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「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜  作者: 大好き丸
18章 龍球王国 後編

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414、ただ一つの策

 アリーシャとレッドのおかげで大禍津日神という難を逃れたアキマサたちは、セイリン家の土地に避難していた。

 外の様子を逐一確認していたコジュウロウは呪いの津波の発生にいち早く報告を入れた。


「おいっ! やべぇぞっ! 呪いの液体が中心地を飲み込んじまってるっ!」

「何だってっ!? すぐにでも避難が必要かっ?!」


 バッと立ち上がる面々。何かあればすぐに動けそうな感じだが、コジュウロウは制止するように手をかざす。


「いや、ある一定の区画から中心に向かって流れ出てる。こっちに来てないから今のところは大丈夫だ」


 様々な戦いの後、七元徳(イノセント)を除く全員が奇跡的に集まり、互いの無事を確かめ合った。その際、ライトとディロンから呪いの泥の効果を聞き、絶対に触ってはいけないと周知し合う。

 皆、直感的に危険を感じ取っては居たが、まさか存在ごと抹消されるとは夢にも思わない。


「……今レッドと月光の乙女が禍津神を何とか抑えているが、あの呪いの泥はいずれこの国全域を飲み込んでしまうかもしれないな」

「何等か策を講じねば……」

「やはり国外に逃げる他ないのでは?」

「しかし、地上を行けば結局は泥が追い付いてしまいそうです。かといって浮島に逃げるのもそれはそれで逃げ場が……」


 全員で話し合っている最中、アキマサはじっと押し黙って考え事をしていた。


「師匠? 何を考えているの?」


 モミジはアキマサを覗き見る。アキマサは生返事をしながら腕を組んでさらに考える。


「近付けば消滅する。であるなら、遠距離から最大火力で攻撃を浴びせ続けるのはどうだ?」

「それなら私に任せな。この魔剣の火で炙り尽くして……っ」

「弓ならば私も使える。全員で魔法や気を用いて遠くから削れば、あるいは……」


 レナールやヒビキが遠距離攻撃に意欲を示した時、アキマサは神妙な面持ちで口を開いた。


「……あれは倒せねぇよ」


 悲観した言葉に「なに弱気になってんのさっ!」と叱咤されるが、アキマサの気持ちは変わらない。


「俺が細切れにしたのを見たはずだぜ? あれで再生するなら遠くでちまちま削ったところで意味はねぇだろうなぁ……」


 アキマサは雷の化身となって大禍津日神を裁断した。しかし細胞レベルまで分解しようが大禍津日神は何事もなく再生し、すぐさま能力を発動。手加減されていたからこそ触れることも出来たが、ちょっと力を出されただけでこちらは致命傷となる。

 禍津神の力を目の当たりにしたためか、剣聖たちはアキマサの言い分に反論出来ない。シズクは諦めムードなアキマサを見ながら尋ねる。


「ということはアキマサ。ここは撤退するというの?」

「いや、先の話にもあったように、背後から呪いの泥が迫ってくればどうしようもなくなる。ここで何とかしない限りは俺たちは生き残れない。逃げるのはここまでだ。俺に考えがある」


 この状況を打開出来る策があるなら藁にも縋る思いだ。アキマサの次の言葉に耳目が集まる。


「……禍津神をもう一度封印する」

「なにっ?! だ、だが、封印石はもう……」

「ああ。全部ぶっ壊された。だから今度は別の物に封印するんだ」


 アキマサはスッと立ち上がり、ニシキを見る。


「宜しいですね。央龍皇」


 急な呼びかけにニシキは訝しむ。しかしこれだけで気付く者もいる。隣で控えていたコウカクの守り手、コウセイは目を大きく開いた。


「莫迦なっ! 何を言わんとしているか分かっているのかアキマサ殿っ! 国の成り立ちにすら関わった高貴なる刀ですぞっ!!」


 コウセイの言葉で氷解する。アキマサが使用を提案しているのはニシキの所持している刀、神刀『光耀角(こうようかく)』。これだけでは国宝級の刀なら封印石と釣り合うのではないかと安易に提案しているように感じるが、答えはその刀のルーツにあった。


「……なるほど。この刀は初代様の角の欠片と伝え聞く。伝説が(まこと)であるならば、初代様は禍津神にとっては天敵。御方そのものであるこの刀を使用すれば、初代様の『黄泉比良坂(よもつひらさか)』の封印と同等以上の封印を一本で叶えられる……」

「まさしくその通りです。今こそこの刀の真価を発揮する時ではありませんか?」


 初代竜神帝の角を封印に。コウカク家が代々継承してきた大事な国そのものを邪悪な禍津神の封印に使用する。シズクもいくらアキマサの考えだとしても、国家そのものを貶める提案には流石に肯定することは出来ない。


「……分かった。やろう」

「ニシキ様っ!? し、しかし……っ!」

「この刀でこの地を救い、繁栄をもたらす。まさに神代の時代の再来だ。初代様も本望であろう」


 ニシキはフッと微笑む。


「はぁうっ!!」


 何らかのダメージを喰らい、胸を抑えて蹲るモリシゲ。「どうしましたっ!」とタダウチが声を掛けるが、モリシゲは小さな声で「……尊い」と呟くことしか出来なかった。


「ここからが正念場だ。俺たちがしくじればすべてが終わる。肝に命じておいてくれ」


 アキマサの言葉に全員が頷く。


「……ちょっと、よろしいですか?」


 襖を開けて七元徳(イノセント)がへろへろになりながら入ってくる。呪いの津波を耐え切り、疲れた足取りでようやく集合場所に到着した。


「その作戦……私たちも参加しても大丈夫?」


 ティオは疲れた顔を振り払い、ぐっと背筋を伸ばして作戦参加を希望する。


「大丈夫か? 疲れた様子だが……力を使い切ったんじゃないかい?」

「実は回復方法があるんですよ。それに、呪いを跳ね除けるなら私たちが絶対必要です」

「……実は猫の手も借りたい状況だったんだよ。協力を頼めるか?」

「よろこんでっ!」


 ティオの返事に背後の仲間たちも背筋を伸ばす。

 ここしかない。

 難所を乗り切る方法があるのなら、体力を使い切って数日動けなくなろうが関係ない。全部を投入して確実に達成する。

 今こそが聖王国の意地の見せ所である。


「それじゃ、俺たちも全部を投入するかっ! コジュウロウ、アレあったよな?」

「アレ……って何だよ?」

「いやほら、アレだよアレ。トガノジョウの奴から押収したあのデッカイ弓っ!」


 アキマサの身振り手振りでコジュウロウも思い出す。


「ああ。アレか。確か……ちょ、ちょう……名前何つったっけ?」

「超ナントカだな。とにかくあの魔導弓を出してくれよ。俺のとこの倉庫に仕舞ったんだろ?」

「おぅ、了解っ!」


 コジュウロウが返事を返したところでアキマサが国の地図を取り出す。


「作戦を立てる。みんな、一度しか言わないからよく聞いてくれよっ」


 レッドとアリーシャの力を信じ、国を救うために作戦を絞り出す。

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