epesode7
「うぁぁっ!!?」
アスハルティルタの体に、黒い槍が貫かれた。
それと同時にHPのゲージが嫌な音を立て、口元からは血が滴り落ちる。
「どうしたのかな?まさかもうあきらめたのかね?」
「うっ…ぐぅぅ…!」
魔王はアスハルティルタの首を、黒く変わってしまった左手で締め付ける。
そうしている内に、アスハルティルタのHPは3分の1に減っていた。
それを見ながら魔王はシェーラの顔で、歪んだ笑みを見せつけ
「この娘を裏切った君が今、娘のため、本人である彼女に剣を向け、完敗に陥っている。
彼女がこの状態を見たら、どうなるだろうね」
そう言ってアスハルティルタを突き飛ばした。
身の丈以上の大剣と共に、アスハルティルタの体は魔王のいる宿の2階から下へと落ちていく。
「ガァッ!!?」
上から落ちてきた女剣士に、町ゆく人々が振り返る。
野次馬も集まる中、魔王は背中に生えた漆黒の翼を羽ばたかせ彼女のいるところへと降り立った。
「フフ…やはり所詮はただのガラクタ、か」
「…シェーラを返せ」
魔王の嘲笑う声も聞かず、アスハルティルタは剣を地面に刺し、立ち上がる。
「シェーラを…仲間を返せ」
そして再び剣の切っ先を魔王に向けた。
それを聞いた魔王…いや、少女の体を、シェーラを奪ったウイルスは静かに一言
「…何を言うか」
それと同時に魔王の体から禍々しいほどの魔力が満ち、町は黒い霧に包まれる。
「お前が!!お前を信じていたこの体が!我を受け入れたのだ!
お前に裏切られ、もう誰も信じられないと!!この体の絶望に満ちた気持ちがっ!
お前に分かるものかァぁァァァあっ!」
「…分かるよ」
少女と傭兵の姿が重なりあう。
傭兵は静かにいった。
「…私は臆病ものだから。
ずっと一人で戦って、戦って。
君に復讐するため、ずっと一人でいた。
だけど、君を殺すなんて出来ない。怖いんだ。怖くてたまらなかった」
「アスハル、ティ、ルタ……?」
少女が初めて傭兵の名前を呼んだとき、
「はは…初めて、なま、え呼んでくれ…」
少女の腕に抱かれながら、傭兵は静かに目を閉じた…




