普通種のホーンラビット
追加予約投稿…… やっぱり次の投稿は12月かな・・・?
とりあえずホーンラビットを見に行こう。羽音を立てないように近づけよ? 抜き羽、差し羽、忍び羽…… 音もなく白い毛玉の方に近づく…… たくさんいますな。なにしてるのでしょうね? 草を食むわけでなく何やら土ぼこりが立っております。音もなく滑空して近づいていったのですが、白毛玉達、突然動くのを止めました。あれ? 気づかれた?と思った瞬間、毛玉ら脱兎のごとく四散した。脱兎というからには兎の何を脱いだんでしょうか? 毛皮? それとも内蔵? 毛皮が一枚残ってますな。
『おー、めでたく一匹捕らえられたではないか! 』
あれ? あれは生きたままのホーンラビット? 死んでるのかしら? とりあえずあそこに着地…… すると、ホーンラビットが飛び掛かってくるのかしら? それなら我だけ飛び降ります!
蛇ーーーーーーンプ! ぽいんしゅたっと!
どれどれ、血は流れていませんな…… 外傷なし、と。ひっくり返しますと腹が見えます。顔も見えるな、あ、鼻が動いた。スピスピいってる、かわいーーー! モフラーのボルちゃんならデレ顔で抱きしめている場面だ。そんで…… ウサギの頭部には、可愛らしいツノが二本、両耳の顔側についてました…… これってホントにツノウサギ?
とりあえず、ミサンガを首輪にしてかけておきます。起きるのを待ってる間にコウのタロー用鳥居をおぇええっと吐き出します。あとは、そうですね…… こやつにも喋れるように赤い実を食わせますか。ウサギ型に赤い実カット! コウのタローが赤い実寄越せとぎゃあぎゃあ騒いでおりますが、お前は昼間に食っただろーが! 晩飯作るから、そこら辺で枯れ木でも集めてこいや! そう言ってこの場から追い立てますよ。さて、この場はあまり安全ではなさそうなので、鳥居の上に蛇ンプします。おっと、ウサギも忘れずに口に銜えてジャンプしますよ。そしてコウのタロー専用巣に放り込みます。しかし、このウサギ、なんかすかすか、軽いですなぁ。そういう種類なのかな? ホーンラビットというのは。すんげぇ痩せこけてる感じ。毛皮の色つやもよくないようです。我、ウサギを観察してたらウサギが首を動かしました。起きたかな? 起きてなーい! 寝返り打っただけでした。とりあえず体は動かせるのな。どこか怪我してるかもしれないから、光魔法で治癒しておきましょう。ピカー、ピカピー! 何が悪いかわかりませんから適当なレベルの光魔法です。覚えたての攻撃魔法じゃなければなんでもいいだろう。
ウサギが目覚めるのを待っていたらコウのタローが枯れ枝を咥えて飛んで来たが
「クェーーーーーー! 」
と大声で地上に降り立った。ん? どうした?
『どうした?ではないわ! なぜワシに赤い実寄越さずに、彼奴等に食わせおる?! 』
あ…… ウサギリンゴを鳥居の上に持っていくの、忘れてたわ。全部食われてしまったか……。と、いうことは、ウサギ達が全部食ったのかしら? 他に魔物いなさそうだし。
『クワーーーーーー! 』
翼を広げて怒りを表すコウのタロー。まあ落ち着きなさい。
”赤魔法Lv.1入眠。30分眠りなさい。起きたらご飯ですよ”
翼を広げたまま前のめりに倒れた大きな鳥。ツノウサギに退治される可能性もありますんで、土魔法で土壁を作って周りを覆っておきましょう。
”土魔法Lv.26土壁”
さてさて、コウのタローの咥えてきた枯れ枝たちに火を点けます。
”火魔法Lv.1点火”
久しぶりの火魔法が火を吹いたぜ! 持ってこさせた枯れ枝だけではちと足らんので、我の体内に貯めてある竹を使いましょう。
おぇええぇぇぇえええぇえええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!
あぁ。お魚を焼くのに竹串を使いますかね。銀魔法で銀糸を出して、それに魔力を纏わせると何んとなく我の意のままに……とまではいきませんが、そこそこ何かを動かせそうです。これはマギハンドの代わりになるね。わざわざ手の形にするまでもない。竹を持ち上げて竿をシュパーンと割りましょう!
”風魔法Lv.10鎌鼬”
さらに横向きにして魚に刺さるような長さに切り分けます。さらに一本一本の先を尖らせましょう! 我の鎌鼬はイタチが出てこない…… 千本作っとけばいいか。残った竹は薪にします。あとは魚に竹串を刺しまして、荒塩振って……内臓は取った方がいいかな? どうせあの鳥のことだ、丸のみにするに違いないのだ…… そうは思うが、とりあえずとっとくか…… 何匹食うかわからんのでとりあえず1匹丸のまま焼いてみましょう。焚火のところ、近すぎず遠すぎず、遠赤外線(焚火でそんなのでるか?)で弱火のとろ火、じっくり焼いていきましょう。そのあとは体内にある魚を50匹吐き出して、鰓のところから銀糸を通して鳥居に吊るします。うーん、シュール。さて、この後は、銀糸を使って解体します! これはとある料理マンガで見たことがある! 肉を糸を使って解体してたのだ! ならば魚も糸で解体できるに違いないのだ! 我、一心不乱に解体します…… 三枚に下ろし、身の部分はもう一度銀糸を通して水洗いをした後鳥居に吊るします。鳥居の下には魚の内臓が血まみれになって…… これもシュール。
さてさて、この吊るした切り身はどうしましょうか? 天日干しにするには日が傾いてる…… ならば、魔法で乾燥させます。
”金魔法Lv.1”
”ン デデデデーン”
”なにをどうされますか?”
