虫の知らせで来たおばさん
早朝の予約投稿しとーこう^^
ノックノックノック! でっかい扉を叩きます! しからば与えられん!
「ギルドマスター、失礼します。ボルドウィン様とそのお連れ様をご案内しました」
中からどうぞ―と渋い声がした。ドアを開けて案内された先には銀色の髪をオールバックにしたナイスミドル? ミドルなのかな? かっこいい紳士と、実験室内で科学爆発したときのような黒髪チリチリボンバーヘッドのおばさんがいた。あれ? ギルマスがここにいるのはわかるけど、このおばさん、買取担当じゃなかったっけ?
「ボルドウィンが来たと聞いてね、物品の受け渡しと、あと金の匂いを嗅いだのさ!」
物品の受け渡し?
「スネーク、昨日私一人でギルドに出かけたのを覚えているか?」
ああ、何しに行ったんだっけ?
「エルフ族が食料の買い占めをすると目立つのでな。冒険者ギルドを隠れ蓑にして必要物資を買ってもらっていたんだ」
「数か月出入りを封鎖に近い状態だったので何とかしてくれと散々せっつかれてね。本来なら私が何とかしないといけない立場だったのだけど」
「シュッツ様は王国を離れた身ですからそこまできになさることはありません。必要物資の輜重は我らの役目です」
「でも資金は貰ってなかったんだろう?」
「その辺は自主裁量に任されましたので…… 」
それで、ボンバーおばさんの言った金の匂いってなんや?
「私が物資を集めるのを頼んだら、その資金をどうするか気になったんだろう? 子も前の蜂の代金だけでもかなりあるのだけどな」
「いひー! それだけじゃないだろ? なんかまだ売り物があるんじゃないのかぇ? 」
「よくお分かりですな」
「なんとなく、虫の知らせがあったのさ!」
その虫はコガネムシかしらね……
「ノートン殿は基本人族にしては異常なほどの察しのよさですな。何か技能をお持ちなのでは?」
「やだねー、そんなもの持ってたら、こんなところでくすぶっちゃいないよ。やはりあるのかい? 」
ボルちゃん、イケオジさんをちらと見ると、そっちもやれやれという表情をしている。こっちから離した方が早そうですな。
「スネーク、アレを出してくれ」
アレ? アレとは?
”今朝作った姿見のことだ。こっちは察しがよろしくないな^^”
あー、あれのことか。あれも売り物にするのか? 売れるんなら何でも売ればいいが。我、おえっと畳1畳ほどの鏡を吐き出しました…… どこか立てかける場所ないかいな?
「あー、あたしが持っておきますよー」
「これはスネークが今朝作った姿見です。今はバウアーが手持ちしておりますが、木枠を作り足場をしっかりとしたものにすれば立派な調度品となるでしょう。こちらはギルドマスターに進呈いたします。それとアプフェル王家に10枚、献上品とします」
「いいのかい? ありがとう」
「あたしらには?」
「基本人族の皆さんにはぜひご購入をお勧めします。そうですね…… 金貨5枚でいかがでしょうか? 」
「言うようになったじゃないか。貴族どもなら大金貨を出しても買うだろうね。いくつある?」
「王家に10枚、私と家族に10枚、部下たちにそれぞれ1枚ずつ、こちらのギルドマスターに1枚、あと3枚はこちらのギルドに進呈いたしましょう。それで、各所に配達をお願いしたい。残り60枚を買取でどうだろうか?」
ボンバーおばさん、ムムムと計算している…… 60枚で一枚が金貨5枚なら金貨300枚ですな。
「よしわかった。金の受け渡しは買取倉庫で行うよ、あと必要物資の受け渡しもある。その分を差っ引いて渡すからね」
ボンバーおばさん、部屋から出ていくのと入れ替わりに、デイジーちゃんが入ってきた。
「ギルマス、皆様用にお飲み物をご用意いたしました」
出てきたのは、またラヴェンダーティーだった…… しかも糖が入ってるんだったな。




