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「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜  作者: 大好き丸
18章 龍球王国 後編

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427、戦後処理

 龍球王国での戦いは終わった。


 禍津神によるダメージは深刻であり、家屋は呪いで汚染され、中心街は一様に財産を失った。陰陽師や七元徳(イノセント)が浄化に当たっているが、それなりに時間を要することは誰の目にも明らかだ。

 多くの国民の紡いできた歴史が失われ、これからの生活を考えれば途方に暮れる者もいる。


 しかし、唯一の幸運はこれだけの被害があったにも拘らず、死者がほとんど出なかったことである。避難が早かったこと、避難所を地上に残さなかったことなどが挙げられ、さらにキジン一派の内乱に対応したのがレッド一行だったことなどが重なり、建造物が破壊されるだけに留まった。

 国とは場所や建物のことではなく、人によって形成される。多くの時間は必要になるだろうが、復興は可能である。


 被害を逃れたゲンム家の屋敷。名だたる武将たちが顔を並べ、今後のために話し合いの場を設ける。いつもならニシキは(すだれ)の向こうに隠れてしまうのだが、今そんなことにこだわっている場合ではないと普通に上座に座っている。


「……今回の一件には『ブラックガーデン』が関わっているというのは(まこと)か?」

「はっ。ムネヤス並びにヨリマロが、かのブラックガーデンの幹部であるとの証言。そしてヒズミ他、ラストゥスなる者たちの介入による禍津神復活が何よりの証拠でございます」


 コジュウロウからの報告は国の根幹を揺るがしかねない問題である。

 キジン家はコウカク家の分家であり、もしもコウカク家に問題があった時などにキジン家から『央龍皇』を選定する場合がある。実際にコウカク家で竜神帝の力が覚醒せず、キジン家から覚醒したパターンが過去一度だけ存在した。『央龍皇』という称号柄『力の覚醒なくして座に座ること(あた)わず』という当時の天征十一将の評決により、コウカクを下げてキジンを長に据えたのだ。

 結果はキジン家が権力を乱用し、圧政を強いた挙句、『永遠(とわ)の栄光』と題して禍津神をキジン家の戦力にしようと復活を画策していた経緯がある。封印石のあまりの強靭さに禍津神復活は頓挫し、その後コウカク家で力の覚醒が認められたために『央龍皇』の座を剥奪されている。


「先代がご病気で早くに亡くなられ、私が今代の『央龍皇』を継承したが、万が一にもヨリマロの嫡男が力を覚醒していれば、この国はブラックガーデンが暗躍する最悪の時代を迎えていたのか……」


 ニシキの顔が曇る。


「その場合は龍球王国は今頃存在していない」


 グルガンは何でもないように付け足す。武将たちの中に知れっと混じる獅子の顔に違和感を感じるが、この国を守った英雄の1人ともなれば魔族であろうと許容出来る。


「貴公がこの国を治めていなければ、我らが到着するよりも前に禍津神が復活し、誰にも止めることが出来ずに滅んでいたことは確実。それらを踏まえ、ブラックガーデンの壊滅も視野に入れたデザイア軍討伐、ひいては世界平和のため我らに力を貸して欲しいっ」


 畳に両拳を突き、頭を下げる。


「うむ……力を貸したいのは山々だが、禍津神による被害は想像を絶する。我が国のことで精一杯の状況で他に手を回せるほどの余裕は……」

「であれば、央龍皇。私に良い策がございますっ」


 ここでアキマサが声を上げる。いつもの甚平を脱ぎ、正装で話し合いに参加しているため、一瞬誰か分からなかったが、サングラスとツンツン頭で気付く。


「聞こう」

「はっ。ルオドスタ帝国の剣聖、聖王国の七元徳(イノセント)(なら)い、少数精鋭で旅に同行するというのはどうでしょうか? 無論、他国ほどの人数は出せずとも、彼らに報いることが出来ましょう」

