火炎鳥
台風6号がががが…… あの急激な進路変更はなんなのーーーー!?
あれはグラニーラムゼースミスの里でのことです。我、あの里の気候・気象を調べるために,大きな火炎鳥と小さな火炎鳥を造って飛ばして見たのだ。
空を飛ぶようには作ったものの羽ばたいて前へ進めるような力はなく、ただ翼に風を受けて浮き、風に流されて進むようにと火魔法・炎操作でつくったのだが……。小さな火炎鳥は風の里の山谷を地形風に沿って飛んだ後、消えていった。だから、大きな火炎鳥も上空にいって東へ飛んだ後は消えただろうと思っていたのだ。まだ、魔力が残ってる…… 生きてる? いや、魔法で生み出したから生き物ではな…… でも、静ちゃんみたいに魔法とはいえ生きているかのごとく意思疎通ができるかもしらん…… こっちに近づいてきましたな。このまま我らが真っ直ぐ飛べばもう少し前方で合流しますな。
”おい! 合流するて! ホントに大丈夫なのか? ”
ま、大丈夫だろう。向こうもこちらを把握してて,それでいて特になにか変わった行動をとっているわけでもない。
入道雲の輝きがさらに赤みを増していきます…… そろそろ日の入りか。やっぱり明るいうちには辿り着かなかったか…… と、思いましたが、我の光魔法でどうにかならんかな? コウのタローが鳥目とはいえ,明るくしたら見えるんじゃね? 札束を燃やして、どうだ明るくなったろう? とか言ってみてぇ。
”訳の分からんことを考えてる間に、もうすぐ遭遇じゃ! ”
見る間に{それ}は大きくなっていきます……
___♩___♩___♫___♫___♪___♪
大きく見えるに従って鳴き声、というか、鳴き音? 鳴き念波のようなものが伝わってきます。伝わってくるものに比例して姿も大きく見えてきますな! あ、あれは…… 焔を纏ったラドン? いやいやあれはそもそも鳥じゃなかろう。バビルのしもべ、ロプロス? あれは生き物じゃないしな! つか、前世で例えるならやっぱり火の鳥ですな! でも大きさがまるで違う……
向かってきた{それ}は我らを目視するとコウのタローを中心に旋回を始めた。喜んどるな、コンドルではないけれど。
我はコウのタローの揺り籠からにゅるっと飛び出して、{それ}に飛び移ります。
”おいっ! 何をやっとるか! そんな炎の中に飛び込んだら、やけど”
しませんな。なぜなら、我は今、火魔法・火纏いを使っているからだ。おんなじ魔法の火だから、熱くなーい!
Σ! ∫___∫___∬___∭___
そら見ろ! こいつも喜んどるぞ!
”とてもそうには見えないが!? 大体、どうやって意思疎通をやってる? そいつの言葉が分かるのか? 念話なんかもできないようだがって,熱っ! こっちに来るな! ”
言葉は分からんが,感情は分かるな。我に会えて嬉しいか、そうかそうか…… 会えてなかったら小鳥のように消えてたかもしれないと思うと、ちょっぴり罪悪感が生まれました。あんまり魔法で生き物っぽい物を作るのは止めとかないとな。そういや前に紫魔法で雷鳥を作ったことがあったが、あれはあの後どうなったのかな? 電気だからすぐに消えてしまったのでしょうか? ま、とりあえずはこいつだ、こいつもしずちゃんみたいにしたいのだが…… 今はスネークンが造られないのだorz。
とりあえず知力を上げるために赤い実食っとくか? 我、{それ}の口先にグラニーラムゼースミスの神樹さまの赤い実をオエッと吐き出した。それ食ってみて? {それ}は、目の前を落下する赤い実を咥え…… たように見えたのだが,じゅわっと音がしましたな…… あらら、消えてなくなりました。
”そんな奴にやるくらいなら,ワシに寄越せ!! ”
などと戯れ言を言っているコウのタローは置いておきます。そしたらっと…… とりあえず、水晶玉に火魔法の魔力込めたものをあげてみる? 我の体の中で水晶玉に火魔法魔力を込めまして、オエッと吐き出します…… これもじゅわっと音がして。
! Υμαーーーーーーーーーーーーーーー!
水晶玉は消えてしまったようですが,魔力は{それ}に行き渡ったようです。おいしかったみたいですな。しかし、いつまでも{それ}扱いは駄目だな。きちんと名前を付けてあげましょう。
お前の名前は{ラプロス}だ!
ラプロスは首を反り返しながら鳴いた…… みたいだが、声なのか音なのかよくわかんない…… 変な名前とか言うなや? …… あれ? いつもだったら、なにがしかのリアクションが返ってくるはずだが? 変なファンファーレはどうした?
”特に何もありません ”
ニコちゃん?! どういうこと?
”ですから、特に何もありません”
眷属化できなかったということですね? まあいいです。我の魔力を食べさせれば、ラプロスはそれなりに動けるようなので。そんで、コウのタローよぅ。
”お前がそんな声でワシを呼ぶと言うことは…… あれか! ”
そうそう、あれだす。察しがいいこと夥しい。
”やる前に赤い実寄越せ! そしたらやってやるわい!! ”
んーーー。まぁいいでしょう。我、オエッと赤い実を吐き出し、コウのタローに投げてよこします。コウのタローはうまいこと嘴でキャッチし、上へ放り投げて、落ちてきた赤い実を突く・突く・突く…… ゲフィーーーーーーと汚らしいゲップをした。よし、食ったな! それではラプロスのステータスを発表していただきます。
”うむ!
ヤツのステータスは………………”
デレレレレレレレレレレーーーーーーーーーーーーーーーーーーン、デン!
”そんなもの、存在しませんでしたーーーーーーーー! くぇえええふぇふぇっふぇっふぇぇーーーーーーー! ”
なにーーーーー!
ステータスが存在しないだとーーーーーーーーーーー! どういうことだ?
”どうもこうもないわ! {それ}は単なる魔法だ! 魔法にステータスもクソもあるか! バーカバーカ! ”
するってーと、何かい? おめーさん、それを知ってて、赤い実を食ったわけですな? そーかそーか…… ところでラプロス、お前、大きさをちいさい火炎鳥くらいにすることはできる? 我を乗せたラプロス、首を傾げます…… どうしたのかな? …… できるけど、我が地面に落っこちる? そんな心配はせんでいいんやで? やってみて?
お、できますな。ぎゅいーーーーーんと縮んで小鳥のサイズになりました。我は、風魔法・上昇気流で体を浮かせて高度を維持します。そしたら、その次は速く飛ぶことは可能ですかね? 魔力を圧縮したから可能? それならやってみて?
”おい、何をブツブツ言っておる? ”
目標はあのアホウ鳥の頭頂部な! ラプロスよ、お逝きなさい!
”な! 貴様! ”
コウのタローがなにか言おうとしたようですが、時すでにおすし><、ヤツの頭頂部は一瞬にして赤熱の砂漠化したのでした。
お読みいただきありがとうございます。
それではまた次回( ´Д`)ノ~バイバイ




