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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第8章 忘却の最果てにて
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希少種のホーンラビット


 どうやら、ホーンラビットというのは角が一つ、額についている奴が普通らしい。そして角二つのホーンラビットはオニと呼ばれているようです。まあ、オニというのは異形の顔をしたやつのことだからなぁ。角が増えただけで異形扱いか…… ふむ。どうするか…… ”面倒だから全部狩っちゃう?”


”狩れるもんなら狩ってみろ!”

”こっちが逆に狩ってやるぜ!”

”ニクよこせー!”

”ホネよこせー!”


おっと、我の心の声が漏れてしまいましたな。しっかし、我、ウサギに狩られるほど弱いと思われているのだろうか? うーん、どうしようかと悩んでいると



「くわーーーーーーーーーーーーーーーー!」


あ、コウのタローが目覚めた! やべ、魚をまだ焼いてなかったな。我、体内にある魚に、これまた体内にある竹串をぶっ刺して、体内で火魔法使って焼きます! 我の体内ちょー便利! 



『ここから出せー!』


ほいほい。土魔法Lv.30地形操作アースコントロールで、地形というほどもないただの土壁を崩していきます。ニワトリを裂くのに牛刀を用いるようなものですな。ドドドと壁が崩れて、大きな鳥のコウのタローが出現! クワッと登場! 翼を広げた大鳥にビビったのか、ウサギ共は脱兎の勢いでこの場を去っていきました。


『おい、飯はできたのか? 』


ああ、できた出来た。ちょっと待てや。


『そこの鳥居のウサギが今日の飯か! 』


ちがーう。飯は鳥居の上に置くのだ。おえっと!


『ふむ、サカナか。これはまたでかいの! 』


お前が休憩してた間に漁をしていたのだ! その細い嘴では取れまいて! フハハハハ!


『うむ、ごくろう! どれ、食するか』


我の運転手がえらそうに! お前何様や? おっと、こっちにスピスピ震えてる鬼っ子ウサギには改めて赤い実をあげましょう。おえっと吐いて8等分にカット! そら、お食べなさい。竹串で刺してウサギの鼻先に付きつけます。鼻をスピスピさせていたウサギですが、こっちをチラ見しておりますな…… はよ食わんかい!

『はよ食わんかい!』


我の念が通じたのか、ウサギはあきらめてシャリシャリと赤い実を食べだしました。食べ始めたらあとは簡単です。お腹が空いていたのかあっという間に1個分全部食べ終わりました。


『おい、もっと寄こせ! 』


えええ? ウサギってこんな野太い声を出すのか?


『ウサギではない、ワシじゃ! 』


なんだコウのタローかよ! えー、一匹では足らんかったか。それでは、あと2つ、焼いて進ぜよう。さっきのはアーユだったっけ。そしたら今度はヤーマとグーイだな。お腹の中で作業して、ほい出来上がりです! おえっと吐き出します。


『お、今度は2つか。よしよし、気が利いとるの! 』


なーんか納得いかん…… 魚をむしゃぶりつくす鳥を見ながら、我思う……。






『あ、あの……』


あーー! ウサギが喋っとる! ちゃんと喋れるようになったんか! 我、ウサギの方に向き直ります。あ、ウサギが後ずさりした。


『そっちに下がると落ちてしまうぞ? 』

『こ、この声は! あなた様の声でしょうか? 』


あなた様と言われるのもおこがましいが、そうです、これは我の声なのでぇぃーーーーーす!


『あ、あなた様は何者なのでしょうか…… あ、その前に木の実をくださりありがとうございました』


うんうん、ちゃんとお礼を言える子に悪い子はいないね。なんか平伏しているウサギさん。鼻がスピスピしてますな。あと、お腹がくぅくと鳴いています。


『お腹空いてるのか? 魚食べるか? 』

『サ、サカナ? 今その大きな鳥さまが食べているものですか? 』



鼻をスピスピしてます。いい匂いが届いているようですな! よしよし、下でぴょん跳ねしてたやつも魚食ってたし、こやつも食べれるんだろう…… こやつというのはあんまりだから、我が名付けて進ぜよう。角が二つあるから、君、ラムな! 子羊でもないのにラムとはこれいかに? ブタでもないのにマトンというがごとし!


“パパラパッパパパパパ~ン” 

“ホーンラビットが眷属になりましたことをお知らせします”


あ、眷属になっちゃったね。



『おい、始めに焼いたのはないのか? 』


始めに焼いたやつって、アーユのことか? 


『それだそれ。一番うまかったから最後にもう一回だせ! 』


そかそか、アーユが一番だったか。そしたら、もっかい体内でアーユを焼きまして、塩をパラリとかけまして、串刺し! おえっと! 我も食べ比べてみますか。天日干しにした(1時間も干してない)三種類のお魚の切り身を、これまたお塩をパラリとかけまして、串には刺さずに直火焼き! 火魔法Lv.2ファイアで、軽く炙りまして…… おえっと! さて、味見味見。三種とも白身魚ですな…… どれがどれだったか…… 一つはコーイに似た味わい……ちょっと泥臭いか…… もうひとつは、あむあむ…… ふむ、淡白でお上品な味わいです。いくらでも食べられますな! 最後のは…… うん、これはなじみのある味っぽい気がしなくもない…… 鮭のような感じか。これもまたうまし。最初のやつは調理法を変えればいいのか? 我、味わっていたらコウのタローはもう食べ終わってたらしくげふーとゲップをしていた。そしてウサギのラムちゃんは



『まだ食っとらんのかい! はよお食べなさい』


そう促しますと、フタツノウサギのラムちゃんはおそるおそる魚の切り身にかじりつきます。ウサギが魚を食うなんて。うーん、シュール! これぞ異世界! しかし、ツノウサギねぇ…… ツノが二つあってもツノウサギなのか。それはそうか。しかし、ツノが二つだと、頭からぶっこんでくる、例の”一撃必殺”とやらは使えないのではなかろうか? ツノが二方向に分かれてるから頭蓋骨だけの突進になると思います! 


『ホーンラビットに限らないが、角は魔力を貯める場所だからな。魔力を貯めて堅くなる性質があるから、そのような攻撃になる。そこのホーンラビットは出来損ないだろうな。角は短いし、二つ分併せても下のやつらよりツノが短いじゃろう』


出来損ないとか言うなや。


『ううう、出来損ないでごめんなさい……』


謝りつつもまだまだお腹がくぅくと鳴っております。まだ食える?


『できれば大鳥様のような頭と骨付きのやつをいただければ…… 』



あら? 頭から丸かじりしたいのか? 体がカルシウムを欲しとるのかな? そんならヤーマの塩焼きさんを、ついでにニンジンも炙ってお出しします。皿は竹を割ったやつを入れ物にしましょう……あ、おさまりきれないや! ならば以前に作った白磁のお皿を出しまして、それに魚とニンジン、それに胡椒をすり潰してパラリとかけます。これが我の体内でできるなんてアラ便利! そらお食べなさい、おえっと!



”おにごのやつをよこせー! ”

”オレタチによこせー! ”

”よこせー! ”

”サカナくれー! ”

”ニクくれー! ”

”なんでもいいから食いもんくれー!”



なんか下で騒いでいる奴らがいますな…… それと! コウのタローを大鳥さまとか呼ぶんじゃない! うん〇うのとりとかう〇こタローで十分じゃ!



今年はこれを含めて2回分まで、かなぁ・・・

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