エルフっ娘三戦士に我の魔法を見てもらう
人がぞろぞろとお宿に入っていき見物客はいなくなりました。それではまた稽古をお続けください。我、宿の中に戻ろうとするが
「おい! スネーク! お前隊長さんに何かしたのか? 」
何かとは?
「どえりゃー強くなっとるがな! 剣技だけでなく魔力も増したような感じだ。たった2ヶ月でこんなにも変わるとは思えん! お前が何かしたんだろう!」
あー、たしか君はヒーディと言ったか……ヒーちゃんと呼ばせてもらいます。我の世界の言葉に「士、別れて三日、刮目して相待すべし」と言ってな、たった三日でも成長する可能性があるから目を見開いて相手のことを見とかないといけないという。二ヶ月で差が開いたというんなら、ボルちゃんの稽古のせいだぞ!
「……とスネークは言っているが、君らが怠けていただけではないのか? 」
「…… 怠けてはいない。隊長の方が急に強くなっている…… これは嘘偽りなく本当のこと」
「全くねぇ…… 剣技や弓技では全然歯が立たなかったのに、その上魔力も圧倒されたようね…… 隊長さん、やっぱりスネーク君になにかやってもらったでしょう? 」
「私はそれほど変わっていないと思うが……バウアーを見たら驚くかもしれないな」
「あの新兵ちゃんか? 奴は魔力なんて全然使えなかったはずだが…… もしかして? 」
「魔力だけではないぞ? 急に力を増している。膂力ではアプフェル王国に並ぶところのない国士になっているはずだ」
「あののんびり屋の女の子がーー? 闘争心のかけらもなさそうなんだけど? 」
「……体格はいいから、何かきっかけがあって化けたのかもしれない……」
「きっかけねぇ…… やっぱりスネークが何かしたんだろう! お前、吐け! 」
え? 吐けと言われたら吐きますよ? おえぇぇ!
「うわっ! ホントに吐きやがった! そういう意味の吐け、じゃねーわ! 」
「ああ、これはスネークの技能の一種だ。一旦飲み込んで”貯めた”ものを”吐く”ことで出せる、便利技能だぞ! 」
「…… うん、吐瀉物と違う…… 普通の水だ…… 他には何ができるの?」
「結界を張ることもできる。ま、ここでは必要ないからやらなくっていい」
「…… 魔法は土魔法が得意と言ってた…… 見せて欲しい…… 見せてください」
「スネークよ、ボーデンは土魔法使いだ。見せてやってくれないか? 何か参考になるかもしれない」
リーちゃんは土魔法使いか。とりあえず我の魔法を見せますね。一番最初に使った魔法
”土魔法Lv.1 穴を掘る”
ぽこっ! 地面に穴を咲かせましょう!
「おっ? なんか穴が空いたな」
「リーちゃんもこれくらいできるわよね、ねー?」
「リーちゃんっていうな!」
”土魔法Lv.2 穴を埋める”
もりっ! 見事に穴が埋まりました。
「……え? いまのは何? ……」
なにってあーた、土魔法ですよ? 穴を開けたら穴を埋めないといけないでしょうが!
「……穴を埋めたら、穴が使えなくなる……」
この魔法はなぁ、野外でトイレに行ったとき必要不可欠なのよ? お花摘んだらちゃんと埋めないと不衛生なの!
「…… だそうだ。この埋める方の魔法は見た覚えはないがそんなことに使っていたのだな」
「ひゃひゃひゃひゃ! 土魔法はトイレ魔法だったのか! リーちゃん、今度から野外では大活躍だな! 」
「ム! もっとすごい魔法はないの? 」
何をもってすごいというかは知らんが…… そんじゃ
”土魔法Lv.26 土壁!”
赤髪のねーちゃんの足元から土の壁をせり上げる! 急だったもので赤髪ねーちゃん顔から前に突っ込んでこけた!
