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僕のヒーローアカゴケミドロ  4

「タケちゃん、悪いがそっちの材木取ってくれねーか」


 舞台の上で若い衆に指示をしていた親方風の男は舞台下に立っている大男に声をかけた。

 大男は足元にあった材木を一本取り上げ、無造作に舞台に立つ手近な男に手渡す。肩にタオルを巻いていた男は大男と同じような気軽さでその材木を受け取ったが、途端にその重さによろめいた。親方は慌ててタオルの男の背中を支えた。


「気を付けろ」


 親方がタオルの男に注意する。タオルの男は目を白黒させながら、急いで材木を両手で抱え直した。


「タケちゃんも気ぃつけてくれ。他の連中はタケちゃんみたいに怪力じゃねーんだからな」


 親方は陽に焼けた顔を少ししかめて言う。一見若々しいが見た目ほど若くはない。少なくなった髪は白と黒のまだら模様をしていた。


「すまん」


 大男は一言謝る。が、謝りながらも視線は中庭に現れた新参者たちに注がれていた。

 中学生とおぼしき少年たちがゾロゾロと歩いてくる。服装は全員いかにも、といういでたちだ。特に先頭を歩く少年の髪は煤けた茶色で、これでもかと言うぐらいトンガっていた。目付きもすこぶる悪い。

 服装で人を判断しては駄目とは言うが、いわゆる不良と呼ばれる連中だった。少なくとも 入院した友人を見舞いに来たという雰囲気ではない。 


『本当に………るんだな』

『…い、調べ……た…』

『…い…、俺…ちの…と話して……だ…な』

『……います』


 少年たちが横を通りすぎる時、大男の耳にそんな会話が飛び込んできた。

 大男は視線だけで少年たちの後ろ姿を見送る。大男もすれ違った少年たちと同じ種類の人間だから、少年たちの一種独特の緊張感を敏感に嗅ぎとることができる。

 彼らが何かをやらかすつもりであるのは間違いない。

 人に誉められることではないだろう。だが、何をするのかまではさすがに分からない。分からなければ動く訳にはいかない。何をするにしてもそれは彼らの問題だからだ。

 それに……


「おう、タケちゃん、そろそろ練習の時間じゃないのか?」


 丁度、親方にそう言われた。

 大男こと、海道(かいどう)(たける)は、少年たちの背中を目で追いながら、黙って親方に頷いた。




バタン!


 勢い良く非常口の扉が開かれると、松葉杖を突きつつ一人の少年が飛び出てきた。

 病院の裏手、丁度駐車場になっている所だった。

 人気(ひとけ)のない駐車場を少年は横切ろうと走る。しかし、右足のギブスが重しとなって少年の歩みにブレーキをかけ、少年の歩みは遅々として進まない。

 駐車場を半分も行かない所で非常口に数人の少年たちが姿を現した。


「いたぞ!待て、こら!」

「手間とらすんじゃねー」 


 松葉杖の少年の後ろ姿を認めると少年たちは口々に怒鳴り、猛然と追いかけてきた。少年たちはあっと言う間に追いつく。少年の一人が松葉杖の少年の肩を押した。


「あっ?!」


 松葉杖の少年はバランスを崩して地面に倒れる。カラン、カランと乾いた音を立て、杖がアスファルトの上を転がった。地面に転がった少年は懸命に杖に手を伸ばすが、杖は追いかけてきた少年たちの一人に拾われる。

 杖がなければ立つのもおぼつかない。地面に伏した少年は絶望的な表情を浮かべた。


「全く。俺たちの顔を見たら反射的に逃げるんじゃねーよ。ムカつくな」


 茶髪でトゲトゲしい頭の少年がイライラした調子で言葉を吐き捨てる。だが、地面に倒れている少年とは真逆な余裕の笑みを浮かべている。他の少年たちも同じような厭らしい笑みを浮かべる。


「俺たちはちょっと今後のことを話したいだけなんだよ。分かるか?」 


 とんがった頭の少年がそう言うと残りの少年たちはゲラゲラと笑った。

 地に倒れたままの少年は黙ったまま、ただ体を小刻みに震わせた。

 その時だ。

 松葉杖を持ってバカ笑いをしている少年、少年グループで一番背が高く少年のすぐ後ろに、ゆらりと大きな影が現れるのを倒れている少年は見た。

 影はグループで一番背が高く少年よりも遥かに高い。2倍はあった。更に何か形が変だった。頭から二本の細い触角のようなものが天に向かって真っ直ぐ伸びていた。

 その奇妙な影が突然、背後から松葉杖をもつ少年の腕を捻り上げた。


「あいたたた」


 途端に少年は情けない声を上げる。その場にいた全ての者の視線が奇妙な影に注がれた。

2018/10/13 初稿

2019/09/14 改行などのルールを統一のため修正


《おまけ》

『蒼茫戦隊 アオインジャー 設定』

『腐界大帝 アカゴケミドロ』

赤い死の一族『デスクリムゾン』の大幹部『カルクアルケミスト』の戦闘モード。

細長いネギのような頭部に昆虫の複眼を思わせる巨大な目が二つある。

頭頂から6本の触角が天に向かって伸びている。この触覚はレーダとして周囲の状況を把握したり、高周波振動させて音波攻撃をしたり、ムチとして使用できる。

特に6本の触角を高周波振動させて音速を越える速度で縦横無尽に繰り出す『ハリケーンラッシュ』はアオインジャー達を大いに苦しめた。

腹部には巨大な口と目がもう一対ある。腹にある大顎は鋼鉄も噛み砕く力があり、火球や強力な酸を吐き出すこともできる。

胸にある目は普段は閉じられているが、見たものを麻痺させる力がある。



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