待ち時間に料理をします
うおおおおお!
(深夜、謎の雄叫び( ゜Д゜)дДD)
アナがいつ現れるか、よくわからないですな。大体何処にいるのかもわからないのに、いつ帰るかなどわかるわけもない。なので、アナが帰ってきたときのために料理をすることにした。神樹さまの近くに我が建てた簡易ハウスがありますので、そこに入って待つことにしましょう……
そう言えばここには家具が一切ありませんな。あるのは先代神樹さまの像だけです。ハウスの中央にテーブルと椅子を4脚、あと、神樹さまの像と反対の位置に竈を造ります。便利な登録魔法、
”物品作成! テーブルと椅子を大理石で、竈はレンガでオナシャス!”
あとは竈のサイズに合う鍋を……
ここで我、気づく…… 鉄だって元は石じゃね? だったら鉄製品も土魔法で造れるんじゃねー? そういや、金魔法でレベルあったときにLv.4ぐらいで”鍛錬成”というのがなかったか? 土魔法の土石変換って単に土を固めて石にしてるだけの魔法かな? 鉄…… 鉄鉱石とかにはならんか?
”金属指定すると時間がかかります”
できるんかい! はよ言うてくれ! だったら鉄で土鍋を…… 鉄鍋ですな! それと鉄製フライパンオナシャス!
いつも物品作成で皿やコップを作るときはするーんと地面から物がでてきますが、今回は時間がかかりますな…… その間に、料理の素材を出しまして、テーブルでカットして、ウサギ達の口に合うような大きさに揃えて。何を作っているかというとスープです。味付けは塩味…… だけだと物足りないかなぁ。ちょっぴり残っているゾヤゾーゼ(異世界醤油)を加えて…… あとは油分は…… スーススクローファ(異世界豚)の脂身使いますか。こうなったら醤油豚骨ラーメンを作りたいですが、小麦粉は昨日えびせん作って使っちゃった。デンプン質の物はジャガぐらいか…… 待てよ? ジャガからデンプンとってカタクリ粉作ったよな? デンプンあれば麺ができると聞いたことがあるような…… とりあえずやってみましょう! とりあえず、ジャガをたくさん吐き出します。おぇええええ! そして
“金魔法・抽出!”
“ン デデデデーン”
“なにからなにを抽出されますか?”
えーと、このジャガイモからからデンプンを抽出してちょ! あ、抽出したものはこのボールに入れといて下さいね。
“テ・テ・テ・テーン”
目の前のボールには白くてさらさらな魔法の粉が><。後はマギハンド……あ、今使えないんだっけ、しょぼーん。
”今使えますよ? ”
え? なんで?
”ホーンラビットから無魔法の魔力を吸い取りましたので、この調理時間分くらいはマギハンドが使えます、なので豚骨醤油ラーメンを所望します”
魔法屋~、お主それが目的か~、さすがに稀代の悪よのう…… あ、ところで試作品だから”地母神”さまにお供えする必要はないですよね。
”私が味を見てから判断します”
そうですか、ニコちゃんがお毒味係でしたか。わかりました、ご期待に添えるようにがんばるぞ! ”物品作成”でラーメンどんぶりを作りまして、割り箸として竹を箸状にカットしておきます。後は具材がいろいろないですが、とりあえず麺とスープだけでいいか。カタクリ粉を捏ねる用の大皿に乗せ、そこにお水を混ぜます、おえっ! 全然足りない…… おえーっ!
ここで出ませい!無魔法・マギハンド! 懐かしのお手々が出てきました! これでかき混ぜ…… られないので、指部分を泡たて器のように変形させます。マギハンド、とか言っているが、我の魔力なので自由に形を変えられるのです!かき混ぜると今度は水分が多過ぎ…… ここで水を足すと全量が多くなるので、金魔法で水分だけ抜き取ります。いい感じに…… なったのかな? お湯に浸けて固めてみますか? 我、別のボールに水を吐きます、おぇーーーー! 寸胴鍋みたいなボールに満タン水を入れまして、ここで、
おいでませラプロス! 小鳥形態で!
我の口から呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! 出てきたところ悪いんですが、このお水の中に入ってみて? ラプロスはすんなり寸胴の中に入りますよ。寸胴の中に入ってぐるぐると回っております! あ、水の中が泡立ってきた! 水温が上がってきています。あっという間にぐらぐら沸騰し出しました! もうええで。ラプロス、出てきなさい。よくやりました。ラプロスはお湯から出てきてまた我の口の中に戻ります。それでは麺の元を…… そうですな、ところてんのように押し出してみますか。我、マギハンドの一つをシリンダーに、もう一つをピストンにして、シリンダーの中に麺の元を入れまして、ピストンで押し出します。にゅるるるるるるるる……………………………………お湯の中に入った麺の元は、小麦粉の麺のように白くはならず、半透明になった…… 春雨っぽいですな。これはもうラーメンではない。というか、ラーメンというのは麺を引っ張って伸ばした物をいうのです。そのために麺に鹹水を入れて麺が伸びるように工夫したものがラーメン(拉麺)なのだ!
”それはそれとして、おいしそうですね”
ゆであがった春雨もどきを寸胴から出しまして、後はスープ作り…… これまた別の寸胴を出しまして、スクローファの脂身を細かく刻んで鍋に入れます…… 外側をちょいと加熱、ラプロスを出すまでもありません。火魔法・火! 脂身が溶けたら玉ねぎを刻んで炒めます。水分飛ばしてチャツネになったら水を入れ、お塩を投入。あとは人参、大根、ゴボウの根菜を入れて煮ていきます…… ラムは起きませんし、アナは来ません。葉物野菜はどうしようか……
”あ、根菜類は入れなくて麺だけでいいですよ”
おっと、ここで注文が入りました。ネギとかショウガとかの薬味はいらないですか?
”そのまま素材の味をいただきます”
とのことなので、魔法の声のニコちゃんに先に味見をしてもらうことにしました。どんぶりに先ほど湯掻いた麺を入れ、今しがたできたスープを入れて完成です。割り箸付けて、さて、ご賞味ください!
シュオン! という音とともにたった今できた春雨スープが消えた……
”………”
我も食べてみますか…… マギハンドを普通の手状に戻してドンブリに麺を装ってスープを注いで、いざ、実食! フーフーしまして、ずるるるる!……… うん。まずくはない。まずくはないが……
”腕が落ちましたね? ”
やっぱそう思う? 調味料のゾヤゾーゼちょっとしか使ってないし。何より肉が使えない。酒も使えない。香辛料…… 胡椒だけ使っても……。いっその事、カレー麺にした方がよかったか? いや、もっとシンプルに昆布出汁の春雨スープの方がよかったか。
”これは供物にしないで正解ですね”
そうですね。
とりあえずお疲れさまでした。
また次回( ´Д`)ノ~