「あたたた…… 何だよ、急に地面がせりあがってきて!」
「フランメ! 油断しすぎだ! それはスネークの土魔法だ」
”土魔法Lv.13土石変換! ”
先ほど2mぐらいせりあがった土壁が見る間に石壁になっていった。
「……すごい! ……開いた口が塞がらない……」
”土魔法Lv.22土散弾!”
我の口付近から壁に向かって土が飛んだ!
「今のも見たことがないな…… 目くらまし用か?」
さよですな。今のところ使い道は髭おやじ相手に使ったくらい?
「…… 土魔法でも攻撃ができるのですね! スネーク師匠と呼ぶことにする!」
土魔法での攻撃ならこれを見せないといけないでしょう。ちょっと壁から離れて!
”土魔法Lv.24礫弾!”
小さめの石礫を石壁にぶつけます。ガツン!という音がして礫弾は弾かれました。土魔法の攻撃方法ってこんなもんじゃないか。
「……土魔法使いなのに、こんなに技を持っている…… なぜ?」
なぜと聞かれても困る。なぜならレベルアップ音が聞こえたら使える技が増えてるから。
「……レベルアップ音とは?」
「スネークによれば、てろりん♪という音が聞こえるそうだ。それでどんどんその技を使っていくうちにまたレベルアップ音が聞こえるらしい。どうも我々エルフ族としくみがちがうみたいだな」
どうちがうんだ?
「風魔法で例えると、我ら風魔法使いは空気纏いを最初に覚える。そこから風を飛ばしたり空気で壁を作ったりしていくのだ。初めはできないが練習していくうちになんとなくできるようになる。赤ちゃんが成長して歩けるようになるようなものだな」
どうやって最初に覚える魔法がわかるのだ?
「それは家系が効いている。親が風魔法使いなら子も風魔法を使えるようになる。例外もあるが」
「なぁなぁ、スネークよー。火魔法も見せてくれよ~!」
火魔法はあんまりヴァリエーションがないがいいかな?
「なんでもいいぜ!」
そんじゃ
”火魔法Lv.5火炎放射!”
我、壁に向かって火炎放射を吐きます! 放射された部分の壁が熱く赤くなっていきます。我、火炎の幅を狭くしていき1升瓶から魔法ペンの太さまで変化させていきますと火炎の温度が上がったのか、石壁に魔法ペンくらいの大きさの穴が空きました。
「……すんげぇ…… 青い炎の魔法なんて久しぶりに見たぜ……」
どの子もこの子もびっくりしたら口をあんぐり開けるのですな…… それでは第二弾!
”火魔法Lv.7火弾!”
テロリン♪
バレーボールくらいの大きさの火の弾が壁に向かってドシン! ぶつかったところに大穴が空きました! ん? レベルアップ音が聞こえたよ?
「スネークの火魔法のレベルが上がったそうだ」
”火魔法Lv.8 炎操作”
「スネークよ、新しく覚えた魔法はなんだったのだ?」
よくわからんが、炎操作と言ってたな……
「なんだかかっこいい魔法みたいだな! やって見せてくれよ! 」
”火魔法Lv.8 炎操作!”
”操作する炎を出してください”
”炎を出さないといけないのか……それでは初めてなのでちょっとだけよ……”ボォォォォ!
”どのような操作を行いますか? ”
”それでは鳥の形にして辺りを飛んでもらいますかね?”
我の出した炎の塊が徐々に小鳥の形になっていき、空に羽ばたいていった……そして消えた……シャボン玉のようですな……
「すげぇ……火炎鳥なんて初めて見た……親から聞いたことはあったが、まさか魔物がやるとは思わなかった……」
「ねぇねぇスネークくーん! 水魔法でもやってみてよ!」
水魔法はわけあって使用を制限しているのだ! 見世物用には使わない!
「ええっ? そんなー!」
「ま、あまり無理強いしてもいけないしな」
本日はこれにて。
お読みいただきありがとうございます。




