3-1魔術師との戦闘
【魔術師との戦闘】
神殿に入ると中は薄暗く、松明で明かりを確保していた。
とても現代とは思えない、数百年も前の世界に降り立ったかのように錯覚する。
「暗いな……」
「明かりを付けようか?それとも暗視ポーション?」
「すまない……ポーションは少し怖い」
「なら暗視ゴーグルだ。君達も付けたまえ」
「助かる」
松明があるとは言え、足元が見辛い程度には暗い。
足場が悪かったり何かしらの罠が合っては危険である。
「……よく見える。最新式のに近いな」
「そうなのかい?」
「ああ。明るさの増強だけでは松明など眩しくて見えない。しかし、これは普通に見ても問題無い」
「ふーむ………私の世界では松明を含む光源を見ても目を傷めることなど無かったからね。その感覚は分からないよ」
「不思議ね……ねぇ、これ貰っても良い?」
「あぁ、もち「ダメだ」……との事だ」
「間違いなく国が介入する。その際、命の保証は出来ない」
「そう……なら諦めるわ」
「すまない……その気持ちは分かるが、色々とね」
「まぁ、代わりに色々と取材の許可を貰うけどね?」
「ふっ、強いな……」
「強かじゃないと生きていけない世界ですから」
それぞれが暗視ゴーグルを付け、動作の確認をする。
今まで足元も暗く、見辛かったのが嘘のように見えるようになった。
これで、如何なる技能も暗闇が原因で失敗することは無い。
と、その時だ。
遠くからだが、何やら大きな音がした。
「今の音は……」
「あちらからだね」
「やはり、気付かれていたか……急ぐぞ」
「了解だ」
正面入り口から大きく分けて3つに道は別れていた。
大きな音がしたのは正面であり、4人は迷うことなく正面の道を選んだ。
しかし、途中で大きな扉が存在し、開かなかった。
その扉には、
『この先、神聖なる場也。資格無き者は今すぐ去れ』
と、書かれていた。
扉には何かしらの仕掛けがあることが誰の目で見ても分かった。
現代式の暗証番号などでは無く、別の場所で仕掛けを解いて行くパターンだ。
「ここで謎解きか……スティーブ」
「おや?解かないのかい?こう言ったのは解いてあげるのが作者へのお礼となるのだが……」
「それは作者が歓迎している場合だろ?俺達は侵入者だ、遊び相手じゃない」
「ふむ………それもそうか。なら、壊すよ」
既に見慣れたと言っても良い赤いピッケルを取り出し、扉を破壊するスティーブ。
しかし、扉は壊れなかった。
扉をよく見ると薄らと謎の光を帯びており、何らかの方法で守られているようだ。
「これは魔術的な何かで守られているね」
「壊すのは無理か?」
「いや?手間だが色々と方法はある。しかし、急いでいるのだろう?」
「ああ」
「なら、手早くて簡単なのを使おう」
スティーブはそう言うとすぐに扉の横の壁を壊し始めた。
その動作はどこまでも手慣れており、熟練の炭鉱夫であっても真似できない程だ。
結局、モノの数秒で扉の向こう側まで通路は開通した。
「さぁ、行こうか」
「ああ……」
「反則ね。作った人に同情するわ」
「なら、探索するかい?」
「嫌よめんどくさい。こうも暗くてじめじめしてる場所に長時間居たくないわ」
「無駄口を叩くな。ここは敵の本拠地の可能性が高いのだぞ」
「その通り」
ウィリアムの言葉に肯定が返ってくる。
その声は行動を共にしている4人の声ではなかった。
「よく来た、しんにゅ……う………」
話しかけてきた謎の人物は、スティーブを見て固まった。
明らかにうろたえ、大きな衝撃を受けている。
「ふふふふふふざけるなっ!そのような化け物を神に選ばれしこの私以外が作りだしていいはずがない!そうだ……そうだ、あり得ない!あり得ない!これは幻覚だ!ふははははははは。この私を騙そうなどとこざかしい真似をしおって……絶対に許さんぞ!」
目が血走り、涎を垂らしながら叫び散らかす。
明らかに正気を失い、狂気に呑まれている。
「死ねぇぇぇぇぇええええぇぇぇぇえええええ!!!!」
謎の人物は叫びながら杖を4人に向ける。
しかし、それよりも早く3人が動いた。
「殺すのはまずい!手足を狙え!」
ウィリアムはそう叫ぶと謎の人物の右腕を撃ち抜く。
その正確無比な射撃は成功し、謎の人物は杖を落とした。
「私は足を狙おう」
スティーブはウィリアムの指示に従い、UZIを連射する。
先程ゾンビを一掃した時と同じように……だ。
結果は火を見るよりも明らかであり、謎の人物の足に何発も命中した。
謎の人物は立っていることが出来ず、倒れてしまう。
「やることが無いわね……写真でも撮っておこうかしら?」
カティはすぐさま3人から離れ、カメラを構えた。
その天才的なセンスでウィリアムの狙撃やスティーブの連射を確りと捉えた。
「……………」
そして、見ていることしか出来ないジョン。
