に入らせます。そこで汚れを落としなさい。
”それで、お母様。これはなんでしょうか? 温い水溜まり? ”
おお、アナも知らないよな。これはお風呂ジャ。体の表面にある汚れを落として綺麗にするもんやな。皮膚が病気になったりしないようにしたり、体を温めて血行をよくする働きがあります。ついでにアナも入っときなさい。
”一度体が濡れるとなかなか乾かなくて病気になったりするのですが? ”
とラムちゃんがおっしゃいますが、そこはそれ、我がいるのだ! ぐだぐだ言わずに入りなさい。アナはラムを洗っといてね。そうそう、我、すこーし、石鹸を貰っておいたのだ。バニラビーンズの香り入りは…… 余計かも知れない。オエッと吐き出しまして、アナに渡します。それを擦ってラムの毛皮を洗ってな。自分の毛皮も洗ってみてくれ。ウサギ二匹は恐る恐る浴槽に入りますが、結構気に入ったのか顔が緩んで参りましたな。
さて。我はウサギ達が食べたがっていた料理を作ります…… といっても手順はもうわかったので、後は体内で調理するだけ。その間に、アナの武装について考えます。ラムは雷の魔法があるので、魔力を鍛えればいいと思うのですが、アナは無魔法使いです。野生動物を殴り殺せるとは言え、それだけで悪意あるものから身を守れるのか?
敵に遭遇した場合、真っ先に逃げてくれればいいのだが、どうも争いが好きな性分のようで、敵に特攻をかけに行きそうです。それなら武器を渡しといて、ある程度強くなって貰った方がよいでしょう。ウサギに似合う武器と言えば…… やっぱり武闘派ウサギと言えば、首狩りウサギ、かなぁ。首狩りとなると武器は鎌? 我、銀魔法・物品作成でアナの身の丈を越える大鎌を作ります。
銀魔法・物品作成! おいでませ、大きなお鎌!
我の口から噴き出た銀色のキラメキがだんだん収束していって…… 大きなお鎌になりました。デラックスですな!
そういや、エルフのヒカリ娘、リーちゃんに渡した如意棒も鎌になったことがありますが、あれは刃先が石…… 磨製石器のような物ですからなぁ。こっちの鎌は金属なので(魔法銀て金属だよな?)より切れ味が増しますな! おまけに魔力を通せばさらに切れ味が倍!
”お母様、それは? ”
浴槽からこちらのやることをじっと見ていた二匹のウサギのうち、大きい方が尋ねてきます。もちろんアナさんです。これは手が使えるようになったアナのために、武器を作ってみたのです。豊穣収穫、と言うのですよ。敵対する者がいたら、これで首を刈り取っておあげなさい…… もちろん、敵対する者だけですよ。
”お母様”
なんですか?
”…… あの、武器をいただけるのはありがたいのですが…… ”
うん、それで?
”なんかこう、もっと殴りつけるような物がいいのですが? ”
おーっと、注文が入りました! それじゃ、これは鋳つぶすか……
”!!! 否、 お母様がせっかく私に作って下さった物ですし、使わせてください!”
そうかい? そんじゃあこれはそのままに…… それと、殴りつける用の武器、棍棒とかハンマーとか? ん? ハンマー? 鎌と槌…… 思いっきり某亡国の国旗のシンボルではないか。しかもそれを使うのがアナ…… アナスタシアとは最後の皇帝の娘だったか? 鎌と槌によって滅ぼされた国の支配者の娘の名を持つ者が、滅ぼした側の武器を使うのか…… ま、当人とは関係ないんだしいいか。しかもレボリューション! 革命だしな><。アナさんの武器は槌と鎌に決まりました! それでは、銀魔法・物品作成! 先ほどの豊穣収穫に見合う大きさ・重さの槌…… できた! 鍛造逸品と名付けましょう。叩いて鍛えてませんけど!
アナとラムが浴槽から出てきた。浴槽で体は洗ったのか? 完全に泡を落とした? 浴槽でよく相談してでてきてね><。あ、もういいのか? それなら、我、風魔法…… と火魔法の混合魔法を使います。風魔法・風に火魔法・火の熱を加えて…… 混合魔法・温風送風と名付けて登録します。
”混合魔法・温風送風を登録します”
そしたら、ウサギ二匹に向かって
”温風送風! ”
ブオーーーーーーン・ガーガーガーガーガー!
なんか変な効果音が付いてますな><! ウサギ達の毛皮が温風に靡かれております。ほれ、後ろも向きなさい!
ブオーーーーーン! ガーガーガーガー!
ウサ耳が風に吹かれておりますな…… 後は両手…… 前足を上に上げなさい。
ブオーーーーーーン・ガーガーガーガーガー!
最後は…… しっぽだ! 床にうつ伏せになってお尻を高く上げなさい。ちょっとエッチ><。丸いふわふわの毛玉に温風をかけます。
ブオーーーーーーン・ガーガーガーガーガー!
…… よし、乾いたようですな…… ………… って、どうした、なぜ起きない?
””あまりに気持ちよくって…… ””
寝そうになっていたのか。ご飯はいらんのかな?
””それはいただきます””
さよですか。
お読みいただきありがとうございます。
それではまた次回。




