火魔法使いの武器
山の日三連休……台風の影響で雨……
火魔法というのは、我の使う火魔法Lv.7火弾みたいに、多少の距離を飛ばせるようになって攻撃に有効になるんじゃないかなぁ…… あ、それを言うならほかの魔法も同じか。つまり放出系の魔法ができて初めて攻撃魔法として一人前なのではなかろうか。しかし、昨日も彼女らの魔法を見たが、リーちゃん以外は放出系の魔法はできないようで…… それでええのかしらね? エルフもいろいろ、人生いろいろ、いろいろあって面白い、でいいの? 魔力の放出系ができないのなら、魔力の操作系が器用にできるとかになればいいのか。しかし、ヒーちゃんの場合、器用さは期待できない…… 剣術とか棒術とか苦手と言ってたし…… じゃあなんならいいのさ? 我、思案の最中にヒーちゃん、銀メッキされた石を拾いました。
「拾ったはいいけどさ、これ、どうすりゃいいの?」
「剣でやってるみたいに魔力を込めてみたらどうかしら?」
「…… モノは試し。やってみる……」
「なんだかわからんが、よし、やるか!」
単純なのはこのさいいいところですな! 拾った礫を右手でつかみ何やらつぶやきます……
「熱よ、熱よ、我が祈りを聞き、願いを叶え給え。願いを叶えた暁には我が魔力を我が願い満たすだけ受け取り給え。熱よ、熱よ、我が腕に宿りて」
アレ? 火魔法だけど火じゃないんだ。
「熱くなれ! 熱右手!」
ん? 動物っぽい何かの名前が出てくるところでしょ、最後のところは? なんだか右手に魔力が集ってますなぁ…… しょぼいけども。なんだか顔が真っ赤になってきましたな……
「すまないが、ここは往来なのでもっと端でやってくれないか?」
ボルちゃんが注意する。ふむ、こうやってみると学校の先生に見えなくもないな…… あとの二人は友達か! 両脇から促すようにヒーちゃんを歩かせ・・・…
「あっ!」
持っていた礫がどろりと流れ落ちました……
「…………」
「スネークよ。この実験には何の意味があるのか?」
いや~、ミスリルならヒーちゃんの魔法に耐えられるかと思って……
”ミスリルといえども魔力を流さないとただの金属ですよ?”
おお! ハンナちゃんが会話に参加してきた。
”はいー、退屈なのでずっと聞いてました。フランメクライゼルさんは手にばかり魔力を込めてませんでしたか? ミスリルは魔力を伝達しなければただの金属ですよ? どうやってドワーフの人たちがミスリルで剣を作ってるとお思いですか? ”
そりゃ鉄と一緒で、熱して叩いて鍛え上げるんだろ?
”そうです、だから魔力の籠った手でミスリルの石を掴んでも、溶けるだけですよ? まず、 熱する前に魔力を手に持ったものに纏わせないといけません”
「なるほどなぁ、さすがは魔法の俊英だ」
念話の出来ない三人は首を傾げるばかりです。
「歩きながら話そうか。ヴィンの話では、ヒーディは手ばかりに魔力を集めてて握ったものにまで魔力を纏わせていないから、単に握ったものが熱くなって…… この場合、石が溶けてしまったそうだ」
ヒーちゃんはどのくらいまで温度を上げられるのかしら?
「スネークが、どのくらいまで君の魔法で温度を上げられるか知りたがってるぞ?」
「温度? さ~ぁ? 温度なんてどうやって計るんだ? 」
あ~、そこからか………… 水に手を突っ込んで火魔法使ったら水は蒸発させられる?
「……? とスネークが聞いているが。というより、石が溶けるくらいだから、それくらいはすぐにできるのでは? 乾いた木も燃やせるよな?」
まあ、石が溶けるくらいだから、それくらいはできるよな……
「鉄製のものは赤くなるだけで溶けはしないな」
鉄の溶ける温度って何度ぐらい? 石よりも高いのはわかるが……
”隊長、フランメクライゼルさんに剣を使った時に魔力を剣に纏わせたかどうか聞いてみてください。魔力を纏わせてから魔法を使わないと熱にやられてすぐに剣がダメになってしまいますよ? ”
「……と我らが衛生兵殿は言っている。私もフランメの火魔法はあまり見たことがないが?」
「…………」
「ヒーディ…… 今こそ隊長に報告すべき」
「…… ホントは早めに言っておくべきだった……」
「隊長さんすんません。支給品のショートソード、もうありません!」
「予備もなくなったのか?」
「火魔法を使った時に、衛生ちゃんの言ったように、あっという間に劣化して…… 気づけば折れてました。ほんますんません!」
「…… 道具というものはいつかは壊れるものだ。それが闘っている最中でなくって良かったな……」
「隊長さん……」
「剣はスネークに作ってもらうか!」
例のあれか! まあわかった。しかし、ヒーちゃんは剣は好きではないんだろ? なんかこう、自分にあった武器を見つけられればいいんやが…… そんなことを考えながら辺りをきょろきょろ見回してみたら、良さそうなもの発見!
本日はこれにて。
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