頭は冷えた?
アイスを食べ終えると先輩に連れられて彼女のよく行くという雑貨屋さんに入る。中は広いが人気店だからなのかそれとも休みの日だからなのか人でいっぱいだ。
「ここ、広いし、いつも人がいっぱいだから逸れないように手を繋ご?」
さらっと言われて何も考えずに手を彼女に預ける。しっかりと掴まれた手はなんだかとても安心感を覚えるがすぐに我に返って恥ずかしさがマグマのように噴き出してくる。
「ちょっと、手を繋ぐなんて他の人が見たら・・・」
「見たら?問題ないでしょ?ほらここのお店、カップルが多いからみんな手を繋いでても不思議じゃないでしょ?そう思わない」
ぐるりと見渡すと確かに私たちと同じぐらいか少し上の年齢のカップルが仲良く商品を手に取ったりして買い物を楽しんでいる。勿論、カップルだけでなく、中には一人で来ている人も私たちのように女の子複数人もいるがいない。
「女の人同士で手を繋いでる人はいないんですけど」
「そんなの誰も気にしてないよ。友達同士だって手は繋ぐし今はたまたま繋いでいないだけできっとあの子達もそっちのあの子も繋いでるよ。こうやって」
そう言いながら先輩は私の目をじっと見る。そして私の手元では上から掴んでいた私の指を一本ずつ解き自分の指を滑り込ませてくる。まるで恋人のように。
「さっ行こう」
まるで今の現象が嘘だったように私の手を引き階段を上がっていく。この雑貨店は三階建になっており上の買いに登ると少し人の数も減る。
それでもさっきに比べてというだけで混んでいることには変わりはない。
「ここなんだ。見せたかったの」
そう言って私の手を引いて先輩が連れてきたのは小さな手の上にすっぽり収まりそうな観葉植物のコーナーだった。
「好きなんですか?」
「うん、見てるの好きなんだ」
「じゃあ家でもいくつかあるんですか?」
「ないよ。枯れちゃうから」
少しだけ手が冷たくなった気がした。ただすぐに彼女の手は暖かさを取り戻す。
「私、こう言った細かいこと苦手でさ。ついほったらかしにしちゃうんだよね。だから見るだけ。見てるだけでいいの。その方がこの子達にもいいでしょ。ちゃんと飼ってくれる人がご主人様の方が」
「まぁ勿論そうですけど。分かりませんよ。先輩よりズボラかもしれないですし、それにこういうのって枯れにくいからズボラな先輩でも大丈夫じゃないですか」
「ズボラは否定しないんだ」
「自分で言ったので繰り返しただけで私はまだ先輩のことを何も知りません」
「だよね。私もしおりんのことまだ何にも知らない。だからいっぱい教えてよ。あとあずにゃん呼び忘れてるぞ」
その顔が可愛くてもし自分の部屋に今いたらベッドで悶絶しながら奇声を発していただろう。よかった外で。
よかったのか?




