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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第4章 ドラゴンへの道
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とりあえず打ち上げ用アイスクリーム作成



 泊り客も食事を終え、各々の部屋に帰っていきました。あとはお片付けですな。宿の大将が片付けをやるというのでそれは任せて、本日の売り上げの清算をおやつ食べながらやることにします。まあそのついでと言っては何ですが、魔力ポーションができたそうなのでそれの受け渡し。あとはハンナちゃんが湯船に入りたいというのでお湯を沸かしなおしをする予定です。


 まずはおやつです。ボルちゃんがどこのお店か知らんが牛乳をたくさん買ってきたので、アイスクリームを作ることにします。この世界の牛乳は成分無調整のようなので買ってきたドラム缶の小さいバージョンみたいな金属製の容器に牛乳が入っているのですが、しばらく放っておくと油分が分離してくる。それも含めて使います。前回は卵を使わなかったのだが今回は卵を入れて濃厚な味に仕上げましょう。まずは牛乳を1斗鍋に入れて、金魔法Lv.1で水分を抽出。卵はハオスエンテの玉子を使います。卵黄と卵白に分けて卵白はメレンゲになるように、回転魔道具を使って中身を高速回転。この魔道具、攪拌しながら空気を取り込んでくれるのでふわふわになります。そしてそこに少しだけレモンの果汁を加えます。酸でメレンゲを丈夫にするわけですな。一旦出来上がったメレンゲを土鍋に移し、今度は卵黄と糖、それにヴァニラビーンズの濃縮液を加えます。そして回転魔道具で中身を高速回転。中身が多くなってきましたのでお宿にあった回転魔道具も使わせてもらいます。水気を抜いた牛乳とメレンゲ、卵黄と糖をかきまぜたものを半分ずつ2つの回転魔道具に詰めて一度常温で高速回転させます。均一に混じったかな? 念のためもう一度高速回転。そしたら次は回転魔道具を冷やしながら高速回転させます。おっと、その前に、アイスを保存する1斗鍋も冷やしておきましょう。氷魔法?で1斗鍋を万遍なく冷やしていきますよ……どのくらい冷やせばいいかわからないけど一旦できた水滴が氷になるくらいになるまで冷えたようだからこれでよいかな? それでは回転魔道具スイッチオン! 回転しだすと同時に回転部分の金属容器を氷魔法?で冷やしていきます…… 回転終わり。中を開けますとふわふわより少し硬めのアイスクリームの完成です! 中身をマギハンドで書き出して1斗鍋の中に入れていって次々とアイスクリームを作り出していきます…… できたアイスクリームは1斗鍋へ。こうしてアイスクリーム(改)が完成したのでした…… ハンナちゃんや、ちゃんとレシピにメモしたか?


「はい、それはもうばっちりです!」


「そんじゃー味見しようぜー!」


能天気なヒーちゃんがそんなことを言いますが、味見の前にやることがあるのです! 我、耐熱ガラスの器にアイスクリームを盛りつけ、大理石スプーンを添えたものを2つ用意します。テーブルの中央に置いて


”神様神様、あと魔法の声の人、アイスクリームを再び作りました。今度は玉子を使って濃厚な味わいになっていると思いますので、お試しください!”


我、マギハンドで柏手を打ちますと、しゅおん! そんな感じの音がしたかと思ったら器ごとアイスクリームが消えてなくなりました。冷静に観察しているのは旧エルフ三人娘。


「この現象は前にも見たな……」


「消えちゃいましたねー」


「この前はスネークちゃんに雷が落ちましたが……」


口をあんぐり開けているのは新エルフ三人娘。


「…… も、ものが消えた……」


「一体何が起こったんでしょうか?」


「…………」


”あと五杯”


はいー?


”あと五杯分用意してねん! お願いしたわよん!”


これは夏の怪談話か何かだろうか…… いや待て、二人は最初っからいてあと三人があとから来たとは考えらえないか? 最初の二人はお代わりをしたので、あと五杯…… おっと、雷が落ちる前によそわなきゃだわ! 我、いそいそと五杯分を耐熱グラスカップに入れ大理石スプーンを添えた。ついでにミントの葉っぱをおえっと吐き出し、水洗いして葉っぱを捥いでアイスの盛り付けの天辺に添えました。これでいかがでしょうか…… しゅおん! また消えた……


「…… また消えたな…… 」


「スネーク君、どういうこと?」


「…… 師匠…… 説明を」


「世の中には説明できないような理不尽なことが起こるのです、とスネークちゃんは言ってます。私にはよくわかりませんが」


エルフ族の皆さんは、我が身動きしないのを不審に感じたのだろうか? その間我は以前にも経験のあったあの出来事を再び脳内で感じたのであった。我、これを神託と呼ぼう……


”お供えありがとう、また腕を上げたわねん?”


あ、おいしかったですか。それは何より。


”他のやつらも満足して帰っていったわよん”


あー、やっぱりそうですか。他の方々は3人ということでよろしいですかね?


”告。あなたの認識する氷魔法?は魔法ではありません。魔法から魔力を吸い取るスキルです”


えっ? なに突然の告白? えーー、我が氷魔法? と思っていた(本当かどうか疑問だったので?をつけていたのだが)、やはりあれは魔法ではなかったのか…… で、どういうことか教えてもらってもよろしいでしょうか?


”スキルは私の担当外です”


えーーー? 結局わからないってこと? スキルは担当外なら魔法は担当内ですか?


”是。あのスキルを使うことで、火魔法は魔力を抜かれ熱量を周囲から奪うという現象が生じました”


んーっと、冷やすスキルということで間違いないのかな?


”不是。そのスキルは冷やすだけではありません。もっと汎用性の高いものです”


他にも使えるってことですか?


”……”


あー、返事が来なくなった…… 自分で考えろってことね。目の前には先ほど消えてなくなったと思われた耐熱ガラス容器がしゅわわわわん、しゅわわわわんとなくなったと思われた数だけ出てきた、スプーンとともに。当然のことながらアイスクリームはなくなっていた。



本日は1話のみにて。

お読みいただきありがとうございます。

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