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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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グラニーラムゼースミス到着前夜にて


 私はボーデンに簡単な槍の指導をした後、槍術と棒術の違いについて説明し、そのあと実践に入る。ボーデンは、敏捷性は高いし力もまあまあある。これで近衛軍の中でなかなか勝てないのは、持久力がないのと相手へ攻撃するリーチが短いのが原因だ。もともとは魔術士型なので体はもう大きくならないだろう。しかし、使う魔術が攻撃力のない土魔法(スネークを見て本当は土魔法も攻撃力があるとワタシは認識を改めたのだが)だったので、本人は剣で戦うスタイルにしたのだが……あとは素直すぎる性格が災いして、攻撃が単調すぎることだ。喧嘩慣れしたフランメや、人とは違う発想をするトレーネにはいつも攻撃を読まれてしまう。軍の中でも模擬戦ではあまり勝てなかったからか、どんどん自信を無くしていったようだ…… 私はどうにかしてやりたかったのだが…… 私よりもスネークの方が、指導が的確だったのか、今日は楽しそうに私と戦っている。いい傾向だ。


 「ボーデン! いい感じになってきたな! 調子も上って来ているが、そろそろ中断だ。皆のところに戻るぞ」


「んーーー、わかった! 食事したら、またあとで模擬戦お願いします!」


私たちは槍をポーチに納め、元来た道なき道を引き返した…… 道がわからない。


「隊長! そっちじゃなくって、あの煙が見えてる方向なのでは?」


「あ、ああ、そうだな…… こんなところで夜営をしようとするのは我らしかいないからな」


こうして、ボーデンに向かう方向を修正され、私たちは無事夜営場所へと戻れたのであった。

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


「あ、隊長! おかえりなさい!」


「ああ、帰ってきたぞ。みんな揃っているな…… ん? スネークがいないようだが? 」


「スネークちゃんなら、いつものように魔力の使い過ぎで寝てますね」


「そうか…… 食事の準備はどうだ?」


「調理はもう終わってます。あとはいつでも食べられますよ」


「たいちょ~、すぐご飯にしましょーーー! もうあたしーーーー」


「わかったわかった。それじゃ、配膳を頼めるか? あと何かすぐに飲むものを二人分頼む。フランメとトレーネは、スネークから武器を強化してもらっただろう? その報告をしてくれないか?」


私はヴィンから飲み物を受け取り、それを飲みながら二人から武器の報告を聞くことにする。


「新しい武器ってのは、赤い石ころ付ける前と後で違ってくるみたいだな。つける前に魔力を込めてみたら結局熱で柔らかくなって使い物にならなくなったよ」


「そりゃあなたがスネ君の言うこと聞かないで調子乗ってたからでしょ!」


「なんだよ、こんにゃろ! やんのか!」


「フランメよ、宝石を付けた後はどうだったか?」


「ああ、なんか左右の1セットと右の3つのガントレットだけど、よく手に馴染むし、何より、スネーク魔法で硬さと耐熱を鉄の50倍にしたそうだ。魔法を使わなくってもこれだけで岩やら砕けるな!」


「魔法を使った場合と……おそらく残りの左右1セットはスネークの祝福魔法・強がかけられているはずだが、そっちだどうだった?」


「悪い、隊長。そっちの方はまだ試してない…… だけど、あの宝石はやばいぜ!自分で魔力込めてたら魔力枯渇寸前までいきやがった。どんだけ魔力を込めれば気が済むんだ?」


「私が貰ったやつもそんな感じだ。要は、我らの持っている最大の魔力よりも容量が大きいのだろう。フランメも暇なときにはあれに魔力を込めてくれ。スネークによると魔力枯渇の状態になってから更に魔力を使うと気絶するそうだが、回復した後は魔力の容量が気絶前に比べて増大すると言っていた」


「それで隊長の魔力が倍になったんだね! 前は僕と同じくらいだったのに、急に魔力が増えてておかしいと思ったんだ!」


「そういうことだ、ボーデン。君の如意棒にも宝玉がついているだろう? あれに普段から魔力を込めておいてくれ。寝る前にやると効率よく眠れるぞ。トレーネはどうだった?」


「私は、スネ君にその祝福とかをかけてもらってから、魔力を込めた操作はやってません。ただひたすら鞭という武器の特性を知るため何度も振るってました…… おかげで全身がパンパンです…… スネ君に光魔法を使ってもらおうと思っていたのですが……」


「訓練嫌いのトレーネがそこまでやるからには、よっぽど性に合ったのだろうな。光るスネークン人形を当てれば回復するかな?」


「隊長、あれでは疲れは獲れないとスネークちゃんが言ってませんでしたか? 」


「…… そうか…… それでは休んで回復するしかないな。今日のところは」


「隊長、今晩は夜営をするなら、私最後にしてもらいたいです」


「あ、オレもー!」


「わかった。それでは、ヴィンとバウアーが食事終わってから最初の当番、次が私とボーデン、最後にフランメとトレーネという組み合わせにする。それとヴィン達には頼み事だ。夜営をしている間に、すぐに食べられる、消化の良いものを作っておいてくれないか? グラニーラムゼースミスの連中は満足に食事ができてないらしい」


「わかりました。それでは麦粥と、その中に溶き玉子の入ったものを作っておきます…… グラニラムゼースミスって何人いるんでしたっけ?」


「確か500人くらいだったか?」


「わかりました。食事が終わり次第、準備にかかります! 」


「たいちょ~、そろそろ……」


「ああ、ヴィン、準備ありがとう。我らも食事にするとしようか! 明日はいよ居いよグラニーラムゼースミス入りだ。皆、今晩は英気を養ってくれ! 酒は夜営する都合上出せないが、向こうに着いたら前祝いだ。それではいただこう!」


ヴィンがテーブルに持ってきたのは、タウルスニクの塊ステーキだった…… 私はこんなに食べられないのだが……



本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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