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別の世界線  作者: りんご
2/3

本編

本編から読み始めてる方は、キャラクター紹介の方を先に読んでください。

生徒の個性を尊重し、伸ばすことを目標とする私立の高校。

この高校の生徒会室は、他の教室よりかは、少しばかり、豪華な作りになっているが、教室との違いはさほどない。

そんな高校の生徒会室では、今日も。

キク「会議とかマジでだるいってぇ〜」

生徒会役員がだらけていた。

キクはソファにゴロゴロしながら、お菓子を食べている。

レナ「うるさい、さっさと持ち場について」

会議まであと5分ほど、レナは会議机に座って、資料をまとめている。

会議が始まる前から、仕事をしている。

エマ「も〜うお兄ちゃん、ちゃんとしてよぉ」

リリ「そうだよキクくん、ちゃんとして」

椅子でくるくる回ろうとするリリと、それを止めようとエマに言われている。

ケイ「ほら、一年生二人にもこう言われているぞ」

ケイもレナ同様、資料整理をしながらキクを注意している。

ただ二人揃って、キクに視線はいっていない。

キク「それもこれも会長がぁ……」

恨めしそうにリリを見ながら、この日の全校朝会を思い出している。


~✿~❀~✿~


リリ『生徒会にしてほしいことがあったら、生徒会室前にある箱に、お願いを書いたお便りを入れてね!』


~✿~❀~✿~


キク「なんて言うから……」

いつの間にか、エマの腕にその箱が抱えられている。

バサッ――

会議机に、数百枚のお便りが散らばる。

エマ「確かに多いね……」

リリ「うぅっ……」

レナ「まぁこれはやる気なくなるわな……」

リリは自分の鞄に手を伸ばして、ドアの方へ歩いていった。

ケイ「あっ、会長が逃げようとしてる」

リリがドアに手をかけた時

ガラガラ――

先にドアが開いて、ドアの先には、

生徒会書記の、コウが立っていた。

コウ「ゴメン遅れた!……ってあれ?会長?今日会議やないっけ?」

コウが、生徒会室の手前であわてふためいている

エマ「あってるよコウくん」

レナ「会長がお便り多さに逃げようとしただけ」

ガシッ――

コウ「会長〜」

笑顔でリリの肩を掴み、180度回転させた。

コウは結構力が強い。

リリ「うわぁ〜エマ〜お便り読んでぇ~」

いつものこと、と言わんばかりにエマはお便りを持っていた。

エマ「はいはい、えっと……『リリちゃんの㊙メモ帳見せて!』だって」

一瞬で、空気が静まり、リリが気まずそうになる。

リリ「えっとぉ……それはぁ……」

キク「それは!?」

さっきまでやる気のなかったキクが、飛び起きて向かってきた。

㊙メモ帳とは赤色の革製に、金の留め具が付いたリリのメモ帳だ。

過去に台本と勘違いして、全校朝会のときに出してしまったため、全校生徒にメモ帳存在がバレてしまった。

コウ「そういや、俺らも見たことないよな」

レナ「いつから書いてるの?結構前からあった気がするけど……」

後退り気味に、リリが答える

リリ「えぇっとぉ〜……幼稚園からのお絵かきで埋まってるから、恥ずかしいの!」

エマ「へぇー幼稚園の頃から書いてるんだ」

なんともない、他愛のない会話で、リリが困っている。

いつもと大して変わらない、普段の光景だ。

そう、いつも通りの日常。

キク「つーか俺ら幼地味だし見せてくれても……」

ガラガラ――

生徒会室のドアが開いて、ショートヘアーの女子生徒が立っている

女子「あの〜……体育館にハンカチ落としちゃって……」

体育館は一階で、渡り廊下を渡った先にある。

生徒会室は二階で、渡り廊下近くの階段前だから、まぁまぁ近い。

リリ「はいはーい、じゃっ皆、行ってくるね〜」

ガラガラビシャッ――


~✿~❀~✿~


リリが体育館にハンカチを探しに行ってる間、他の生徒会役員はというと。

ガサゴソ――