相も変わらずあいまいな質問だ!魚から水分を分離したいんだけどほどほどでお願いします。
”金魔法Lv.1抽出“
”テ・テ・テ・テーン“
切り身からなにやら揺らめく何かが見えまする…… いや、切り身だけじゃなくって骨身からもだ! 魚のお目目が見る間にしぼんでいきますな……。あんまりやりすぎるとまずいかな? この辺でストップおねしゃす!
さてと、竹串で焼いているオサカナはそろそろひっくり返さないといけませんねぇ……と、焚火のところを振り返り見ますと
あれ? ありませんね?
我、焼くの忘れてた? ボケが始まってるのかしら? もう一度、魚を一匹吐き出しまして、おえっと。竹串を魚に刺しまして、それを焚火の近くにぶっ刺し……た跡がある! やっぱり焼いてる! いったい誰が!
はっ、殺気! 我、ジャンプ!
我が飛びあがったそのあとを、白い毛玉が通過しました! とりあえず鳥居に避難した我、地面を見ますとホーンラビット軍団がいます! 目が赤く光ってます! おっと、軍団の向こうに先ほど我が焼いてたであろう魚を貪り食っているホーンラビットがいますな!
『こらーーーーー、我の焼いてたオサカナ、勝手に食うなーーーーーーーーーーーー!』
つか、ホーンラビットって、オサカナ食べるの? おっと、遠くで串焼き魚を食べている奴のことを気にしていたら、いつの間にか鳥居の下にウサギが集ってきました。こ、これは! 魚の内臓を食ってるのか! また食通っぽいわ~。あっという間に内臓がないぞー( *´艸`)。死語のダジャレを蘇らせる! 我、言霊の蘇生魔術師!
”ピポッ”
あれれー? 魔法の音がなりましたな? 聞いたことがない音です。
”{蘇生魔術}は存在できません”
いや、それはそうでしょう…… 死んだ者がよみがえるとか、まあ異世界でもないっすよねぇ…… それでは死霊魔術も?
”ピポッ”
間が空きますなぁ。
”{死霊魔術}は存在出来ません”
うんうん、そうでしょうそうでしょう。なんか突然のお知らせでした。これはいろいろ聞けるかも、なんか質問してもいいかな? とか考えて、ふと下を眺めてみれば、内臓を食い終わったウサギ共が、今度は我の干物を狙ってジャンプしてやがる! 最初は鳥居の半分の高さまでも届かなかったのだが、次第にジャンプ力が強化されたのか、徐々に干物との距離が縮まってきたー。なんか角が輝いてますな! 魔法を使ってるんでしょうかね?だんだん干物に近づいてきたが…… なんかモグラたたきみたいな感じになってきた! なんか叩くやつ! 銀糸を出してひも状に編んで魔力を通して堅くします。さらに棒の先端に風魔法のエア・クッションを付けて、ピコピコハンマ―の出来上がり。ちょっくら鳥居を叩いてみると、{ぴこっ}とはならずに{ぱふっ}となります。そんならこれは、パフパフハンマーや!
”パフパフハンマー、を登録しました”
できたハンマーを振り回し、干物に届きそうなウサギの頭を叩きます。
ぱふっ!
叩いたウサギは目をバッテンにして落ちていきました。死んでないよね? もぐら叩きならぬウサギ叩き! パン食い競争みたいにも見えます。別のウサギが頭と骨だけになった干物を食いちぎっていきました。やられた! せめて身のやつはやられないように!
叩きます! ぱふっ!
叩きます! ぱふっ!
叩きます! ぱふっ!
今度は二匹、ぱふぱふっ!
だんだん楽しくなってきた! ぱふぱふぱふぱふっ! 後ろの方でぱふっ! 前にいってぱふぱふっ! あっ、身を持っていかれた! 持っていった奴は下に落ちてもしゃもしゃしてたら周りのやつが寄ってきて干物の奪い合いをしてます。
”ニクニク~!”
”ごらよこせ~!”
”うおーーーーー!”
まあニクじゃなくってウオなんですけどね。そんなに腹が減っているのだろうか? 骨のやつもなんか食ってるみたいだし。だいたい草食じゃないのかい! ホーンラビットって魔物だからニク食うのか? ニクというか魚なんだけど。争っている間に何個か落としてきれいな奴を回収します。銀糸を干物から外し、我回収!
”うおーーーーーー!”
”くいたりねー!”
”よこせー!”
おやおや、なんか喋れるな。
”あっ!”
あっ? 何かに気が付いた?
”オニがいる!”
”オニがまだいる!”
”あいつまだ生きてやがる!”
”でてけー、オニはでてけー!”
オニとはなんぞ? 奴らの視線の先には、我が捕獲したフタツノウサギが、下を見て、スピスピ体を震わせていた……。




