サプライズ
「トウヤ?」
カエデ様が朝ごはんを食べていると、急にニタァという擬音が浮かんできそうな笑みで問いかけてきた。
「はぁ、碌でもないことは察しておりますが一応聞いておきますね。なんでしょうか。」
「酷くないですか?」
別にそんなことないだろう。そんな顔して尋ねてくる方が絶対悪い。
「私は酷くないですね。10:0でカエデ様に非があります。それよりもなんですか?」
「最近、あたり強くありませんか?まあ、いいですけども。ともかくそれは置いておいて、朝言いましたよね?」
「何をですか?」
何だろうか。別に大したことは言ってない気もする。ご注文も最近は週一くらいでされていたからまあ、それではないだろう。
「ふふ、心当たりなしって顔をしてますね。確かに言いましたよ。『何でもします』って。」
「げ」
まずい。その事だったか。そういえば、というより確かに言っていた。完全に忘れてた。なんだ?百叩きの刑かな?そんなのされたら僕泣いちゃうぞ。嫌いになっちゃうぞ(某坊風)。
いや、嫌いにはならないが。むしろ好きまであるが。何されちゃうんだ?
「まあ、これは決定事項なので事後承諾紛いになるんですが。」
「はあ。」
「おめでとうございます。あなたは晴れて私の婚約者になることになりました。明日からイチャイチャチュッチュして楽しい日々を紡いでいきましょうね。」
「······へ?」
婚約者?僕が?カエデ様の!?僕は従者!立場対等かカエデ様より上になっちゃうんだよ?
最近敬語でしか話さないから口調忘れ気味だったけど···従者だよ!?(大事なことなので2度)
「百たたきの刑されなくていいのです?」
「するわけないでしょう?というより、敬語はやめてください。あなたは将来私の夫になるのです。」
敬語なし!?2年間ずっと敬語だった人に·······敬語なし!?
「せめて「様」は付けさせて···」
「却下です。」
「ですよねぇ····」
「夫になる自覚が湧きませんか?」
「そりゃそうですよ。だってもともと····」
危ない危ない。元々好きだった人と大きな身分の差を乗り越えて結婚するなんてどこの物語なんだよっていう話じゃないか、とか言っちゃったら絶対この人からかってくるもん。某アニメみたいに「お可愛いこと」ってからかってくるじゃん絶対。
「元々·····何なのですか?元々。」
なんで聞こえてるぉぉぉ!!!なんで難聴系じゃないんだよ!!(※難聴系は主人公のみ保有するユニークスキルです。)
「もともと·······きだった。」
「聞こえませんね。もっとハッキリ。」
「元々好きだったんです!拾ってくれて慰めてくれて、訓練後にお疲れ様って言ってくれたカエデ様が好きだったんです!」
言ってしまった。頬があつい。というより、顔全体が熱い。きっと真っ赤になってる。カエデ様に引かれてないかな。
「トウヤッ!」
「ふぁっ!?」
カエデ様が僕の胸元に飛び込んできた。食事が済んでてよかった。水も零れてないな。
「ぅあ、ありがとうございましゅ。」
うん、噛んだ。そして顔を紅くして胸板に顔を埋める。なんだコレ?可愛すぎか?風の噂によるとカエデ様も超強いらしいけどすっごい庇護欲駆られるこの姿見ちゃったら嘘としか思えない。
「あれ?というか、なぜ急にそのような話になったのですか?」
「敬語。」
「いや、あのですね。」
「敬語。」
「いや···」
「敬語。」
「····分かったよ!なんで急にこうなったの?」
「お父様が『カエデ、お前ら両想いだから婚約者にしていいよな?』と言われたので快諾しただけです。」
「何してくれてんだ!?王様!?ありがたいけど!」
「というわけで、今日から婚約者です。私に内緒で外で女性に会うことも、貴族令嬢に手を出すのも、禁止です。私に手を出してください。」
「そこは止めないとダメじゃないの?」
「私は王族です。世継ぎをさっさと沢山作らないといけないんです。」
うわぁ、なんか大人だなぁ。そんな話されたらなんか、意識しちゃうような。って!私に手を出してくださいってなんだよ!さすがにまだ早いよ!まだ17歳、こっちじゃ成年だけど心はまだ子供!
「楽しみにしてますよ。私の愛しいトウヤ♡」
王様のメガトン級の後押しによってふたりの新たな関係が始まるのであった。
「なんか、ワシ、責められてないか?」