キクが、生徒会室の棚やら机やらを漁っている。

その様子を

レナとケイは、書類整理をしながら冷たい目で見ている。

エマとコウは、あらかじめ用意されたチョコクッキーを、会議机で食べている。

キクは諦めたかと思えば、リリのカバンをあさり始めた。

キク「みっけ」

レナ「何してんの泥棒」

キクが左手に握っていたものは、

エマ「それ会長のメモ帳じゃん!」

そう例の赤いメモ帳が握られていた。

キク「皆で見ようぜ!」

「「「「えぇー」」」」

キクは目をまだ微かに輝かせながら、面白くなさそうに言った。

キク「んだよ、興味ないのかよ?」

エマ「興味ないって言ったら嘘になるけど……」

レナ「会長が隠すものだよ?」

ケイ「ヤバい感じはするよな……」

コウ「眠てぇ眠てぇ」

四人(コウは論外)が口々に言って、キクを止める。

キクの手からメモ帳が取られる、気づいたらメモ帳はコウが持っていた。

コウ「つーかこれ、鍵かかってるやん」

キク「うわ、マジやん……じゃあ諦めるかぁ……」

コウが戻そうと、何気なく金具に触れた時

パリンッ――

留め具部分が割れた

「「「「「うわぁーーーーーーーーーーーーー!?」」」」」

エマ「コウくんが壊したぁ!」

コウ「違う違う違う違う!」

キク「でもよぉ」

キクがメモ帳に指差して、意地悪そうな笑みを浮かべる

キク「見れるじゃん?」


~❀~✿~❀~


ガラガラ――

リリ「たっだいまー!案外早く見つかったよ!」

リリが元気に笑顔で入ってくる

ドアが開いて、帰ってきた時の光景は

コウがメモ帳を開けて皆がそれを覗き込んでる光景だった。

リリ「……っ!見ないでっ!」

そこに描かれていたものは

野原で遊ぶ高校生ほどの六人。

その容姿などは明らかに、今の生徒会役員だった。

レナ「なに……これ?」

知らない記憶に、五人は困惑を隠しきれない。

リリ「お願い皆っ……思い出さないでっ……!」

コウ「俺らの、思い出さなきゃいけない記憶だ……」


~✿~❀~✿~


とある王国の森にある野原。

この野原は、ヒミツの野原と呼ばれており、昔から子供の遊び場だった。

木々に囲まれていて、ぽっかりと開いた、広場のような空間。

外の世界と切り離されたように感じる、外の世界である。

この日も、国の子供が遊んでいた。

レナ「まったく、ドジだな、貴族のくせに」

木に登って、レナがスカーフを取っている。すぐに取り終わって、木の枝から飛び降りてくる。この世界でのレナは、薬師の娘で、自信も薬師を目指していた。

ケイ「仕方ないだろ、風が急に吹いたんだから」

しぶしぶとスカーフを受け取って、腕に巻く。この世界でのケイは、侯爵貴族であるとある一家の、一人息子である。

エマ「このあたりは急な風が多いらしいよ〜」

野原に座り込み、花冠を作りながらエマが言う。この世界でのエマは、王族の娘、つまり王女である。

キク「へーそうなんだなぁ、そこんとこ俺は被害ゼロだ」

エマの後ろで小鳥を追いかけ回し、捕まえていた。この世界でのキクは、王族の息子、つまり王子である。

コウ「ちょっおい!キク、森の動物いじめんな」

この世界でもコウは、狼の耳と尻尾を持っていた。コウのような人々は、人狼と呼ばれ、凶暴だと恐れられ、排除されていった。

リリ「はいこれコウくんの!」

手に花冠を二つ握り、リリはコウの方へ走っていった。この世界でのリリは、商人の娘である。

コウ「んありがとな」

そう言いながら、コウは受け取る。

身分も生い立ちも、なにもかも違う、そんな彼らが同じ場所で、ともに遊ぶ。

他人から見れば、なんとも不思議な光景だが、彼らにとってはここが、一番心地よかった。

こんな彼らを引き合わせたのは、紛れもなくリリだった。

リリが最初に仲良くなって、だんだん他の皆も仲良くなっていた。


~✿~❀~✿~


日が下がり、地平線が赤く染まり始めた、夕方だ。

キクが立ち上がって、エマに言う。

