ラムの鍋
誤字脱字報告ありがとうございます。
適宜修正させていただきました。<(_ _)>
ソロソロまた投稿頻度が空きそう、になるかも……
解体の終わった熊肉を保存食用として燻製にします。もう手慣れたもので、燻製釜を作ります。”物品作成”でちょちょっと作りまして、燃料の木材は適当に切り飛ばしていたお竹さんの素材…… を、燃料にする分は体内で金魔法使って水分を抜いた状態にしてからおえっとはきだしまして、チップにする分は風魔法の鎌鼬で小さく切り刻んで、後、肉を吊す用に竹籤を作っておきます。これも風魔法・鎌鼬。
後は釜の中に熊肉を入れてその下にチップを入れて、最後に釜の底で燃料に火を付けますと、作業終了です。もうここにいる必要はないので、神樹さまのところに戻りますか。アナにラムを紹介しとかないといけませんから。
”ラム、というのは? ”
旅に出て、初日に泊まった場所にいたツノウサギ…… ホーンラビットのことだな。角が二つあって、ハラカラとかからも虐められていたので、連れて帰って鍛えることにした。とりあえず眷属にしたから、我の娘だな。アナの妹になる。
”まぁ! 私に妹ができるのですね! ”
あまりご飯食べられてなかったみたいで、体が衰弱してるから最初は無理させないで徐々に慣らしてね。さて、ラムちゃんとご対面と行こうか。
我、アナの頭に乗っかり迷い惑わしの大樹のところから神樹さまのところへ戻ることにする…… 戻った。あっという間だった。アナさんや、また腕を…… 脚をあげましたね!
”お母様と別れてからまだ1日しか経っていないのですが? ”
あれ? それじゃあ、前からこんなに足速かったっけ?
”前とあまり変わらないと思いますが? ”
そ、そうですか…… とりあえず、神樹さまのところまで戻りました。もう神樹さまはお休みなので、簡易ハウスのところに行きましょう。ん? アナの呼吸…… というか鼻息が荒いな? どしたん?
”なにか! おいしそうな匂いがします! ”
え? なんかおいしそうなもの、あったっけ? アナが簡易ハウスの中に駆け寄りますと……
ラムちゃん、なにをしてるの?
我が作りかけていた野菜スープの鍋の中から、ラムちゃんが両前足を出して顔を出していた。
”あ、お母蛇様………… それと、アナスタシア様? ”
おおぅ! 目ェ覚めとったんかい! 我のことは親か…… いや、訓練してないからそれは駄目だな。かといって変な呼び方をされてはステータスに記載されてしまう。アナと同じ、”お母様”と呼びなさい。それとラムちゃんや、こちらに御座す方がアナスタシア…… 通称アナさんだ。
”それでは、野にいたあのアナ様は? ”
ちっちっち、あれはマボロシ~♪
”お母様、マボロシ~というのは? ”
口で説明するより目で見た方がはよおま。
黄魔法・幻視! 等身大アナウサギ!
アナとラムの目の前に現れたるウサギの姿…… それは紛れもないアナの姿であった…… 鏡でも置いているかのようですな!
”こ、これは!?”
ああ、我の幻影魔法です。動かすこともできます。アナさん、ちょっと手を上げて?
アナが右手を上げるとファントム・アナは左手を上げます。鏡を見ているような感じにしてみましょう。アナが左手を上げると、ファントムアナは左手を上げます。アナが右手を降ろしてまた右手を上げると、ファントムアナも同様の動きをします。アナ、今度は左へ横っ飛び。併せてファントムアナも横っ飛び。アナ、今度は右へ横っ飛び…… と見せかけてフェイント! あ、我、引っかかった! ファントムアナは右へ横っ飛んだ。
”なるほど、お母様の魔法ですね”
何がなるほどなんだ?
”それで、ラムとやら。あなたはそこで何をしているのです? ”
”あ、あの、これは”
怒らないから言ってみ?
”目が覚めたらおいしそうな匂いがしていたので、様子を見ようとして縁に手をかけたら……”
なかに落っこちた、と。火傷とかしてないか? 痛いところはない? ないならいいけど。そんなおいしそうな匂いだったか? 我が豚骨もどきのスープを作ったときのやつだな。
”つまり、あなたはお母様の作った料理を台無しにした、と? ”
おっと、アナ様がご立腹のようです。
”申し訳ありません! お母様が作られた物とは知らず…… いえ、誰が作った料理でもその中に入るなどとはあってはならないこと! このまま私を具材にされて下さい! ”
するか! なんでそんな覚悟せにゃならん! と思ったら、アナの背後からゴゴゴゴゴ…… という何やらオーラがでております。 アナさんや、ラムちゃんを許してやってくんなまし。我が、調理場で寝かせたのが悪いんや!
”…… お母様がそうおっしゃるのなら、仕方ありません…… ですが、ラム。次はありませんよ? ”
”は、はいー!”
よかった、ラムは許された。でも、ウサギの肉がどんな味なのか気になったのは内緒じゃ。
お読みいただきありがとうございます。
それではまた次回(^^)/~~~




