45話.ひと時の休み時間
最強のエルフと王様との顔合わせでございます
エルフの国に入って俺を出迎えたのは、声のデカいエルフ。名前はティスミスと言うらしい、パッと見ても2mを超えている。筋骨隆々という言葉がこれ以上に会う人はいないだろうと言えるほどに筋肉質な体をしている。元居た世界はもちろん、この世界に来てからでも一番と言えるほどの筋肉だろう。
「お疲れ様です。総隊長、相変わらず元気ですね」
「よぉ、フィーア!第二階級のお前が人間に負けるなんて珍しいな、300年ぶりくらいか?」
「その件に関しては申し訳ありません」
「まー、お前が人間族に助けを求めるようになっただけでも成長だな」
バシバシとフィーアの背中をたたく、ティスミス。随分とフランクな総隊長だな
にしても300年か...前に召喚された勇者にでも負けたのかな?
「それで人間、名前は?聞くところによるとお前も勇者らしいな!見た感じ魔法主体で近接を織り交ぜる戦い方をするな?面白いタイプだ」
こいつすごいな、鑑定のスキルも使わずに俺から漏れ出る魔力と体格から戦闘スタイルを的確に当てやがった
「ふーん、だいたい正解だけど一つだけ不正解」
そう言い俺は『魔剣創造』で適当な魔剣を創り出しティスミスに見せる。
「俺は魔法剣士、使う魔法は付与が基本だ」
「違うな。お前の手は剣士特有のマメが全くない、しかもお前はオレと初めて対峙した時お前は攻撃魔法を一瞬準備した。防御結界を常時張っている魔法使い特有の戦闘スタイルだ。しかも腕の位置は体からそんなに離れていなかった。仮に魔法剣士ならば剣を取り出し、こっちに振るほどのスペースを確保するはずだ。」
バレてたか、この程度の嘘は見抜くか
「やるな」
「そんくらい見抜けなきゃこの国のトップなんて張れるわけないだろ?」
「それもそうだな、ヨツバだ、よろしく」
自己紹介をし、手を差し出す。
「おう!よろしくな!ヨツバ!」
グッと手を握られ、ブンブンと上下に振る。痛い....
そこから俺は王城に招かれることになった、王様との面会だとさ、めんどくさいけどこの国にエルフ以外の種族が入ること自体、珍事も珍事。この国を治める王に顔通しもせずに滞在なんて筋が通らないからね。
その王城に向かう途中....
「なぁ、イアン。お前も階級とかあるのか?」
ふと階級について気になったことを聞いてみることにしてみた
「あぁ、あるぞ、というかこの国の兵士には全員階級が与えられている、さっきも説明したが階級は全十段階、俺は最近第二階級に上がったばっかりだ」
まじか...フィーアと同じ階級、こいつも結構優秀なんだな。
「ふーん、ティスミスってどんくらい強いんだ?」
この際だから気になっていることを全部聞くことにしよう
「とんでもなく強いってことしかわからない、誰も総隊長の全力を見たことはないからな。まぁ参考程度に言うとここにいる全員で一斉に襲い掛かってもかすり傷一つ付けることできずに瞬殺されるだろうな」
「ほぇ~そりゃ強ぇな」
ここにいる全員に俺のことが含まれているのかどうかが少し気になるところだが、おそらく除いて計算しているだろう.....多分
まぁこんなこと言っているが正直なところ俺もティスミスに勝てるかどうかはわからないと言わざる負えない、実力が未知数だ。鑑定を試みたが詳細な情報を見る前にあっちに見ていることに気づかれた、声には出していなかったが確実に気づいていただろう。今まで『鑑定解析』に気づいたやつなんていなかったぞ、怖ぇな....
なのではっきりとしたステータスやスキルなんかは見れていないままだ。まあ戦うことがないと願っておこう
なんてどうでもいいことを考えていると急にティスミスが足を止めた。
「おっ迎えが来たぞ」
...迎え?周囲には誰もいないが.....