キク「そろそろ帰るぞ、執事に怒られる」

エマ「確かに…バイバ〜イ!」

手をブンブン振りながら、王宮の方へ帰っていった。

ちらりと時計を見たレナは、慌てて立ち上がった。

レナ「やば!もう十八時じゃん!急いで帰らなきゃ」

ケイ「もうそんな時間か……俺も帰るわ」

レナは街の方へ、ケイは貴族街の方へ小走りに帰っていった。

コウ「俺も帰る、森の動物に飯作んなきゃいけないし。お前も早く帰れよ」

そう言いながら、森の方へ突っ走っていった。

リリ「うん!皆またね〜」

そういって、リリも元気に手をブンブン振りながら、帰っていった。

この日の夕日は、リリの笑顔を明るく映していた。


~✿~❀~✿~


ある日から、この国は、これまでも決して友好とは言えなかった関係とある隣国と戦争を始めた。

隣国はけっして強くない、なんなら小さい国で、弱い方だった。

しかし一方的にこちらが侵略しようとしたため、世界の協力は隣国へ向いた。

また戦争に漬け込んで、革命家が反乱を起こしたため、戦況は不利へと傾いた。

コウは人目を気にし森にこもるようになり

レナは薬師として戦地の治療部隊に送られ

ケイは革命家から逃げるべく屋敷に籠もり

エマは不在の兄に代わって政務に励む日々

キクは王子として遠征へ行き戦をしている

それぞれが、それぞれの場所にいた。

リリは

毎日ヒミツの野原に行っていた、戦火が迫っているとわかっているのに。

だってリリは「またね」と、さよならをするときに言っていたから。

嘘をつきたくないから。

次皆が来るときに、いなかったら嘘つきになってしまうから。

皆がいないヒミツの野原は退屈で、することがなかった。

リリ「……できた!エマちゃんほどじゃないけど……」

一人で花冠を作ったりしていた、その花冠を並べてみたり。

皆が好きな色の花で作った、六個の花冠。

リリ「皆来ないなぁ忙しいのかな……?」

戦争が激しくなり続けるこの国の空は、どんよりと曇っていた。

今のリリの顔は笑顔だが、その笑顔を照らす光ははなかった。


~✿~❀~✿~


戦争が始まって一ヶ月ほどが経った

リリは、皆がいなく退屈な日々は、時間だけが無駄に過ぎていった。

ある日、早起きをしてしまった、両親は起きておらず、ちょうど新聞が届いていた。

リリ「(……?新聞っていうか緊急新聞じゃん)」

「おつかれさまです」と労いながら、緊急新聞を受け取る。

空はどんよりとしていて、今にも雨が降りそうだ。

テレビをつけると、このあと雨が降ると流れてきた。

緊急新聞、という点を除けば、いつもの朝と変わらない。

音声に耳を傾けて、なんとなく新聞を見てみると

パサッ――

新聞を取り落とし、雨が降るはずなのに傘も持たずに家を走って出ていった。

落としてしまった新聞に書かれていた、大きな見出しは。

------------------------------------------------------------------------------------------------

王女エマ様 兄の部下に暗殺される

 犯人U(21) 証言「このままだとエマが王になるから自分の地位を確立するため」

------------------------------------------------------------------------------------------------

予報通り雨が降ってきた、それでもリリは無我夢中で走り続けた。

向かっている場所、というか着いた場所は王宮の裏手にある「歴代王族の墓地」

四方を低いレンガ塀とその上に高い有刺鉄線に囲われており、唯一の門である正門には門兵がいる。

リリは塀、有刺鉄線を乗り越え、中に入っていった。

手には血が滲み、雨で服も濡れてしまったけれど、中に入った。

一番新しい墓の前には、リリより頭一つほど大きい、男性が立っていた。

墓には

"エマ十六歳"

