炎のコマVS炎のエマ
「おおーーー、やるなぁ新兵ちゃん! よし俺も!」
ヒーちゃん、そばにあった別のコマを取り上げ、時計回りに回します。そして……
「おりゃっ!まわれまわれー!」
まわれ、まーわれ炎のコマ~♪ もう決して止まらないように~♪
動きはーじめたコマ~♪ ララララ~ラ~ラ~♪
「う~ん、まだまだ炎は出ないなぁ……」
コマが二つ回ってるんなら、喧嘩ゴマしようぜ!
「せんぱーい! スネークさんが、喧嘩ゴマしようぜ!って言ってますけど…… 喧嘩ゴマって知ってますー?」
「いや、知らんが! たぶんコマとコマをぶつけ合うんじゃねーか?」
それ正解! 我、土魔法ですこーし傾斜のついた石板を作ります……平たく言えば畳2畳ほどの大きなお皿ですな!これに、最初に石畳で回転を加えたコマを流し込むのジャ! そしたらコマは傾きに沿って中央に行くから、二人でコマを入れ合って、コマ同士をぶつけるのジャ! 単にコマをシバキあげるよりそっちの方が熱が入るジャろ!
「…… などといってますねー?」
「面白い!やるぞ!新兵ちゃん! 」
「はぁ、しょうがないですねー…… スネークさん、石板もう一つ作ってくださいー」
おう、せやせや!もう一つな!今あるのはヒーちゃん用にして、もう一つはエマさん用やな!
「そういえば、新兵ちゃんはスネークから何て呼ばれてるんだ?」
「あたしですかー? エマさんってよばれてますよー?」
「隊長はボルちゃんなのにどうして新兵ちゃんは名前にさんまでついてるんだ?」
「さぁ? スネークさんのことは、よくわかりませーん。あたしがさん付けで読んでるからじゃないですかねぇ?」
違うぞ! 初めて会った時、我のことを食べようとしただろう! それでこいつは危険人物だ!そう思って下手に出ているのだ! 我、土魔法で石板を作る……さっきの我の発言はヒーちゃんに翻訳していないな!なぜだ!
「あ、そうそう、あたしー、バウアー山とも呼ばれてますよーーー?」
「なんだその”バウアー山”っていうのはよ?」
「よくわかりませんけどもー、スネークさんが、蛇の山の親方だそうでー、あたしはそこのお弟子さんで、第一号の横綱なんだそうですーーーー」
「なに言ってるか、全然わかんねぇ。ほら、スネークが石板作ってくれたぞ!さっさと、喧嘩ゴマやろうぜ!」
エマさんはぁとため息をつく。そらそら、どっちも魔力操作の練習じゃ! エマさんは負けたら相撲の稽古な!
「…… ぐっ! わかりましたよー! やればいいんでしょう、やればーーー!」
「おっ!急にやる気を出したな? さてはスネークに発破かけられたな! いいねいいねー!そうこなくっちゃ! それじゃ最初の1分ぐらいは各々の石板でコマの回転な! 大体1分経ったと思ったらスネークが合図してくれ! それと同時にコマをいれる! よーい、スタートー!」
葉っぱ、かけたげる~♪ さあ片づけてよ~♪
やわな~生き方を~♪ 変えられない 限り~♪
相撲の稽古をするわ!エーマさん、冗談じゃない~!
はい!そこで投入! 我、ジャンプジャンプ!
「えっ? もうか!よし、行くぜ!新兵ちゃん! 」
「わかりましたー! いきまーす!」
二人とも石板に乗った自分のコマをお盆石板に投入する!平らな石板をすべるように落ちていった二つのコマは…… ヒーちゃんの方があっという間に弾かれた倒れてしまった……
「やったーーーーーーーー! これで相撲の稽古はなしですーーーーーーー!」
「くっ…… こんなにあっさり負けるものなのか…… おい、スネーク! 新兵ちゃんに何を仕込んだ?」
相撲の基本は仕込んだで!
「スネークさんにはー、水魔法で出た水を―たくさん飲ませてもらいましたー!」
でも、よく考えると、それだけでエマさんが無魔法使えるようになったとはとても思えないのだが……
「くっ!それだけで魔力操作がこんなにうまくなるもんなのか?」
いやいや! 魔力操作が上手になったのはエマさんの努力の賜物やで! 我、特に何もしとらんがな!
「くそっ! さっきのは魔力を込める回数が少なかったからに違いない! もう一回だ! 今度はもっと長めに時間を取ってくれ!」
エマさんは、次も負けたら相撲の稽古な!
「え~またですか~!勘弁してくださいよ~!」
どんだけ相撲の稽古がいややねん! この後結局何度やってもヒーちゃんは、エマさんに対して喧嘩ゴマに勝つことなく終わった…… よく考えたら無魔法でコマに魔力操作を加える方がコマの強化につながるんじゃね? ヒーちゃんはそんなことにも気づかないのか? やはりあほの子で確定のようです……