突如俺らの前方の空間がぐにゃっと歪み、その歪みの中から一人の男が出てきたのだ。
「おう、リーム!お迎えご苦労!」
「誰が貴様なんぞを迎えに来るか、私は貴様の足になるほど暇ではない」
「お前は相変わらずだなぁ、もうちょい上司を敬えよ~」
突如現れた男とティスミスが話し始めたところで俺は隣にいるイアンに質問をする
「誰?」
「第一階級序列三位のリーム様だ」
ふーん、三位ね、まぁまぁ強そうだな、ティスミスの部下?序列とかは未だによくわからないな
「貴様に構っている時間はない、おい、そこのお前たち今から王城に送る。こっちに来い」
急にこっちに視線を向けたと思ったらそんなことを言っていたのだ、信用できんのか?こいつ、まぁ一応第一階級らしいから多分大丈夫だろう
送ると言っていることから察するに空間魔法でも使えるのだろうな
「ヨツバ、いくぞ」
「はいよ」
イアンに声をかけられ、リームの近くに寄ると魔法を発動、一瞬にして周囲の景色が変化する。
「着いたぞ、急げ、王がお待ちだ」
目の前には巨大な扉、豪勢な飾りつけのされたいかにもって感じの扉が先行したリームの手によって開かれる。
リームの後ろをついていく形で扉をくぐるとそこにはかなり高齢のエルフが王座に座ってこちらを見ていた、長寿で有名なエルフがあそこまで老いるってことはあの爺さん相当の年月生きてんな
王の前まで歩き、リームが跪く。それを真似るように他の面々も跪く。ティスミス以外は
俺は一応跪いといた、不敬罪なんてもんがあっていざこざになるなんてことあったら面倒だからね
「面を上げよ」
爺さんの口から初めての言葉が出る。それを聞いた面々は一斉に顔を爺さんの方に向ける。俺礼儀作法とか全く知らないけど大丈夫なのかな?
「余はこのエルフの国を治める王、リースリアット=ファン=グリアビスである、よくぞここまで来たなニンゲン」
「どうも、お会いできて光栄です陛下」
一応定型文で返しておいた、まあ不備はないだろう
「...........」
何も返事は帰ってこないがまあ気にせずにいこう
「なぁ、もうしゃべっていいか?こーゆー堅苦しいのニガテだ!」
しばらく続いた静寂を壊すようにティスミスが声をあげる。こいつすげぇな、絶対怒られるやつなんだろうけど誰もなにも言わない、これが序列一位の権力なのか....
「ティスミスよ......貴様はいい加減正しい言葉遣いを覚えよと何回も言っておるだろう....」
爺さんは頭を抱える。
「あんたはたまたま長く生きただけだろう、オレはオレよりも弱いやつの言う事を聞くつもりはないって何回言ったらわかるんだ、爺」
爺....言っちゃうんだ。俺も思っていたけどさ...
「もういい.....下がれ.....」
あっ爺さんが折れた
それから俺らは来賓の間に案内された。
俺に部屋も与えられた、まあ当然のことながら監視が付いてるけどね、メイドさんだとか、隠し部屋に数人だとか、まあ敵意とか害はなさそうだから無視でいいか
王城の中の移動も結構自由が許された、まあメイドさんというか監視付きが条件なんだけどね
興味深いことに図書館的なものもあった、この国の歴史についてなんかも知ることができて結構有意義な時間を過ごすことができた
まあ何回も言うけどエルフは長寿なもんでこの世界でできた瞬間から存在している数少ない種族の一つだと言われている.....らしい
それゆえ未だ一部のエルフは自分たちは崇高な種族であり、他の種族(主に人間)なんかとは比べるまでもないほどに高みにいると考える者も少なくないらしい
まあそんな歴史についてはどうでもいいことだ
そんなことより青木、林、渡辺の同級生トリオの対応についてだ、あいつらのことはよくわからないけれど日本にいた時はよく3人でいるのを見かけていた。リーダーは青木、渡辺は考えなしに動くので林がストップをかける役割....そんな感じのイメージだったな
あのグループを動かしているのは青木だろう、あの中で一番頭がいいのは林だが、あいつは感情が欠落してんじゃないかってくらい感情の起伏がない。そこら辺の足りない部分を青木が補っているのだろう
それで一番の問題に入ろう、あいつらもう一度戻ってくるか問題。これは半ば確信しているのだが、おそらく再来するだろう。青木の性格は多分負けず嫌い、プライドが高い、いつも偉そうというかお高く留まっていたイメージだ。
そんなあいつに何もさせずに尻尾撒いて逃げさせた。その事実はあいつのプライドを深く傷つけただろう。
まあ成り行きでエルフの仲間になったわけだが、一応仲間なわけだ、最後まで助けてやろうことにしようか...
次あたりに青木君らが出てきます




