真偽
実在の人物のフィクションは多い。
大岡越前でその名を知られる大岡忠相のエピソード『大岡政談』に忠相のエピソードは実は一つしかない。
というか『大岡政談』には、忠相の死後の判例が多く語られている。
有名な「産みの親と育ての親が子供を引っ張り合う」エピソードは本当は日本のエピソードではない。
色々な国でパクられてきたエピソードが鎖国中の日本にシルクロードを渡って伝わって来たモノであり、中国では中国の、インドではインドの似た話が存在する。ネタ元はソロモン王でエピソードがヨーロッパから伝わってきたと言うから、ネットと著作権がないと壮絶なパクりパクられ合戦になるし、発展途上国で著作権が未整備な国で酷い偽物が出回るのはしょうがないのかもしれない。
エピソードにフィクションやパクりが多いからと言って、大岡忠相が名奉行でなかった訳ではない。
大岡がいたから今日、消防団が各地に存在している。
消防団の前身の「町火消し」を作ったのは大岡忠相である。
また小石川養生所を作ったのも大岡忠相である。つまり日本の最高学府の中でもトップ、東京大学理学部は忠相がいないと生まれなかった。
つまり「名奉行だからこそ他人の功績が忠相の功績として語られ、フィクションが多い」のである。
それは異世界でも同じであり、後の人々が語るグレースのエピソードには他の五神のエピソードとフィクションが多い。グレースがドラゴンを一撃で倒したからだろうか、グレースのエピソードには幻の食材を求めて、グレースが秘境で剣を振るエピソードが多いが、実際にはグレースは剣を振るどころか持ち上げる事すら出来ない。
それにパンについてはウェヌスの功績がグレースの功績になっている。消息不明のウェヌスより王女と一緒におり常に注目の的であったグレースが目立つのは致し方ない。
『グレース説話』の中で語られるグレースのエピソードは六割が創作、三割が別人の話で構成されている。
歴史学者により「グレース説話に事実はない」と断じられて来た。
だが本当のエピソードも一つだけ含まれている。
それは真っ先に「これは作り話だ」と断定されたエピソードだ。
そのエピソードがフィクションと認定された理由は3つある。
・登場するグレースが弱っちい
本当のグレースは弱っちいが、後の世の人々にしてみれば「グレースはドラゴンを一撃で倒し、幻の食材を求めて剣を振り回して秘境を旅していたのだ。弱いわけがない」と誤った情報が信じられているのだ。
・荒唐無稽である
「このエピソードがあったから王国が今なお続く『千年王国』になった」などと言われても、人々にはピンと来ない。所詮グレースは「家事五神」などとは呼ばれても侍女であり、国の行く末をどうこうする力はないと思われていたのだ。
・グレースの恋愛が語られている
グレースは一説によるとレズビアンであり、男性との浮いた話はこの話以外にはない。
それは王女が女王になる戴冠式に関するエピソードである。




