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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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我の目覚め

我、目覚めた!


 ……パチクリ。揺れる~、ここは……空が見えるね。青空ですね。雲が見えますねぇ……ものすごい勢いで動いてますね。あれはいわゆる、筋斗雲というやつですな。上空ではすごい速さの風が吹いてるんでしょうね…… 我、空の見える縁に頭を乗せる。お? みんないるね。我、ボルちゃんの背負子の中にいるようです。


「喜べ、バウアー。お客さんがたくさんお出ましだ! さっきのは尖兵だったようだな!」


おや? この状況でお客さんですか? お茶でも出すのかな?


「たくさんて、どのくらいですの? 私のは今のところ前方だけで手いっぱいです!」


たくさんのお客さんか…… 前方で手いっぱい?


「まずいな! 数が数えられないくらいたくさんいるぞ!」


お客さんが来るのにまずいのか?


「オレの武器じゃさっきのやつみたいなのは迎撃できねー!」


武器で迎撃したいの? もしかして、敵が来てるんかい!


「僕のニードルガンなら少し数は減らせると思うけど、打ち漏らしが絶対ある!」


やっぱりそうや! 我、体全体を出す! 状況確認!


「わかりました。防御に私の蛟ちゃんを出します!」


だいたい把握! 前方だけで手いっぱいなら周囲全体に風魔法Lv.4空気壁エアウォール


「間に合わん!来る! 」


大丈夫! 間に合ったぞ! それにしてもこの辺は……渓谷ですなぁ。崖の色は赤いし。あ、この辺りの土壌を川が侵食しているから、川の色も赤いのか。我、行ったことないけどアンデス山脈ってこんな感じなのかな? お母さんを探して12000㎞を旅するアニメを思い出したよ、見たことないけど。あれは最後、お母さんに会えたのかしらね?


はるか~ 山岳を~ 一つかみの雲が~♪ 

あてもなく~ さまよい~ とんーでーゆく~♪

山がある~ 谷もある~ なにも~ 見えはしない―♪

け-れどー ツチノコ~ お前は~ 来たんだー♪

グラニーに つーづく~ この道を~♪


「それにしても、目が覚めるのが遅かったな。スネークよ」


ボルちゃんが我に語りかけます。起きたのばれちゃったか。タイミングはばっちりだったようでなにより。さてと、今どんな状況?


「昨晩夜営をしたところを出発して約3時間というところかな? さっきのが初めての魔物の襲撃だ」


あれが鳥の魔物か。的が小さいしたくさんで来られたらちょっと大変だったな。対抗できるのはハンナちゃんの泉蛟いずみづちくらいか。あ、リーちゃんでも大丈夫かな?土壁ドカベン出せれるようになれればいけそうだが。我の作った水晶玉つかえばできなくない?


「そうか! あれを使えば私もエアウォールを使えるはずだな!」


そうさな。壁とは言っているが、自由に形を変えられるみたいだし。あ、でもどのくらい魔力を使うかわからんので必要最小限でやった方がいいと思うよ。


「スネークは自在に壁を操れるのにな」


うーん。我、魔力は多いようなので……


「おーい、隊長さん! 鳥は全部始末したぞー! このあとはどうする? 」


「スネークよ、皆に光魔法を使ってもらえるか? 疲労回復のやつだ」


「おいおい隊長さんよー、スネークに頼り過ぎはよくないって言ってなかったかー?」


「ま、起きてきたから頼らせてもらおう」


おう!グラニーラムゼースミスの謎植物をやっつけるまでは頼ってもらっていいんやで? そういう約束だからな。それでは……癒せ、我の光魔法! Lv.1疲れの癒し! この辺全体に我の光が行き渡るようにします。汗血馬ちゃん達は普通にしてますが、新入りのお馬さん達はちょっとびっくりしてましたな。そのあとなんだか気持ちよさそうに目を細めていましたが。


「はーーー、スネークの光魔法って気持ちいいなぁ……」


「ホントですわねー…… ご飯食べてお風呂入って睡眠かっちりとって起きた後のようですわ……」


「すごく元気になった……」


「よし! みんな元気になったところで先を急ぐぞ! 次の坑道を抜けたらグラニーラムゼースミスの領域だ! 出発する!」


全員騎乗して、速歩はやあしで崖下の道を進むとトンネルが見えた。あの先がグラニーラムゼースミスか。どんなところでっしゃろか?


また寝る。

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