表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
別の世界線  作者: りんご
3/3

皆の最後編-コウ

あれって……

俺コウは、戦争が始まってから一週間ほど経って、街の方へ行った。

一週間ごとに、街へ行くようにした、そうじゃないと戦争やらなんやらの現状を、知ることができないからや。

エマ「……!コウくん」

俺の友達であるエマが、こっちに駆け寄ってきた。

コウ「どうしたん」

エマ「あのね……」

気まずそうに話し始める

エマ「……父上が『この国でも目撃された人狼を排除しろ』って、多分、コウくんのことだと思う……あと、一緒に人がいるなら、ためらわず一緒に殺れって……」

泣いてしまいそうな顔をしていた。


優しいな


人狼である俺に、人の敵である俺に情を向けるなんて

コウ「だったら今殺れよ、どうせお付きがどっかから見てるんだろ?会話は聞こえてなくても」

エマ「……ううん、決行日はだいたい再来月って言ってたから、それまでになんとか対策を考えるよ。お兄ち……お兄様にも相談してみる」

コウ「ん」

そう言って、別れた。

思えば、これが最後だったかもしれない、リリ以外の五人と出会うのは。

本当は人間の敵なはずの俺が、人間が守ろうとしてくれる。

嬉しいけど、もしこれがエマとかじゃなかったら、人間が身勝手だと、より思ってしまうんやろうな。


~❀~✿~❀~


戦争が始まってから、大体一ヶ月が経った。

雨が降ってる中、栗拾いをしていたら、リリが駆け寄ってきた。

こっちもこっちで、泣きそうな顔をしてる。

リリが何があったかは説明してくれた。

他の四人がもう、この世にいないことを。

けど、実は何があったか知ってた、毎週街に降りてたら、噂やら何やらで聞いてる。

緊急新聞が、落ちてることもあった。

コウ「そっか、もうあいつら、いないんだな」

演技だ、これだって。実際は、こんなに冷静じゃない。ここで俺までためらったら、リリがもっとだめになる。

ちょっと栗を分けて、リリを家に還した。

あと二週間三週間後くらいが、エマの言ってた作戦の決行日か……

命令を受けたエマは死んでしまったけど、きっと行われてしまう。

別の奴にでも、この作戦を押し付けて。

そういう奴らだ。

キクやエマのように、一般庶民の生活を知らないと、国政にかかわるやつらはたいてい汚職に手を出し始める。

それがいかに迷惑なのか、理解できない、いや、理解するタイミングもないんだろう。


~❀~✿~❀~


夜明け間近ぐらいに、リリを家に還してから、街に出て、ナイフを買った。

そのナイフで、自分の腹を刺す。


こうしなきゃ、リリも巻き込まれる、「人狼と共にいる人間」として。

また、そうなってしまう。

俺の父親が人狼で、母親が人間。母親は、人狼とともに暮らしたとして、処刑された。


……案外痛いけど、熊罠とかで、痛いのには慣れてる。

昔から、捕まった動物たちを逃がしたりしてただけじゃなく、自分も捕まってたし。

人狼は回復力も早いし、体力もあるから、このやり方だと時間かかるな……

気づけば夜も明けていて、雨が降っていた。


リリ「………………っ!コウくんっ!」

コウ「んでいるんだよ……」

……っ!なんでリリが来たんだよ。

せっかく、

あとちょっとだったのに

リリが自分のスカーフで、俺の止血をしようとする。

コウ「やんな」

最後かもしれないけど、冷たく止める。まあ予想通り、結構パニクってんな……リリが来るのは予想してなかったけど。

リリ「なんでっ!?早く止めなきゃ……」

コウ「自分でやったからや」

いつまで経っても理解しそうにない、言葉のまんまやろ……

それでも今のリリは、理解できるような状況じゃないんだろうな。

コウ「俺は人狼や、国に目ぇつけられてる。そんな俺と一緒にいた人間はどうなる?一緒に始末されちまうのが妥当や、リリも論外やない。」

エマのことは伏せて、説明する。

傷口を抑えるような位置に来て、リリが来る。

リリ「そんなの、やだよぉ……コウくんまでいなくなったら、私っ……」

そんな事言われたら、少し生きたくなってしまうけど、もう生きてたらダメなんや、俺は。

まだ俺はナイフを持ってる。

コウ「リリは鈍いなぁ……」

ザシュッ――

リリ「えっ……?」

自分の首を、切る。

ちょっとリリに、血飛んでもうたかも。

コウ「なんでまだ俺が、凶器持ってるって思わないんや……」

なんで最初っからこうしなかったんやろ……もしかしたら、最後にリリと会いたかったのかな。

もう何十年か経ってから、あの世で再会できることを望んでるよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