ランク7昇格試験
この辺で章を区切るか迷う・・・
更新されたギルドカードを手に、再びギルマス部屋へ入ったボルちゃん一行…… あれ? 二人足りませんな? ハンナちゃんとエマさん、どこいった?
「ああ、二人にはギルドに頼んだ物資をこちらの荷鞍に収納してもらっている」
なるほどね、分担して仕事してもらってたわけね。さて、ギルマスさんは…… ノックノックノック!
「失礼します。ミア・ボルドウィン様他をお連れしました」
入ってもらってー、という声が聞こえますので、ドアを開けて中に押し通りますよ。
「失礼します。ギルドマスター、ボルドウィン様のお連れ様、フランメクライゼル様、トレーネ様、ボーデン様のランクが2つ上がりましてランク5になりましたことをご報告します」
机で書類を書いていたイケてるおじさまことイケオジのギルドマスターは、顔を上げて首を傾げたて、?という顔をした。おじさんのくせに可愛い!
「あれ? 3人のランクは3じゃなかったかい? ランクが上がったんならランク4になるはずだが、聞き間違ったかな?」
「いえ、聞き間違えておられません。もともとこの三名様はあと少しでランクアップするところでした。そこに大量の依頼品を持ってこられましたので」
「依頼品ってなにかな?」
「シナノマムの枝葉とツィムトの樹皮です。100g単位で依頼されていたのですがそれぞれ500㎏と100㎏という桁と単位が異なる量をだされました。くわえて」
「まだなにかあるのかい?」
「はい、そこから皆さんのランクを揃えるために大量のスライムの魔石を出されまして……」
「スライムは常設依頼だから、ランクの色にかかわらずだれでも持ち込み可能だからね…… だけどランクが上がるにしたがってスライムを狩ろうとする冒険者はいなくなるはずなのだけどね」
「あの価格では、そうなるでしょうね」
「それを律義に集めてたわけだ!」
「ノルトオステンからこちらに来る最中、スライムが大量繁殖しているところに出くわしまして」
「ああ、この長雨で生態系もかなり影響を受けただろうからね。それを駆除してきてくれたんだ…… よし、書類の書き直しは終わった。これで全員でランク7昇格試験に挑むことができるよ。と言っても、ランク7に昇格するのはミア君だけだけどね。他の人たちはランク6に問答無用で上がるけど、いいのかい?」
「ギルドランクは軍所属の際はあまり関係がありませんからね」
「ん? そうだったかい? 確か有資格でランクが上位になるほど給与に反映されるシステムだったはずだけど?」
「そんな話は聞いておりませんでしたが…… わかりました。ことが済み次第、上司に確認してみます。それで、この試験は何をもって試験終了となるのでしょうか?」
「そうだね、問題の魔物を討伐した時点で終了となります。討伐終了時に証拠部位を持ってくるか、それがない場合、依頼を出した者、この場合、グラニーラムゼースミスの里長が一定期間の魔物の存在を認められなくなったらそこで終了となる。里長のサインを受領する部分があるからそこにサインをもらってきて、この証書を僕のところに持ってきてくれたらそこで晴れて君は7ランカーだ。それでは、ミア・ボルドウィン! このランク昇格試験、受けるかね!」
「是非もなし!」
「ん、いい返事だ。早々に逃げ帰った臆病者どもに聞かせてやりたいね…… あ、もし連絡があったら、現地集合と言っておくからね。ついでに早くしないとすぐ終わるかもしれないよ、とも付け加えておく。それでは頼んだ。フランメクライゼル君もトレーネ君もボーデン君も隊長を助けて、グラニーラムゼースミスの里を救ってくれ」
「「「了解いたしました!」」」
「ん。いい返事だ。さて、そろそろ積み荷は終わった頃かな? みんなで降りるか」
と、言うわけで、ギルマスを先頭に魔道エレベータに乗って1階へ降り、そのあと解体部屋から外に出て解体所のところへ行ったらば、ハンナちゃんとエマさんがヒカリ娘の馬さんの荷鞍に荷物を詰め込み終わったところでした。
「あ、隊長、ちょうどいいところに! 積み込みはすべて終了しました! あとは確認と金銭の受け取りだけです」
そう言うと、ハンナちゃんがなにやら紙をボルちゃんに渡してきた。ふんふん、これが受領書ですかね。何を買ったんだ?