の文字が、彫られていた

リリ「うわぁぁぁぁぁっ……!」

泣きそうになるけれど、唇を食いしばって、なんとか耐える。

隣りに立っていた男性が、やっとリリに気づいた。

キク「リリじゃん……」

お互い、すぐには気づかなかった。それくらい、周りが見えないくらい、悲しんでいた。

キク「……どうやって入ってきたんだよ」

リリ「有刺鉄線を……登って……」

キク「言えば開けたのに……」

「墓参りはもう済ませた」とのことなので、リリは帰らせてもらった、なによりもうここにいたくなかった。

帰り道、縁起でもないことを思ってしまったけれど、すぐに考えを振りほどいた。

リリ「(キクくんまで……いなくならないよね?)」

リリの顔を照らす光は、また、なかった。


~✿~❀~✿~


しばらくリリは、部屋にこもっていた。

家族も、リリがエマと友達など、夢にも思わないから、なぜこうなっているのか、わからない。

一週間後

久々に部屋を出てみた、また小雨だけれど雨が降っていて、緊急新聞が届いていた。

リリ「(……デジャヴ……)」

それでもまた読んだ、良くないことが書いてると、わかりきっているのに。

------------------------------------------------------------------------------------------------

治療部隊壊滅 優しさが仇になり

 傷ついた敵兵をさえも救っていた治療部隊、スパイが紛れ込んでおり、壊滅

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貴族半壊 革命家暴動を起こす

 ここ数ヶ月前から続いてる革命家の暴動、ついに貴族の家などを襲撃

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王子キク様 戦況を有利に導き名誉の死

 つい先日に、戦況が悪化した頃に自身の身を投げるように敵の総大将と相打ち

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リリ「(違う違う違う違う!きっと新聞をつくる人が間違えたんだ!)」