「なるほど。しかし、彼らに足る実力者でなければなるまい。となれば四臣創王ということになる。守りの要が出ていくというのは……」

「いえ、私が同行します」

「アキマサ、お前がか?」

「はっ。グルガンたちの次なる国は機界大国にございます。私はあの国とは幾度も取引をしており、話を通しやすい。戦いで活躍出来ずとも、お役に立てると考えております」

「うぅむ……」


 ニシキは深く考える。確かにアキマサは先の戦いでも最優秀と言える活躍をしてくれた。もし彼がいなかったら封印することは困難、ないし不可能であったことは想像に難くない。実力は超一流。さらに機界大国との交流もあるとのこと。全く申し分ないが、この国の抱える問題にアキマサの人脈は欠かせない。


「グルガン殿。このことについては少し待ってもらえないだろうか? 今はあらゆることに手一杯で何から手をつけて良いものかと考えあぐねいているのだ」

「ああ、分かる。先ずは国民の生活を第一とした立て直しが必要だ。中央が根こそぎやられているから、しばらくの間は避難所での生活を余儀なくされるだろう。浮遊要塞まで運ぶために土台を破壊してしまったので少々脆くなっているかも知れんが、この際我慢してもらわねばな。食料に関してはそれぞれの領主が工面しあっても輸入に頼らざるを得まい。近くの国に要請するのだ。税収に関しては一旦停止し、国民に寄り添うことで不満を軽減させよう。その他の不満は央龍皇が被災地に顔を出し、説明を尽くすことで国民の理解を得られるはずだ。それからブラックガーデンの連中が無事に国を出たと思われる。弱っている今を狙って必ず仕掛けてくるだろう。西側の防衛を強化し、警備は緊急時の倍の数で対応させる。それから入国規制も必要だな。輸入を了承した国にのみ手形を発行し、忘れたなどで手形を持っていない者は追い払うことで極力入れない様に心がけ……」

「ちょ、ちょ、ちょっと待てっ! 早い早いっ!」


 アキマサは横入りする様に止める。グルガンは濁流の如く今後の対応についてを話し始める。これから順に話し合おうというのに、全部を1人で解決しようとしているようだ。


「そう慌てないでください。我々もそれ相応に考えていますので……」


 言い聞かせる様に口を開いたのはシズク。グルガンも少し反省したのか、黙って口を閉じた。


「しかしグルガン殿の意見には賛同出来ることが多々あります。要所要所はそのままに、1つずつ整理していくことで議論を深めていきましょう」


 シズクが司会進行として話を進めようとした時、ヒビキが手を上げる。


「どうしましたヒビキ?」

「すまない。今言うことではないと承知の上で言わせてくれ。……グルガン殿。私も旅に同行させてもらえないだろうか?」


 その言葉に皆の目がヒビキへと向かう。


「馬鹿な。防衛将ともあろうお方が旅に同行なさるおつもりとは……」

「先のグルガン殿の話にもあった様にブラックガーデンが攻めてくるやも知れないのですぞ?」

「……実力は申し分なくとも……その任をお忘れか?」


 口々に武将たちがヒビキを非難する。


「助かる。だが、この様に貴公には職務を全うする必要がある様だが?」

「無茶を承知でお願いしているのだ。……ニシキ様。私も同行させてください。どうかよろしくお願い申し上げますっ」


 ヒビキは深々とお辞儀をする。ニシキは小さく首を横に振る。


「……兄、ヒズミのことだな?」

「はっ」

「お前が行ったところでヒズミには勝てぬ。お前には残ってもらいたいのだが、どうしても行くか?」

「はっ。ニシキ様のご期待に添えず申し訳ございません」

「覚悟は出来ているということだな……よかろうヒビキよ。お前にヒズミ討伐を命じる」

「っ!? ありがとうございますっ! ニシキ様っ!」

「防衛将はナガヨシ=ツキグマに代行を命じる。セイリン家の看板を汚すでないぞ」


 ヒビキの隣に座っていたナガヨシは「はっ!」と鋭い発声で命令を受諾する。ニシキの命令であるのなら最早誰も異議は唱えない。


「他に何もなければ話を続行しますよ。……よろしいですね?」


 シズクはそのまま司会進行に務め、話し合いを円滑に進めた。

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