彼は周りの警戒をしている。
「……………」
倒れた謎の人物は動かない。
警戒しつつもウィリアムは近付き、確認する。
気絶していることを確認しつつも、念には念を入れ、首を絞める。
「ふむ……これだけ締めても反応が無いなら気絶しているな。他に敵はいないか?」
「いないようだね」
「物音はしないわ」
「これで終わりならいいのだが……」
「あら?応急手当?手伝うわ」
ウィリアムが周囲を警戒しつつ、応急手当をする。
それを見たカティは手伝いを申し出る。
2人は完璧に息の合った手当を行い、謎の人物は一命を取り留めた。
「私の荷物がありました。これで直接本部に応援を要請出来ます」
2人が応急手当てをしている間にジョンはどこからか自分の荷物を見付けていた。
奪われていただけであり、壊れてはいなかったようですぐさま応援を呼ぶことに成功。
このまま時間が経てば脱出し、日常に戻れるだろう。
謎の誘拐事件に巻き込まれてから数カ月が経過した。
誘拐事件は謎の人物が主体となった宗教団体が魔術を研究する為の生贄を欲していたことが原因だった。
謎の人物を含め、宗教団体は魔術が使えたらしい。
しかし、謎の人物は使う前に倒れ、他のメンバーはスティーブを見て発狂、逃走していた。
それでも、宗教に傾倒していたのかきっちりと誘拐し、島に運ぶと言う仕事はしていた。
皮肉にも、仕事を完璧にこなしたからこそ彼らは滅んだ。
探索をした4人にも色々あった。
まずは、ジョン。
彼は島からの脱出後、すぐに別れた。
ウィリアム曰く、
『彼は警察が直接動けない時などに秘密裏に動く特殊な部隊だ。だから、警察に席は無い。それがばれる前に離脱しただけで、敵ではない』
とのこと。
ウィリアムも同じような存在であり、スティーブへの視線で2人は納得した。
そして、残る3人は……
「ほう……ここが君の祖国か」
「ああ、いい国だろ?」
「歓迎しているのがよく分かる」
「当然さ」
「ふふっ……約束通り紹介してくれてありがとう」
「気にするな。これが俺の仕事だ」
「それにしても……私も同行してよかったのかしら?」
「構わない。いや、正確に言えば秘密を隠す為にも来てもらわなければ困る」
「そう……まぁ、いいわ。公開出来るかは別にして、こんなチャンスは2度と回ってこない。最高に愉しまなくちゃねっ」
最初に交わしていた言葉通り、ウィリアムの祖国に訪れていた。
「そう言えば……なんであの人は魔術を使えたのかしら?」
「さぁな……ほとんどの奴が発狂している。聞き出すことは難しい」
「案外、私と同じように異なる世界からこの世界に来ている人がいるのかもね」
「あり得そうだな……頼むから、敵対しないでくれよ?」
「それはそちらの態度次第と言っておこう」
「ふふっ……ねぇ、スティーブ。私はあなたの世界に行ってみたいのだけどいいかしら?」
「ああ、構わないよ。いつでも歓迎さ」
「待て!流石に国より先に個人が行くのは見過ごせない」
「あら……これくらいの得はあってもよくないかしら?」
ここから、スティーブの世界とこの世界との交易が始める。
それがどんな影響を及ぼすかは誰にも分からない。
~~~~~~~~~~おまけ~~~~~~~~~~
ス「扉壊します」
GM「魔術的なアレコレで壊れません」
ウ「マジ?横暴じゃん」
GM「うるせぇ!探索しろ!」
ス「じゃ、横の壁壊しますねー^^」
GM「くそがあああああああああ」
ス・カ・ウ「wwwwwwwwwwwwwwww」
ス「錬金術MODには遠距離攻撃を全て弾く松明があってだな」
GM「ダメです」
ス「魔術MODにはマナと言う概念があってだな」
GM「ダメです」
ス「タレット」
GM「ダメです」
カ「wwwwwww」
ス「戦車」
GM「ダメです」
ウ「wwwwwww」
ス「なら……ポーション!」
GM「ダメです」
ス「しょうがないなぁ……RPG-7」
GM「絶対にダメです」
ス「なら何だったらいいんだよ!」
GM「探索して魔術身に付けて来い!」
ス「銃で殺すわ」
GM「おい!」
ス「は?これ以上の妥協は無いよ?無茶振りに応える練習だろ?通せよ」
GM「ぐぬぬ……」
ス「今何時だと思ってるの?もう朝の4時だよ?起きる時間だよ?」
カ「太陽出てるw」
ウ「徹夜とかこの年になるときついなー」
GM「銃……認めます。新しいのは無しで」
ス「勝った!」
ウ・カ「wwwwwww」
GM「もう俺も終わらせて寝よう……」
ス・カ・ウ「wwwwwwwwww」
もう終わり?
展開が早い?
それはね、GMの心が折れたのとおrげふんげふん……スティーブが悪い。
TRPGをするときはGMを含めて全員が楽しく終われるように心がけましょう。
特に、神話生物以外に銃を乱射するのは危険です。
エンチャントなんて論外です。