今度は傘を持って、走り出していた、新聞は机において。

まず向かったのは隣の隣にある、レナの家。

何回も何回もノックをして、出ないと分かっていても。

次に向かったのは、貴族街。

どこの家の中も、家具が荒れたり血痕が飛んだりしている。

それはケイの家も例外ではなかった。

そしてまた、王族の墓地へ向かっていた。

新品の墓が、二つ並んでいる。

そこにはよく呼んだ名前が、刻まれていた。

今度こそ泣き崩れそうになったけれど、一人思い出した。

リリ「そうだ!コウくんなら……!」

そう思い立ったら、無我夢中で走り出していた。

王族の墓地に着いた頃に雨は土砂降りだったけれど、少しやんできた。

いつもコウが走る、森の奥深くへ行くと。

少し開けた場所に出て

栗拾いをしてるコウがいた

その頃には雨も、やんで曇りになっていた。

コウ「えっリリやん、どした?」

人狼だから新聞を受け取っておらず、きっと、何も知らないのだ。

リリ「……っ!コウくんぅ!」

コウに抱きついたリリは、そのまま泣きじゃくってしまった。

しどろもなコウに、支離滅裂だか、少しづつ何があったのか伝えた。

コウ「……そっか、もうあいつらいないんやな」

リリは気持ちを落ち着けるように、コウの栗拾いを手伝った。

しばらくして夕方になり、コウが家まで送ってくれた、ついでに栗も少し貰った。

コウ「……じゃあな」

そう言いながら、森の方へ帰っていった

この日は、リリの顔を照らす光があった。月だ。

でもリリの顔は笑顔ではなく、疲れ切った泣き顔だった。


~✿~❀~✿~


次の日になって

リリは、なんとか持ち直していた、コウになら会えるかもしれないから。

朝ごはんを食べて、ヒミツの野原へ向かう。

いつもコウが座っていた場所に、またコウが座っていた。

でも、お腹からなにか赤黒いものを流しながら。

リリ「………………っ!コウくんっ!」

コウ「んでいるんだよ……」

急いでリリは、近くの手頃な布を探した、見つからないから、自分のスカーフでコウの傷口を抑えようとする。

コウ「やんな」

途中で、冷たく止められてしまった。

リリ「なんでっ!?早く止めなきゃ……」

コウ「自分でやったからや」

短く、言うけれど。リリには疑問と、悲しみでいっぱいだった。

コウ「俺は人狼や、国に目ぇつけられてる。そんな俺と一緒にいた人間はどうなる?一緒に始末されちまうのが妥当や、リリも論外やない。」

リリ「(コウくんが生きてたら、私も死んじゃうから、自分でこんなことしたってこと?)」

コウに、リリが抱きつく、傷口を抑えるような位置で。

リリ「そんなの、やだよぉ……コウくんまでいなくなったら、私っ……」

リリ「(レナちゃんだったら、すぐ止められるのに……)」

コウに止められたにも関わらず、リリは手当に当たっていた。

昨日よりも静かに、でも更に深い心の傷の中で、リリは泣いていた。

コウ「リリは鈍いなぁ……」

軽く、リリに笑いかける。リリには今の発言の意図が、全くわからなかった、でもすぐに分かった。

ザシュッ――

リリ「えっ……?」

リリの髪の毛と、顔に、少し赤黒いもんが飛ぶ。

コウの首が、ナイフで軽く切られた。コウの右手には、血のついたナイフが握られている。

コウ「なんでまだ俺が、凶器持ってるって思わないんや……」

雨は土砂降りになっていた。

リリの頬を伝うものは、雨も涙も入り乱れている。


~✿~❀~✿~


ここ一週間、ずっと雨が降っていた。

一週間も、リリは家に帰らなかった、帰れなかった、帰る気力もなかった。

ふとリリは思い出した、いつも遊んだあと、またねと言っていたのは自分だけで、他の皆は一回もまたねと言わなかったことに。

リリ「”またね”って絶対じゃないんだね……」

皆はそのことを、理解していた。

今までは、とても素敵な別れの言葉だと思っていたけれど。

実際は、守れなかったときに深く心をえぐられる言葉だったのだ。


言葉は人の心を動かす、感動させることも喜ばせることもできるけど。

こんなふうに、より深い絶望にいざなうことだってあったのだ。


リリが皆用に作った花冠は、リリのものを除いて、傷もなく千切れていた。

「心に傷はないけれど、死んでしまった」

リリのは傷まみれだけれど、千切れいてはいない。

「心は傷まみれだけれど、生きている」

「生きている方が良い」というけれど、こんな状況、リリは耐えられない。死んだ方が、よっぽどマシだったけど、コウの思いも、全部全部無駄にしたくなかった。


薄っすらと、野原の中心で光る何かを、リリは見つけた。

それは赤色で革製のメモ帳。

リリ「なにこれ……」

リリがそっと、メモ帳に触れると。

ピカッ――

さっきよりも、光が増し、ヒミツの野原全体を包んだ。


~✿~❀~✿~


リリ「それからのことは、よく覚えてないんだ……」

今の世界、生徒会長としてのリリは、メモ帳を抱いて、寂しそうな顔をしていた。

コウ「俺、すっかり忘れてたわ……」

他の皆も同じなのか、思い出した記憶に少し混乱している。

リリ「後から分かったんだけどさ、皆が転生?した世界に私が来たんだって」

涙ぐんだけれど、すぐに拭ってしまってよく見えなかった。

リリ「だから、私だけこのことを、覚えてて……皆には、あんなひどい記憶、忘れてほしくて……でも、素敵な、楽しい記憶だから、なかったことに、したくなかったんだ……」

声が、震えている。泣き出してしまいそうだけれど、泣かないようにしている。

レナ「リリ……」

リリ「でも皆にいつか話さなきゃなーって思ってたし、都合良かったかも」

顔を上げて、他五人に笑いかける。少し、無理してるような笑顔で。

ペシッ――

コウが、リリの頬を軽く叩いた。あまり見ることのない、真面目な顔で。

コウ「無理せんでええよ」

リリ「……っ!」

リリはタガが外れたように泣き出してしまった。でも思い出した記憶のように、悲しい涙ではないはずだ。

エマ「これからもよろしくね〜!」

エマがリリに後ろから抱きつく

ケイ「てゆうか、会長、十数年こんなこと一人で抱えてたのか」

キク「普通にエグない?」

キクがソファでゴロゴロしたまま話す

レナ「でもこれからは」

コウ「俺達も一緒やからな!」

すかさず、コウが喋った

レナ「こらコウ!セリフのいいとこ取りすんな」

コウ「ヤベっ!」

いつもの生徒会室に、ちょっぴり笑顔が増えたかもしれない。

本編、最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

今後、本編では知ることができなかった視点などを書くつもりなので、ぜひそちらも読んでください。

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