第?話
「ア…アンジェラ、その銃には弾丸は入ってないんじゃ?」
「この銃はね…リオ、罪を犯した者にだけ‘物体化する弾丸’が入っているの。だから私はあえて弾丸は入っていないと言った…普段は弾丸が入っていないに変わりないもの」
「だからって殺すなんて…」
アンジェラは銃口から出る煙を吹いて、袖の中に銃をしまった。
「殺してないわ…消したの、シーラさんの記憶を…この銃は殺すための道具じゃない、そういう銃なの」
アンジェラはリオの口元まで自分の口を近付けて囁くように言った。
「裁かれるの…先祖の罪ではなく、今度は彼自身の罪を」
シーラを忘れること…それがルドルフに与えられた罪滅ぼしだった。すでに夜は明けていたがリオ達には光は届かなかった…ルドルフを家のベッドに寝かして、リオ達は森を抜けた。見渡す限りの草原が二人の前に立ちはだかる。二人の手は強く握り合っていた。
「リオ…私の体にはヴァンパイアの血も流れているから、このまま何事もなく生き続ければリオよりも必ず後に死ぬの。私、リオの死を見たくない。一人はイヤ、悲しくなるから…」
「僕もアンジェラの死は見たくないよ…それに僕が死んでアンジェラを悲しませたくもないな…」
「でも…いつかはその日が来るし、いつでもその日は来るのよ…」
「だったら、悲しむことが無くなるくらい生きればいいと思うよ」
リオの言葉にアンジェラはリオの腕を引っ張り、キスをした。
「その日をこなくするおまじない」
そう言ってアンジェラは唇を噛みしめた。もちろん、そのおまじないの効き目が無いことは二人は承知のうえ。そして二人は道無き道を歩きだした。
「街までは後どれくらいかな…」
二人の旅は、まだまだ続く…
…旅は出会いを生み、出会いは別れを生む…
~完~
小説という形で、『死』と『やり直せない人生』をテーマに書きました。物語そのものはファンタジーですが、読者様には、さまざまなジャンル目線で見てくれるとウレシイです…