「そうだな、食糧品・医薬品・燃料・魔石といったところか。長いこと籠城していたから嗜好品も足りなくなっていることだろう……」
「あんたらエルフ族って、酒類を相当飲むんだな。この街の在庫の半分の半分はなくなったんじゃないかと思ったよ。あとは肉類だが、ハオスエンテばかりでよかったのか?」
「ああ、スーススクローファやタウルスは十分持ってきたからな」
「それなら助かる。ハオスエンテの肉並みにタウルスやスクローファを持っていかれたら買い占めがばれるところだった。あとは魚類の干物や塩漬けはそのくらいでいいか? 穀類が全然入ってなかったようだが?」
「ああ、大丈夫だ。あと、ここも天候不順のようだから、ギルドで蓄えた金は穀類の備蓄をしておいたほうがいいぞ。西の方では旱魃でやはり穀類の値段が上がり始めているようだったからな」
「…… そうかい、情報提供ありがとうよ。それじゃ清算するよ。必要物資の代金が全部合わせて金貨20枚、今朝の姿見の代金が合計で金貨300枚だから、差っ引いて金貨280枚だ」
”スネークよ、3で割ったらどうなる?”
あー、えーと、270を3で割ると90枚だな。あと10枚を3で割ると3枚で1枚余る。
「金貨は90枚ずつ、3つの袋に分けてくれないか? あとあまりの10枚はそのまま受け取る」
ボンバーおばさん、部下に言って硬貨袋を持ってこさせると、それぞれに90枚ずつ入れさせて、残りの10枚を手渡しした。
「この硬貨袋は君たちの分だ。これで魔物討伐、がんばってくれ!」
ヒカリ娘達に一人一つの硬貨袋をお渡しします。3人ともポカーン顔です……
「え? ええ? 隊長さん…… この中には金貨が90枚入ってるんですが……」
「これ、本当にいただいてもよろしいんですか?」
「…… 返せって言わないですよね……」
「大丈夫だ。他の二人にもちゃんと渡した。金額は内緒だがな。これでやる気も出ただろう?」
「いやいやいや! やる気なら武器貰った時点っから十分出てるですよ! 」
「これでいつ軍をやめても食っていけますね!」
「…… 一生隊長についていく……」
「ふーん、これがミア式部下掌握術か。参考になるね」
一人掌握できてないやつがいそうだが……
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青空のもと、ボルちゃん達は別れの挨拶をする。
「それではフランクフォート冒険者ギルドギルドマスターシュッツ様、並びにギルド職員の方々、お世話になりました。我ら、アプフェル王国近衛軍ボルドウィン小隊、ただいまよりランク7昇格審査試験のためグラニーラムゼースミスの里に跋扈する魔物の討伐に出かけてまいります。良き報告ができるよう頑張ってきます!」
「ああ、人数は前回より減ったけど、その分少数精鋭になり命令系統もはっきりするようになったようだし、今度は成功するだろうね。何せ、強力な助っ人を得たのだから」
「はい。これもシュッツ様、そして伝説の賢者様のおかげです!」
「私や賢者殿は意見をしたにすぎないよ。それをやって特殊任務を果たした君の功績は大きい。私は間違いなく今度の任務は成功するとみているよ。それでは、がんばってきたまえ。成功した暁にはこちらに帰ってきたまえ」
「ハ! もとよりそのつもりです!」
ま、我は討伐が終わったら水結晶を探しに旅に出るけどな。
「それでは、アプフェル王国近衛軍ボルドウィン小隊、出発する! 吉報をお待ちください! いくぞ!」
皆で馬に乗り、冒険者ギルドをあとにした。あとに残されたギルドマスターはこうつぶやく……
「やれやれ、”青天霹靂”、君の家族がまた一人名を上げることになるね…… 君のところはいったいどんな教育をしてるんだい? 教えて欲しいものだよ、まったく……」
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