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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第8章 忘却の最果てにて
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カヲルちゃん本兎(ほんにん)は現れず

なんか話が迷走中……



 

 ツノウサギの頭領?三匹に名前を付けてみましたが、特に何も感じませんし、何も起きませんな。そう言えば、食べ物をあげたら良かったんだっけ? 


我、とりあえず赤い実を三個、オエッと吐き出して、雪上に落としたら潰れるかな? 結構ベタベタした雪だから汚れるかもしれない。ここは銀魔法・銀糸で見えないくらいの細い糸を作り、赤い実に巻き付けてゆっくり降ろします…… 


ファントムアナよ、受け取りなさい。上を見上げたファントムアナ、それにつられてマダラ君も上を見上げます。親方、空から木の実が落ちてる! ファントムアナを使って上から落ちてくる赤い実を両前足でダイレクト・キャッチ、したかと思いましたが赤い実はするりと落ちてしまいました。あ、この身は幻だった…… ならなんで雪面に字が書ける!? 



”それもまた幻…… ”


えー? 書いたと思った本蛇ほんにんにも幻に見えるのー?



”さもなくばどのような幻が相手に見えているか、こちらで把握できませんから”


あー、そういうこと。我の目に見えないと、幻がどのような動きをしているか、相手にわからせられないと言うことですか。そーですか。そんじゃまあ、銀魔法・銀糸に魔力を流しまして、ファントムアナがさも赤い実を取り上げるように動かしまして、実の一つをマダラ君の口に突っ込みます。おら、食え!



”これをお食べなさい……”


はて、リアルアナはこんな口調だったかな…… 口汚いのはコウのタロー相手の時だけで、基本的には丁寧口調だったような…… いや、ボルちゃん相手の時もなんかけんか腰だったな。口に赤い実突っ込まれたマダラ君はおとなしく土下座したままシャリシャリゴックンと食べております。



”こ、これは! ”


本兎ほんにんは何かびっくりしてますが、外見上何か変わったことは起きてませんな。うーん、一度名付けをして眷属にしてしまった種の別個体に名付けをしてもアナウンスは流れないようです。ただ赤い実の効果があるだけか。あとの二匹にも赤魔法・束縛バインドを緩めて、口周りだけ動かせるようにして赤い実を放り投げたように見せて兎の口周りに赤い実を投球! 不意を突いたにもかかわらず二匹とも見事に前歯でキャッチして見せました。むむ、できる! そしてしゃりしゃりしゃりしゃりごっきゅんごっきゅん。


”なんとこれは初めての味!”

”それにただ一つだけで満たされる!”

”アナスタシア様、これは……?”

”これはここから南に有る山、その頂上に生えている神樹さまの実です。これを食することで知力が上がり魔法の使い方が上手になる、と言われています”


”あー! かーちゃんずりー! ”

”何でそいつらに実を食わせるんだ! ”

”そのウサギ、かーちゃんが化けてんだろー?”


なんかシロンボーズのニー、サン、シーがネタバレをほざいてますな。君たちには赤魔法・睡眠スリープと風魔法・微風ブリーズの混合魔法・春眠風ヒュノプス・ウィンドをかけてあげましょう…… 


いまは夏だけど。地面には雪が積もってて冬みたいだけど。




 ざわついていた三匹はあっという間に眠りにつきます…… なんだか積雪と毛皮の色の区別が付かなくなってきましたな。あ、魔法で眠らせるより魔力を技能【すうとる】で吸い取った方がよかったか。でもそしたらいつ起き上がるかわからんからなぁ。シロンボーズのその他(テン除く)はひそひそ小声で話しておりますな。どうせたいしたことは言ってないので無視します。





 さて、我はこのツノウサギ集団をどうしますかね。まあ追放などと言わずこの辺りでケンカせずに生きればいいと思いますが、なんか集団として互いに嫌っているしなぁ(雌は別)。考えていると、なんだか遠くでギーギーバタバタと耳障りな音が聞こえて、そして遠ざかっていった。今の音はなんぞ?



”ちょっとあんた! ”


うを! 考え事をしていたらマダラ君の近くで赤魔法・束縛バインドをかけていたアスカ嬢がもの申してきました。



”さっきの実、アタシにも寄越しなさいよ! ”


おお、なんか女王の貫禄がありますな。さすがネームドツノウサギ。ふむ、雌のツノウサギを強化しておけばこの集団のツノウサギは存続の可能性がより高くなるでしょう。我、一旦北へ向かいますが、帰ってきてからまたこいつら見てみたいし。



”そなた…… アスカと言ったか…… ”

”なによ!? ”

”其方以外の女もここへつれて参れ…… ”

”連れてきたらくれるのね? ”


我、赤魔法・束縛バインドを解きますと、まさに脱兎! 人の目だったら見失う速さで去って行ったと思ったら、あっという間にお仲間5匹連れてきた。アスカ嬢と同じ背格好の嬢ちゃんが3匹、ちょいと大人なのが2匹いますな。



”さぁ連れてきたわよ! さっきの実を寄越しなさい! ”

”其方はアスカ。それ以外は誰か? ”

”アンタはアナスタシアと言ったわね。何者とも知れない奴に仲間を教えるわけないでしょ! ”

”連れてきたということはもう教えたも同じ……” 


”アスカ、このひとは誰? ”

”なんか慌てた様子でコイコイいってるから来ちゃったけど、シケダは狩れたの? ”


あー、シケダはちょっとしか狩れてませんなぁ。



”このツノナシがなにかしたの? ”


アスカ嬢と仲の良さげな3匹が喋る。



”教えてあげるからとっととさっきの寄越しなさいよね。こっちの方から、レイ、マリ、ヒカリ。あっちのおばさん達がミサトとリツコ”


”ちょっとアスカちゃん、おばさんはないんじゃない? ”

”女盛りと呼んで欲しいわ? ”



あれ? カヲルちゃんっていないのか? 我の心の声が漏れまする。 



”ああ、そいつは男だから……って、誰から聞いたのよ? ”

”シロンボー達が騒いでおった……”

”なにあいつら、キモっ! 男に発情してるわけ? ”


さぁ? 勘違いしてたのかもしらん。



”何かくれるのならいただくわよ?”



ミサト嬢(といっていいのかな?)が言ってきたので、我、再び赤い実を吐き出します。


おえっ!



”なんだか変な音が聞こえてきたのだけれど?”


リツコ嬢は鋭いですな。我、技能【ひそむ】を使いまして完全に気配を消します。そして赤い実を七つ、勢揃いしたツノウサギの雌の前に落としました。



”アスカ、レイ、マリ、ヒカリ、ミサト、リツコ…… 其方らに神樹の実を差し上げましょう。それを食してツノウサギの種の力を高めるが良い…… ”

”アンタ、何企んでるの? ”

”あなたは見ればツノナシ。兎とは言え、我らとは違う種ではないですか? ”

”必要ないか? ”

”まあ、もらえるものはもらっちゃいますけどね? ”

”アトデカエセとか言わないでね? ”



お嬢達はなんか言うてるが、おばさ(ゲフゲフッ)…… 淑女達の方はあっという間に完食して嬌声を上げていた。それに釣られてお嬢達ももがもが食ったら、やっぱり嬌声をあげた。そしてもっとヨコセの大合唱! 五月蠅いので魔力を技能【すうとる】ですいとってやりました。これで我がここに居る間は起きないでしょう。



チョー早起きしてもた><

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